サプリメントや健康食品は医薬品ではないので、効果・効能を表記することができません。
しかし、このレベルまで検証すれば、効果・効能を検証したことになり、医学的な裏付けのあるサプリメントの成分「グラヴィノール」(プロアントシアニジン)を見つけちゃいました。
サプリの効果・効能、ここまで研究すれば医学的検証と言えます
一過性のブームに終わる気配の感じられる「水素水」の検証も、グラヴィノールのレベルで効果・効能を述べればニセ医学ウォッチャーの捉え方にも変化があるのではないでしょうか?「Gravinol(グラヴィノール)」は、ブドウ種子から抽出されたポリフェノールです。効果・効能として「抗酸化作用」「抗糖化」「フリーラジカル消去」「チロシナーゼ活性抑制」が期待されています。
グラヴィノールの効果と効能についての検証
プロアントシアニジン(グラヴィノールと呼ばれている)の効果とそれを裏付ける論文を述べますね。
●抗酸化作用
エイジングケアの基本であり、美肌効果があります。その効果が「Oral intake of proanthocyanidin-rich extract from grape seeds improves chloasma.」(Phytother Res. 2004 Nov;18 (11) :895-9.)という論文になっています。さらに「Effects of proanthocyanidin on oxidative stress biomarkers and adipokines in army cadets: a placebo-controlled, double-blind study.」(Eur J Nutr. 2015 Dec 24)はサプリメントの効果検証としては珍しくダブルブラインド(二重盲検法)が取られています。
●抗糖化作用
「AGEs (終末糖化産物) 」という糖の代謝によって生成される物質(血管を詰まらせる物質)が作られないようにする作用があり、さらに皮膚のくすみや便の匂いを抑えることができます。さらに糖尿病性腎症を改善する実験が「Attenuation of oxidative stress and inflammation by gravinol in high glucose-exposed renal tubular 」(Toxicology. 2010 Apr 11;270 (2-3) :106-11.)という論文になっています。
●フリーラジカル消去
現時点でフリーラジカルが細胞壁を破壊するので、様々な病気の原因であると考えるのが一般的です。ちなみにフリーラジカル=活性酸素、との考え方は間違っています。
「Grape seed proanthocyanidines and skin cancer prevention: Inhibition of oxidative stress and protection of immune system」(Mol Nutr Food Res. 2008 Jun; 52 (Suppl 1) : S71–S76.)によってプロアントシアニジンにフリーラジカルを抑制する効果が書かれています。
●チロシナーゼ活性抑制
チロシナーゼはメラニンを作るときに必要な酵素であり、この活性を抑えることでシミの発生を抑える効果が期待できます
4-ブチルレゾルシノールとグラヴィノールの効果の比較
このグラフの見方を説明します。4-ブチルレゾルシノールは強力な還元力によって美白効果がありますが、強力すぎて服用には適していません。グラヴィノールはこの4-ブチルレゾルシノールに近い効果を発揮することが、このグラフによってわかります。
医師から見てサプリメントが怪しげに感じられる理由
テレビで流されているサプリメントのCMって、そのサプリを飲んだ体験者によるあくまで個人の体験談にすぎません。多くのサプリメントがプラセボ効果じゃないの、と医師は判断します。
医師がこの成分は効果がある、と確認する手段は実験により効果のメカニズムが既存の化学的な知見を一致していること、医学系を含む科学専門誌に論文として掲載されていることです。中には製薬会社の宣伝用パンフレットを鵜呑みにしている医師も見られますが、いつか痛い目に会うでしょう。
論文の全部が正しい結果を導いていないこともあるので、クオリティの高い医学専門誌は複数人によって査読が行われ掲載されます。掲載されても反対の意見も掲載しますし論文の間違いを受け入れるシステムも用意されています。紙であれウェブであれ文字になっているもの、研究結果の数字に注目をするために、個人の感想は重要視されていません。
最近サプリ業界もデータを表記するところが増えていますが、アンケート調査のレベルを超えないものがほとんどです。話題となった「水素水」も専門誌に研究論文が多数掲載されていますが、動物実験レベルの研究論文が乏しい点が弱点であり、実験の手法にも疑問点が多いために医師の多くは効果・効能を全面的に認めることは希です。
グラヴィノールの将来像
「グラヴィノール」について述べてきましたが、これってキッコーマン・バイオケミファという会社が商標登録していました。あの醤油のキッコーマンの子会社ですが、キッコーマンはキッコーマン総合病院が関連施設としてあります。病院を持っていることにより、臨床研究が可能でありサプリの人に対する治験を行う環境も整っています。
今後、グラヴィノールの人体に置ける動態や科学的なデータを収集・精査することをぜひお願いいたします。もちろんデータが蓄積されることによって効果・効能が否定されることもありますが、ひょっとしたらサプリメントから医薬品へ発展する可能性もあります。
でも、そうなると薬嫌いのサプリメント信者さんが離れていくので、会社としてはマイナスになっちゃうのかな?