トコジラミなんて死語だと思っていたら、近年増加の傾向⋯原因はやっぱりあの国か?

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かなりの年配の方は「南京虫」って聞いたら「ああ、あのシラミね」と即答できるかもしれません。

南京虫は俗名で正式名称?はトコジラミという変てこな名前がついています。

南京虫(トコジラミ)は、実はシラミではない

本当はシラミの仲間ではなく「カメムシ目トコジラミ科」に分類される昆虫なのです。なんで南京虫なんて名前がついたかというと江戸時代にから日本に渡ってきたためにそんな名前がついたようです。

江戸時代に交流のあった海外はオランダかあの国しかないのですが、もともと中国の(書いてしまった)広東省周辺に多く見られるのでその名前は適切だった江戸時代の日本人の感は素晴らしいものですね。トコジラミ(床)は不潔な布団などから感染が広がることによってつけられた名前と考えられます。

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http://www.killbedbugs.com/blog/

海外ではBed Bugと呼ばれています。

そんなトコジラミが急増している

私自身のつい最近トコジラミに刺された患者さんを診察しました。

原因が何であるのかその時点では判別できないで「何かの虫に刺されたような症状」とあいまいな判断をしたのですが、その年配の患者さんが「先生、これは南京虫に刺された跡なんだよ、俺が若い刺されたことがあるから」と患者さんに教えていただいたくらい、私の年齢に医師でも判別に迷うくらい珍しいものだったのです。

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http://www.badbedbugs.com/

しかし、医学雑誌を眺めていたら近年リバイバルで「トコジラミ刺症」が増えているとの記述がありました。その記事によると私が診察して判断できないのも当たり前で、1970年代から1990年代は専門医でも標本さえ手に入れることが出来ないくらい珍しいものだったそうです。

それが2000年代に入ってきて国内で散見されるようになり、近年ではホテルなのど宿泊施設での刺された人が急増しているのです。

薬が効かない強敵スパートコジラミが出現してきた

薬としてはピレスロイド系の殺虫剤が効果があるとされていました。ところがこの薬剤が効かないスーパートコジラミ?が出現しだしています。

ある調査によればなんと90%のトコジラミがこの薬に対して抵抗性を持っていたのです。つまり特効薬に対抗する遺伝子を獲得していた⋯恐るべし南京虫。

人類の抵抗手段は⋯少し大げさかな

万が一刺された場合はステロイド入りの塗り薬で対応できますのでご安心ください。
でも、この虫は症状が厄介です。発赤が起こるだけでなく、痒いだけでなく痛みもあります。

刺した直後には症状があまりでなく、数日後に痒みがでる湿疹状の症状で初めて気づくこと、また1週間後に突然全身に発疹が出現する遅延型のアレルギーも引き起こしてしまうのです。

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こんな感じでベッドに棲みこんでいます

本格的に予防をするとなるとピレスロイド系の殺虫剤に抵抗を示すために、専門の駆虫業者に依頼しないといけないので、かなり多額の出費を覚悟しないといけません。つまり、それを支出することが不可能な安宿はリスキーなのでなるべく衛生的なホテルに宿泊するしかないですね。

なんで再流行しだしたのだろうか?

上記の記述をお読みになった賢明な読者の皆さんはお気づきだと思います。

  • 江戸時代に海外から日本に上陸したと考えられる
  • 戦後は日本でも流行したが、衛生環境が整備されたことにより激減した
  • 1970年代にはほとんど日本では発症しなかった
  • 1990年代には専門家が標本を入手することさえ難しかった
  • 2005年頃より再流行の兆しがあらわれた
  • ニックネームが南京虫

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http://www.computerlib.co.jp/

これらから得られる回答は当然、あのあたりの国から旅行者が増えたことと関連があると思われます。
以前ブログで「やっぱり西から来る脅威」というものを書きましたので、お時間のある方は是非お読みください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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