やっぱりトンデモ系「体を温めて万病を治しちゃう」説⋯これがほとんどの元ネタだよね

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昔から体を冷やすと風邪を引きやすくなる、とは言われてきました。しかーし、逆に「体を温めればどんな病気も治る」はチョイとヘンじゃないでしょうか?子供の口喧嘩じゃないけどじゃあ、熱中症になっても、温めれば治っちゃうんだ❗的なことは申しません(笑)。

奇書「どんな病気も温めれば治る❗」は免疫力さんのバイブルなんだね

世の中に蔓延していますよね「体を温めて免疫力を上げよう」って感じのフレーズ。先日もある製薬会社の情報サイト(患者さん向け)に「体温が1度下がると免疫力が30パーセント落ちる」という内容の記事に思いっきり噛みつきました。

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

さらにさらに、週刊現代の医療批判記事にコメントを寄せていたヘンな薬剤師さんの著作にも絡みました(自分はやることはネチッコイけど、人間的にはサッパリしているんですけどw)。

トンデモ薬剤師さんの理論背景はやはりニセ医学でした❗

トンデモ薬剤師さんの理論背景はやはりニセ医学でした❗

例の製薬会社に記事を提供していたのが、某健康情報サイトであり、このサイトは免疫力アップさんにかなり毒されている様子です。それに加えてヘンな薬剤師さんも「免疫力、免疫力」と言っており、ある医師をリスペクトしている様子が著作等から伺えます。

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その「体を温めれば免疫力がアップして、健康になる」説の金字塔が「どんな病気も『温めれば治る!』」(石原結實 著 KKベストセラーズ発行)と思われます。

「どんな病気も」ってことは、どんな病気もだよね??❗

石原結實医師が医学界で有名な人であるかは不明ですが、新聞の書籍広告においては有名というか、しょっちゅう著作の宣伝が行われています。って、ことで一般の方には有名な方なんでしょう。石原結實医師の理論をかんたん明快に伝えたのが前述の著書「どんな病気も『温めれば治る!』」であり、理論的な根拠は中国医学です。西洋医学VS東洋医学、という図式は古いものであり、今では漢方薬などは積極的にエビデンスを調査する時代であり、西洋医学的に考えても有効であると認められたものも多数でてきています。

しかし、東洋医学というか中国医学(漢方と呼ばれるのを嫌う医師おおし)方面の専門家を名乗る人の多くが、西洋医学はダメ、人間に優しい東洋医学が一番さ、というスタンスを取っているように感じています。とくにマス・メディアに取り上げられる医療関係者は「標準医学は悪、東洋医学は善」的な極端な考え方(対マス・メディア向けのポーズの可能性もあり)をしています。

石原結實医師は「どんな病気でも」と仰っています、これは本当に「どんな病気でも」と解釈してよろしのでしょうか?それとも「まあ、本のタイトルだから、それなりにセンセーショナルにしたんだよ」「別に医学論文のタイトルじゃないので、こんな感じでいいんじゃない」的に仰って頂いた方が多くの病に悩んでいる方には救いになるはずです。これを100パーセント信じ切っちゃている医療関係者および医療情報サイト管理者が出現しているのは事実ですから⋯。

標準医療を否定するひとの特徴はこれだ❗

ニセ医学・疑似科学信奉者はとにかく自分が得た治療に関する情報が特別なものであり、病気に困っている多くの人に伝えないといけない、という誰も頼んじゃいない使命感を持つことです。使命感を持たせるコツは「常識とされている医学って実は害こそあれ、効果はないのだよ。この真実を自分は権力に逆らってでも、あなただけには伝えますね」って感じの話し方、あるいは著作を書くことです。

標準医療を行っている医師だって、治療方法に疑問を持つことが全く無いわけではありません。現在行われている医療が100パーセント満足がいくものであり、万病を治すことができるわけではないことを医師は常々感じています。だからこそ、地味な研究を行っているのであり、過去の治療成績等を見直しているのです。

ニセ医学で効果が出る人、病気が治ってしまう人が0であるとは言えません。多くの病気で「自然治癒」と呼ばれることが起きています。しかし、自然治癒例は稀なものであり、そのメカニズムも完璧には解明されていません。自然治癒例よりはるか多数の方が治る標準医学を選択するのが、理にかなったことなのではないでしょうか?

体を温めてがんが治った人もいるらしいけど⋯

ニセ医学で「がんまで治った」と体験記が書かれている本・雑誌が多数あります。しかし、これらの多くは「がんの確定診断」がなされていないものも、多く見受けられます。例えば「前立腺がんのマーカーである、PSAが◯◯したら劇的に改善。今でも毎日健康な暮らしを送っています」的な記事が健康雑誌やニセ医学系の本に書かれています。でも、PSAが高いからといって、即前立腺がんであると診断する医師はいないでしょうし、前立腺がんは非常に緩慢に病状が進行しますので、がんと診断された方でも見た目の健康的な生活を送ることは可能です。

今回は各論というより総論になってしまいました。各論的になりますが、どうしても理解できない免疫力アップさんの思想というか、好みが⋯なんで、免疫をアップするワクチンには反対するのでしょうか?

次回から各論をスタートさせる予定です。ご期待ください❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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