円形脱毛症の背景に隠れている重大な問題

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円形脱毛症は若年層でもみられる疾患ですが、直接の原因がはっきりしないため治療に難渋してしまいます。男性型脱毛症であるAGAはそれなりの特効薬が出現していますが、円形脱毛症はこれだ!といった決定打が無いのです。

発症のメカニズムは解っているが⋯

患者さんの苦しみも掛かっていない人では分からないシビアなものなのです。円形脱毛症の保険治療対応薬は以前として「フロジン液」くらいしかありません。

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このような感じで発症していきます

円形脱毛のメカニズム

基本的には自己免疫性の疾患とされていますが、有毛部のどのにでも生じてしまう病気です。一般的には頭皮から脱毛することが多いようです。

正常な毛の周期はこのようになっています

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これが何かの影響によって乱れることで脱毛が起きてきます

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どうしてこのような事が起きるかがはっきりしないのです

木を見て森を見ずにならないようにしなければなりません

Autoimmune, Atopic, and Mental Health Comorbid Conditions Associated With Alopecia Areata in the United Statesという題名でAMA Dermatol. 2013;149 (7) :789-794. に論文が投稿されていました。要約すると円形脱毛症の患者さんは複数の合併症を持っている方が多いというものです。

  • うつや不安症 25.5%
  • アレルギー性疾患 38.2%
  • 皮膚炎35.9%

また自己免疫性の疾患であることにより

  • 甲状腺疾患 14.6%
  • 全身性エリテマトーデス 4.3%
  • 関節リュウマチ

が認められていました。

ただ単に皮膚科領域の病気との考え方で医師が治療を始めてしまうと、その背景に存在するこのような疾患を見逃してしまうことになります。皮膚の病気というより全身性の病気であるととらえた治療方法の確立が必要になってきます。

患者さんの苦しみ

このように単に毛が抜けてしまう病気と考えると間違った方向性に治療する側も走ってしまいますし、患者さんもなかなか治らないことに精神的にもかなりの被害を受けてしまいます。

さらに脱毛を隠すためにカツラを使用する場合は、非常に高額になってしまいますので、経済的な損失も多大にになる病気なのです。

そのために「難病指定」を働きかけているグループもあります。JAAC 日本円形脱毛症コミニケーションという団体です。HP内にはこの病気に苦しむ患者さんの気持ちがいくつも投稿されています。

もしも「脱毛症くらいで」なんて考えがある方はぜひ一度この患者さんの生の声を読んでみてください。そんな甘い病気ではないことが充分にご理解いただけると思います。

今後の見通し

平成22年度 日本皮膚科学会基礎医学研究費にやっと「円形脱毛症(自己免疫性脱毛)の自己免疫反応の包括的解析-なぜ自己免疫反応が遷延するのか-」が選ばれ研究助成金がでることになりました。

この研究だけで病気の解決には残念ながらなることはないでしょうが、少なくとも今まであまり重大な問題との認識がなかった状態からは脱却できるのではないでしょうか?

ぜひ厚生労働省もこの病気の実態の調査に力を入れて難病指定や補助金がでるように動いていただけると多くの人が救われると思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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