女性自身「インフルの予防にアロマ」記事を信じると女性化乳房のリスクがあああ❗

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女性自身はやってくれますね〜。先日はご自分の子供に薬は飲ませないと主張するヘンな小児科医を取り上げていました。

今度はアロマオイルでインフルエンザを予防しよう、と主張される医師を取り上げています。

アロマオイルに抗ウイルス効果があったとしても、重大な副作用もあるんだけどね〜

アロマオイルでインフルエンザを予防というこの記事

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http://jisin.jp/serial/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%83%80%E3%82%A4%
E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88/healty/26382

これが問題の「女性自身」のサイトです。って勝手に問題化していますけど(笑)。 

「インフル予防に!抗ウイルス効果があるアロマオイル6選」となっていますので、アロマオイルでインフルエンザ感染が防げる、と当然誰でも読み取りますよね。アロマオイルをお風呂にちょいと垂らして、気分爽快・精神安定的な使用方法にケチをつけるわけではありません(当家でも誰かが何かを垂らしていることあり)。

でも、この医師はインフルエンザの予防策として「アロマポットを使って香りを吸い込むことや、マッサージオイルにして体にすり込むことも有効です」と述べていますが⋯アロマオイルを使用した男児は女性化乳房になるリスクがあるってことご存知ないのでしょうか?

雑誌としての女性自身の販売部数は38万部程度で、美容室や医療機関の待合室(もちろん当院にはありません)で見かけることが多いので、読者はかなりの数になると考えます。さらにこのサイト自体も月間170万人程度が訪れているサイトを直球的信じちゃって被害者続出❗となる事態を避けるべく、アロマも使用方法によってはリスキーであることを検証していきますね。

「自分の子どもに薬を飲ませない」小児科医さん、 芳しいトンデモ臭がプンプンです。

「自分の子どもに薬を飲ませない」小児科医さん、 芳しいトンデモ臭がプンプンです。

ラベンダーとティーツリーで男の子の胸が女性化した、との立派な論文

アロマオイルの副作用というか、健康被害と考えられる有名な医学論文があります。この論文が掲載されたThe New England Journal of Medicine(NEJM)は非常にクオリティの高いものと評価されますので、掲載されると医師の間では間違いなく威張れます。

「Prepubertal Gynecomastia Linked to Lavender and Tea Tree Oils」(N Engl J Med 2007; 356:479-485)。この論文はラベンダーとティーツリーオイルを繰り返し使用すると「思春期前の男の子の女性化乳房を引き起こした」との結論に達しています。

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前述論文より 女性化乳房の原因はラベンダーとティーツリーオイルが女性ホルモンであるエストロゲンの活性を高める一方で、男性ホルモンに対する抗アンドロゲン作用が活性することをこの図は示しています。これによって「ラベンダーとティーツリーオイルが女性化乳房を引き起こす」ことに対する作用機序までわかります。

アロマオイルを直接塗りこむことのリスク

女性化乳房の問題って、泌尿器科医は敏感です。前立腺がんや前立腺肥大症の治療に使用される薬には女性化乳房の副作用があります。薬の添付文書を読んで知っているだけではなく、他の原因で女性化乳房が起きる可能性も臨床医だったら調べるんじゃないでしょうか?実は胃薬だと思って服用していたら女性化乳房になっちゃうこともありますし、サプリだと思って安心して服用していたら女性化乳房になることさえあります。英国で男性が受けた美容外科的な手術のベスト2が女性化乳房に対するものでした。

男性の美容整形人気No.2は乳房の手術⁉英国の話ですが⋯

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当院が保険診療は泌尿器科が中心で、自由診療として美容系を行っているからこのような知識があったわけでないと考えます。

医療という行為を行うのであれば効果・効能とともに副次的な作用もしっかり知識を持って、一般の方へ正しい情報を伝えるべきなんじゃないでしょうか?

実は他のアロマも使用方法によっては、かぶれやアレルギーを起こすことが知られています。アロマポッドで使用するレベルでは気にする必要ないでしょうけど、アロマオイルを飲むことを勧めるサイトもありますし(自然だから安全って主張)、アロマオイルを体に直接塗る場合は接触性皮膚炎だけでなく、こんな副作用もあるんだよ、と覚えておいてくださいませ。

他にも疑問点がいっぱい、この医師の記事

ちなみにこの方、別の記事で「うがいはインフル予防に効果なし」って言っているけど、これもちょっとニュアンスが違います。

研究の対象になっているのは、上気道感染でありインフルエンザの感染を調べたもではありません❗「Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling」(「American Journal of Preventive Medicine」 November 2005 Volume 29, Issue 4, Pages 302–307)、この論文によってわかったことはコレです。

風邪を引いた人は「イソジンうがい」>「コントロール」>「水うがい」⋯水うがいが一番上気道感染を防ぐ❗

とどのつまり、うがい(どんな方法であっても)がインフルエンザの感染に役立たない、とは言っていないのです(最初からインフルエンザは除外されてんだもん)。

詳細はこちらを → イソジンの効果はウソ?うがいをしても風邪の予防にならないよ❗

ネット情報・雑誌情報で疑問点があるときはサイト名(できればURLも)や雑誌のコピーを持参して、かかりつけの医師に相談してください。生兵法は大怪我のもとです❗

追記 お時間があればこれもどうぞ❗

トンデモ系医師のニューフェイス?「うがいにインフル予防効果なし」⋯これは誤解を招きますぜ❗

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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