健康に関する情報で重要なことは「正確である」「科学的な手法で証明されている」「標準医療に従っている」などです。もちろんおばあちゃんの知恵的な民間療法であっても、効果の作用機序が解明されているものもありますので、問題ありません。
しかし、健康情報・医療情報が全くのウソやデマであった場合は救える病気を救えないだけでなく、健康な人の健康さえ損なうリスクがあります。普通じゃない突飛な話題こそネットでは拡散される傾向がありますよね、そんな拡散の仕方をされた健康情報があったとしたら、こりゃ大問題ではないでしょうか?
ウェルク(welq) という健康情報サイトの危うさ
なぜか最近、病気に関するキーワードで検索すると、ウェルク(welq)という健康情報サイトが目立つようになりました。
健康関連情報サイトの内容は正しいか?最近目立つ無責任なWELQ「ココロとカラダ」徹底チェック(怒)❗
先日のブログでは胃がんを例として取り上げましたが、わかりにくいとの意見もありました。この「WELQ (ウェルク) 」がどれほどいい加減なものであるか、これはいかがでしょうか?
肩こりがひどいのは幽霊が原因?
医療機関を受診して「あなたの肩こりの原因はご先祖様の霊です」と言われたらどう思いますか?そんな情報をこのウェルク(welq)は提供しているのです。
⋯霊の祟りがあると怖いので、リンクは貼りません(笑)
医療情報関連のメディアは「ようです」「と言われています」「らしいです」などの言葉は使わないで、情報に関して責任の所在を明らかにして提供する必要があると考えます。医療情報提供サイトの問題点を考えていきます。
多くの人はウソの情報を見分けられない、特に「医療は」です
昨日のBLOGOSにこんな記事が掲載されていました。
多くの学生はニュースに関しては一次ソースを確認したりせず、信頼性を詳細に述べられているのか(ウェルクはメチャクチャ長文が多い)、大きな写真(いわゆるキャッチ)につられて評価していたとのことです。原発問題では悲惨な事件が今でも起きています。その多くは科学的に間違った情報が根拠となったものですが、ネットでは未だに放射線による健康被害の間違った情報が出回り、拡散しています。
医療の場合、ある治療法が万人に効果がないために、民間医療に走る方も多くいます。中には霊方面に走る方も時々見受けられますが、これは医学の敗北ではなく正しい情報が正しく伝わっていないからだと考えます。
医学情報等のデマ・嘘の情報はなぜ拡散するのか?
以前からネットはデマが拡散しやすい、と言われていました。それに関するこのような研究があります。「How to Start a Conspiracy Theory on Facebook」、これはフェイスブックを使用して人を騙す実験です。これによると
嘘であろうと真実であろうと話題になった期間に影響はない
つまり、ソーシャルメディアにおける「ウソ」と「ホント」は話題性さえあれば、どうでもいいや的に取り上げられるのです。さらにウソの情報も真実を伝えた情報も同じように多くの人の関心を得ることができるのです。
前述サイトより
面白そうで興味を引く話題なら、その真贋は問題とされないで多くの人に伝播されるのがSNSであることはを皆さんは経験しているのではないでしょうか。肩こりの原因がいくら「?」が付いていても、ネット上で話題になる可能性は否定できません。
原発避難いじめ問題も、放射線による汚染問題のデマを信じてしまっている人の情報にも大きな原因があると考えます。
医療情報メディアにおける責任問題
標準医療では「ガイドライン」が設けられており、病気の診断による治療法に大きな違いが起きないようになっています。もちろん、新しい治療法を行う場合は医療機関の倫理委員会等の審査を得てから開始されます。時々トンデモ系の医師がヘンテコな治療を行って、一般図書として奇妙な治療を拡散しているのは嘆かわしい事態です。本を買うには対価を支払うので、購入にあたって立ち読み、あるいはネットの書評を参考にする人も多いはずなので、それなりのハードルは存在します。
しかし、ネット上の情報の多くは無料です。
無料だからといって、無責任な情報を垂れ流す医療系のサイトの責任の所在はどこにあるのでしょうか?
ウェルク(welq) に関しては免責事項が記されています。免責事項があるんだから、この情報を信じようが信じまいが読んだ人の責任との考え方は正しいものであるか、甚だ疑問があります。例えば肩こりの人が原因をご先祖様の霊だと考え、胡散臭い治療と称するインチキ占い師や宗教にハマって、高額な壺を買わされて経済的な損失を被ったり、滝行をして病気になったり死亡したりした時に「それはあなたの自己責任。免責事項読まなかったの?」と対応するのでしょうかね?
グーグルはいかに早く適切に自分の求めている論文を見つけるために開発されたと私は解釈しています。当方が求める正しい情報が信頼度が高ければ高いほど上位に表示される、それがグーグルの存在意義。病気になった、病気が心配、そんな時は多くの人がネットで検索する便利な時代にウェルク(welq) のような、どこの誰が書いたかも不明、記事の信頼度を担保する情報もいいかげん、でも検索すると上位に表示されてしまう現状をどのようにしていけばいいのか?
アホなニセ医学情報を信じる方も信じる方だよ、との意見もあります。しかし、ネットにおける拡散の仕組みやウソ情報を見抜く力が足りない人が多い現状を考えると、いたいけない人を対象にアフィリエイトで稼ぐためにSEOのテクニックを駆使したサイトは悪質と言わざる得ません。
医療関係者として微力ながらできることは、権威付けのための監修に協力しないことは一つの対策ではないでしょうか?