ネタ切れ感がただよう「週刊現代」の医療批判記事⋯ついにこんな低レベルになってしまった(笑)

更新日:

週刊現代が「飲むと危険な薬」とか「飲んではいけない薬」など雑な内容を繰り返し掲載していました。

普通、週刊誌レベルが騒いでも実際の医療現場が大混乱になることは少ないのですが、今回の間違った情報満載のシリーズは結構患者さんの反応もあり、対応に苦慮した医師の声が医師専用SNSで目立ちました。

いっときは医療現場に混乱を招いた週刊現代「飲んではいけない薬」シリーズ⋯そろそろ終焉のかおりが。

今週発売された「現役医師たちの内部告白」「本当は危ない『ジェネリック薬』の名前」と題された記事はネタ切れ感、焼き直し感が漂う今まで最悪の記事と言って差し支えありません。医療費の右肩上がりの一因である薬をジェネリックに変えることで少しでも、国および国民の負担を軽くしようという国策にあきらかに反する記事です。この記事がどんだけテキトーな記事であるか、検証してみます。

文章の引用箇所は全て「週刊現代」9月3日号からです。

「よく飲まれるジェネリック医薬品とその副作用」の解説には笑わされました

一番笑ったのは「現役医師たちの内部告発」と禍々しいタイトルがつけられた章です。のっけから58歳の男性医師(開業医)が感冒治療薬「PL」について「ピリン系だということが知られていない」と述べています。私もPLがピリン系だとは知りませんでした❗だって

PLは非ピリン系感冒剤顆粒ですから、ピリンは含まれていません❗

この開業医さんは今までPLをピリン系の薬と考えて医師生活ウン十年過ごしてきたのでしょうか?患者さんの中には「アスピリン」が「ピリン」とつくので「アスピリン=ピリン系」と勘違いしている方は時々見かかけますが、プロである開業医がPLをピリン系と思っているのは、勘違いではすまされない、批判されるのはあなたですよ。

スクリーンショット_082416_103109_AM

週刊現代 2016年9月3日号 P185

一番適当な内容かつ、編集者さんも全くチェックしていないのかよ的な記事が「ジェネリック医薬品と副作用」です。まず、これを正誤表的に書いてみますね。

× 降圧剤のジェネリックは効果が出過ぎると低血圧になり、眩暈などがでる

◯降圧剤は血圧を下げることが目的なので先発薬でも低血圧になることがある

だからこそ、先発薬であってもジェネリックであっても家庭内で早朝と寝る前に自分で血圧を測定することが大切になります。ジェネリックだからといって、副作用的に低血圧になりやすいとのエビデンスは存在しません。

次は糖尿病の治療薬への批判です。

× 先発のアクトスは米国で訴訟問題になっている

◯ アクトスの米国での裁判では因果関係なしと判断されている

アクトスを服用すると膀胱がんになるのではないか、と訴訟大国米国で訴えがありました。因果関係は無いという判決が出されていますので、ほかの因縁つける的な訴訟でも起こっているのでしょうか?また、糖尿病治療薬は血糖値を下げる薬ですから、当然副作用として「低血糖」があります。そのようなことを避けるために現在では簡単なキットで家庭内で血糖値を測定することが可能であり、多くの糖尿病患者さんが使用しています。

多く見られるが重篤ではない横紋筋融解症

横紋筋融解症という副作用があります。この副作用の説明として「筋肉が溶け出す」というのが週刊現代に登場する医師がつかう表現なのですが、実際に筋肉が溶けるわけではありません。高脂血症の薬の副作用でわりと見受けるものですが、筋肉痛的な症状を訴えれば血液検査ですぐに判断できる程度の副作用です。

× スタチン系の薬は横紋筋融解症をおこして筋肉が溶ける

◯ スタチン系の薬の副作用は筋肉が壊死することによるが、マラソン等の運動でも起こりうる症状

もちろん重症の場合は多量のミオグロビンによって腎障害が起きることもあります。しかし、横紋筋融解症はスタチン以外の薬でも起こりうる副作用であり、注意をしていれば早期発見が可能です。

次に脳梗塞・心筋梗塞の治療と予防に使用されるプラビックスが俎上にのっています。これは血液が固まりにくくする薬ですから

先発品であろうと、ジェネリックであろうと効果がですぎたら出血しやすくなるのは当たり前

という当然の話を表にしてまで説明してくれているのが、今回の週刊現代です。

ジェネリックの原料は中国製だから低品質??

週刊現代の記事では中小のジェネリックメーカーは原料を中国から輸入しているので質が悪く危険と読み取れる記述があります。またジェネリックの場合、どの国でつくられたか分からない、だから安心できないと読み取れる記述もあります。でもね

先発品だって原料を中国から輸入しているし、原産国は表示されていません

どこのだれが、こんないい加減な話を現代の記者さんに吹き込んだのかが気になります。さらに薬剤師さんが登場して「ジェネリックにしたら安くなるから気楽に薬を飲み続けられるという発想自体が間違っています。」とのへんな文章につづいて「無駄な薬を一生飲み続けても健康になるはずがない」とさらに変なことが記述されています。やっぱりでした、昨日ブログでトンデモ系の薬剤師さんとして紹介した方のコメントででした(笑)

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・形成外科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
木・日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック