美白成分は今回のカネボウのロドデノールはある意味効果が出過ぎた、とも言えるかもしれません。
ロデノール以外にも、厚生労働省が承認で医薬部外品等に分類されてはいるものに含まれている美白効果があるとされている成分にだってリスクは十分考えられるのです。
美白成分は危険と隣り合わせなのです!
コウジ酸
これは日本で醤油などを作るときに必要な麹菌から抽出された成分です。味噌や醤油を作る人の手が綺麗で白いことに注目して開発されたものです。この作用機序もチロシナーゼ活性を阻害することで、美白効果を実現しているのです。
化学式はC6H6O4です
このコウジ酸は海外でもKojic Acidの名称で化粧品にも含まれています。
ですが、一時期発がん性があるのでは、と疑われたことがあります。2003年に厚生労働省の通達で医薬部外品としての使用が禁じられました。
そこで、化粧品メーカーが安全性を確認する実験を繰り返し問題が無いことを証明したために、再度2005年に医薬部外品としての販売が再開されたのです。コウジ酸に対する厚生労働省の見解はHP上で見ることができます。また海外の文献でも安全性は確認されています。Final report of the safety assessment of Kojic acid as used in cosmetics.(Int J Toxicol. 2010 Nov-Dec;29 (6 Suppl) :244S-73)
内容を良く読んでみると確かに動物実験では弱い発がん性とがんの促進を促す結果が出ているのです。人間に対応させた場合は2%の濃度まで安全性は確保されているのですが、4%では明らかに確認できた美白効果ですが、それ以下での効果は不明とされています。
化粧品として使用するなら1%以下では問題はないだろうとなっています⋯安全性を確保すると美白効果はあまり期待できないことになるのではないでしょうか。
ハイドロキノン
美容皮膚科で常用される美白効果のある薬剤です。一部の化粧品には一定濃度が含まれています。ヒドロキノンと呼ばれる場合もあります。
ウィキよりお借りしました
化学式はC6H6O2です
元々は写真の現像するさいに還元剤として使用されていました。写真を現像する人の手が白くなっていることに目をつけて美白効果に使用することを思いついというコウジ酸と同じような開発秘話があります。
日本においては医薬部外品として2~4%くらいの濃度で使用されています。しかしアメリカでは2%以上は医師の処方によることで安全性を確保しています。
というのも国際がん研究機関では発がん性は明らかではないと判定したのですが、FDA(アメリカ食品薬品局)は発がんの懸念があるとして一般の薬品としての販売を禁止しているのです。つまり2%以下はお店で買えますが、4%以上は医師の管理下に置くという処置を取っています。
また、一部の国では全面的に販売が禁止されているところもあります。必要以上に発がんを恐れることは無いと考えますが、やはりトラブルを回避するためには医師の診断によって処方されることをお勧めします。
Vivinol
これは日本では私は見かけたことがありません。海外ではある程度普及した化粧品の成分の様です。モロッコに生息するアルガンの樹から抽出されるアルガンオイルの誘導体とされています。ロドデノールも白樺の樹皮に多く含まれていますので、ひょっとすると同じものかもしれません。
化学式はC10H14O2であり、今回のカネボウのロドデノールと同じですが、構造式は違っているようです。
今回のまだら白斑同様のトラブルがこのVivinolによって起きていないか、海外の文献を探しましたが、現時点では見つけることができませんでした。しかし、効果の機序は全くロドデノールと一緒と思われます。
www.unionchemical.com.よりお借りしました。
今回の被害を完治させる方法、トラブルが起こった機序などを知るにはこのVivinolについての報告を探すのが一番ではないかと、現在考えています。しかしながら医学論文にはそれを探すことができませんでした。もう少し情報網を広げて少しでも今回の被害者のお役に立てればと考えております。
今気づいたのですが、医療機関で美白剤を処方するときは厳しく患者さんにお伝えすることがあります。それは必ず日焼け止めを使用してください!ということです。果たして今回のカネボウの一連の化粧品を販売するときにその点に注意していたのか、その当たりの情報を希望します。というのも薬剤は紫外線を含む日光に当たると予想外の反応を起こすことがあるからです。