健康関連情報サイトの内容は正しいか?最近目立つ無責任なWELQ「ココロとカラダ」徹底チェック(怒)❗

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この頃医療関係者の間で「WELQ (ウェルク) 」という医療系のサイトが話題になっています。病名とか症状をキーワード検索すると、間違いなく上位に表示されます。Google先生で上位表示されるサイトはそれなりに信頼度の高いものと、ある程度のネットリテラシーをお持ちの方は考えます。

なーんも考えないで病気になった時にスマホで検索する、そんな時は上位3番目くらいまでを参考にすることが多いのではないですか?もし、検索して見つけた健康情報サイトの内容が正確ではなく、単なる情報のまとめサイトであった場合、病気に対する情報あるいは治療方法の責任の所在ってどこに属するのでしょうか?

最近目につくWELQという健康情報サイトは正確か?かなりいい加減だぞ❗(怒)

医療関係者の間では、ココロとカラダの教科書と名打った「WELQ (ウェルク) 」のサイトのいい加減さに呆れかえっている人間がゴロゴロしています

大昔は家族が病気になった場合、「家庭の医学」なんていう分厚い本をお父さんが持ち出して、症状や病気の原因や治療法を勉強したものです。今では病気に関してはまずはネットで検索、そして医療機関を受診する方が多くなっています。事前に病気のあらましを知って来院することは、医療の妨げにはなりません⋯情報が正確である、標準医療に従ったものである場合のみ❗

「WELQ (ウェルク) 」に記されている内容は正しいのか、間違っているのか?日本人が一番罹患する「胃がん」を例として検証してみます。

「胃がん」「症状」とキーワードを入れて検索してみると⋯死亡率2位ってなんですか???

ひょっとしたら自分は胃がんじゃないのか、あるいは家族が胃がんと診断された、なんて場合、「胃がん」「症状」とキーワードを入れて検索してみてください。間違いなく上位に「WELQ (ウェルク) 」のページが表示されます。例えば「スキルス胃がんは胃がんの一種です。胃がんの中でも発見が遅れやすく、また進行が早いのが特徴です」とか「そんな胃がんの初期症状にはどのようなものがあるのでしょうか?ゲップが胃がんのサインなんて話もありますが」などの言葉が出てきますよね。

現在「胃がん」「症状」で検索すると1位と2位が「WELQ (ウェルク) 」のページであり「スキルス胃がんに見られる6つの初期症状を見逃さないで!特に若い女⋯」と「胃がんの初期症状には何があるの?ゲップや胸やけが続くときは要注意」というタイトルが大きく表示されます。

1位表示されたページを見ると、「スキルス胃がんとは」に始まり「胃がんについて」と小見出しが書かれています

胃がんは、胃にできる悪性腫瘍で日本では肺がんに次いで死亡率の高いがんだといわれており、男女比は2対1と男性に多く、男女とも60代で一番多く発症しているといわれています。

https://welq.jp/25078

これメチャクチャ読者を不安にさせます❗WELQ (ウェルク) さん、死亡率ってどの死亡率なんでしょうか??

確かに胃がんは死亡数は肺がんに次いで二番目ですが、死亡率が2番目ってどのような意味なんでしょうか?死亡率とは病気に罹ってしまった場合、生きられない確率と普通は思いませんか?さらに

医療系のサイトを自称しているのに「いわれており」「いわれています」って誰が言ったのでしょうか?

正しくは胃がんは日本人の男性の死亡数で2位、女性で3位です。ちなみに罹患数は男性で1位、女性で3位となっています。

ひょっとしてココロとカラダの教科書の「WELQ (ウェルク) 」では2015 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターの下記のグラフを見ただけで肺がんに次いで胃がんは死亡率が2番目って記載したのでしょうか?

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2015 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター どの部位のがん死亡が多いか~年齢による変化

胃がんと診断される方は日本では一番多いのです。一番多くがんと診断されますので、全がん死でも上位を占めるのは当然の結果です。

上記はちょっと古いデータですが、胃がんの5年生存率は男性で65.3パーセントであり、肺がんは27.0パーセントとなっております。多くの方が心配することは自分、あるいは家族、友人が胃がんと診断された場合、生死にどれだけ関わるのか、ではないでしょうか?

その場合は下の図表が参考になります。死亡のリスクはすい臓がんがトップであり、一番死亡することが少ないのが前立腺がんであり、胃がんと肺がんの間には10種類以上のがんが入ることになります。胃がんががん死亡数に占める割合の部位別の2位がんとして、死亡率2位としたんじゃないですか、「WELQ (ウェルク)」さん。

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健康情報サイトである「WELQ (ウェルク) 」の記事はがんを罹患した方、あるいはご家族の不安を煽るだけなんじゃないですか(怒)。

追記 「死亡確率=特定のがんにかかった人のうち、一定期間に亡くなる人の割合」と「死亡率=人口10万人のうち、ある年に特定のがんで亡くなる人の数」があります。2014年は部位別年齢調整「死亡率」で胃がんは10万対15.6、肺がんについで2位ですが、両者の違いを認識しているとは思えません。一生涯であるがんで死亡する確率を累積死亡リスクと呼びますが、その場合男性は胃がんは肺がんにつき確かに2位です。しかし、女性は胃がん、結腸がん、すい臓がん、肺がん共に2パーセントであり、2位ではありません。何人に一人がそのがんで亡くなるかは、男性では白血病、悪性リンパ腫、胆のう・胆管がん、食道がん、直腸がん、などにつつぎ胃がんは間違いなく2位ではありません。

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http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

このグラフが一般的な死亡率の考え方じゃないでしょうか?少なくとも女性の場合は胃がんは2位ではありませんよね。単に「死亡率」と言っても医学的統計学には様々なものがあります。少なくとも一般の方向けの医学情報であるならばどの「死亡率」を言っているのかをはっきりさせるべきです。

日本における胃がん治療の現場を全く知らない健康情報サイト

「WELQ (ウェルク) 」はこんなことも書いています。

日本は、世界的にみても早期発見の技術や手術成績が優れており、近年の有効な抗がん薬の開発もり、胃がんの治癒率は明らかに改善しているといわれ、進行しているがんでも、末期がんではなく治癒できるといわれています。

https://welq.jp/25078

これも「改善しているといわれ」「治癒できるといわれています」の全くもって無責任な書き方。誰がどこでそのようなことを言って、誰がどこで聞いてきたんでしょうか?多分、ここでどっから聞いてきた「WELQ (ウェルク) 」の文章責任者は化学療法に使う「ハーセプチン」や「ドセタキセル」のことを有効な抗がん剤と言っているんでしょうかねえ、それとも「オプジーボ」のことなんでしょうかねえ(適応ないけど)このページには個別の抗がん剤の名前は一切登場しませんけど(笑)。

「WELQ (ウェルク) 」さんの言っている「治癒率」とは何を意味しているのですか?

抗がん剤の効果は完全寛解 (CR コンプリート・レスポンス) から不変 (SD ステイブル・ディジィーズ) まであります(効果のあった場合)。治癒って言ったら完全寛解を普通の方は思い浮かべるはずです。

「WELQ (ウェルク) 」でこのように書いた後にいかにも引用先として「胃癌: 消化管の腫瘍: メルクマニュアル18版 日本語版」と記されています。このメルクマニュアルには化学療法(抗がん剤治療)の効果は不明、併用化学療法を行っても5年生存率にはほとんど変化がない、と書かれていますよ(このメルクマニュアルも2005年の古いものです)

「WELQ (ウェルク) 」は現時点で行われている医療現場を全く知らない方が書いたとしか思えません

この記事を書かれた方及びサイトの責任者はどのような意図でこのようないい加減なサイトを作ったのか、多くの医療関係者は不審に感じています。

記事に対する責任を一切負わない「WELQ (ウェルク) 」って理解してください❗

胃がんが治る方が増えているのは、内視鏡などによって早期発見がなされれていることが一番の要因です。抗がん剤の効果が高まっているのは抗がん剤がある人には効果があるけど、他の人には効果がない⋯では、その方にあっている個人の体質にあった抗がん剤を使用するオーダーメイド医療が一番効果を上げているのです。「WELQ (ウェルク) 」に書かれているような、近年有効な抗がん剤の開発「もり」(笑)とは何を指しているのか明記をお願いしたいところです。

たった最初の数行だけで、医療関係者の疑問が噴出するココロとカラダの教科書である「WELQ (ウェルク) 」、文章の責任の所在が全く不明の医療情報サイト。「WELQ (ウェルク) 」が検索している時に表示されてもスルーすることを強くお勧めいたします。

おまけ:記事の最後に「当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。」と小さな薄い文字で記されています。ようはこの記事を読んで、それを信頼しても当サイトは全く責任ないよ、ということですね。

おまけ2:このサイトは読み込めば読み込むほど、テキトーいい加減な情報が満載です。ネット界の大会社の運営するサイトとのこと。正しい医療情報が得られる健全なインターネットを望む私は多分、さらに「WELQ (ウェルク) 」に関してのブログを追加する予定です。

医療情報サイトが正しくなければいけない理由⋯デマは拡散しやすいからだよ❗

医療情報サイトが正しくなければいけない理由⋯デマは拡散しやすいからだよ❗

問題の医療系サイト「WELQ(ウェルク)」赤ペン先生しました❗間違いがゾロゾロ❗

問題の医療系サイト「WELQ(ウェルク)」赤ペン先生しました❗間違いがゾロゾロ❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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