鳥越俊太郎さんが危ない医学の広告塔に⁉女性問題よりマズイんじゃないの??

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鳥越俊太郎さんが公約として掲げた「がん検診100%」はこんなに問題があるんだよ、と以前「都知事候補鳥越さんの「がん検診100パーセント」発言の問題点はコレ。公約が実行されたら大混乱確実!」というブログを書きました。

医療問題に積極的に発言する都知事は、1医師としては賛否の意見が出て非常に歓迎です。しかし、

  1. 医療費高騰の原因となる免疫チェックポイント阻害剤オプジーボの広告塔になりかねない問題
  2. 実際に死亡例が出ている免疫チェックポイント阻害剤を使用しているクリニックの広告になりかねない
  3. 対談形式とはいえ「鳥越流免疫力アップ法」との医学的裏付のない表現による誤解を招く

この3つはせっかくがんサバイバーとして激務の都知事に候補として出馬した、鳥越さんの女性問題より、大きな被害者を生み出す危険性があります。

女性スキャンダルよりこっちの方が大きな問題だと思います

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https://www.tella.jp/company/interview/vol3/4.php

都知事選のさなかにこのようなブログを書くことはいかがなものか、との御意見もあります。しかし、今現在もがんと戦っている方を間違った方向へ導いてしまう可能性は消え去りませんのでブログとしてアップいたします。

ジャーナリストとしては脇が甘すぎます

某企業のサイトでは「4度の手術と抗がん剤治療、がん闘病を支えた漢方と鳥越流免疫力アップ法」と題された対談が掲載されています。対談中に会社側の方のこんな問いかけに

体内でどういった免疫細胞が出ているのかというのを、科学的に詳しく調べるんです。鳥越:それはぜひ1回調べてみたいですね。とても興味があります。

https://www.tella.jp/company/interview/vol3/4.php

との箇所があります。

免疫力を確実に把握する検査方法ってあるのでしょうか?

更に鳥越さんは

西洋医学の先生と東洋医学の先生は、まだまだ仲がよろしくないことが多いようで⋯⋯。おたがい話が通じないというのがわかっているので、僕の大腸がんの手術をした先生に東洋医学の漢方薬のことを説明してもわからないんだろうなと。だから両方の先生に、それぞれの治療の説明をすることはやめて、ただ黙っています(笑)

https://www.tella.jp/company/interview/vol3/4.php

と仰っていますが、これは両方の医師としては服薬歴・治療歴を把握できず、治療効果の判定もあやふやなものになってしまいますよ。

会社側の方の話は免疫療法について迫りだします。

免疫療法の1つである樹状細胞ワクチン療法を加えると余命が延びるというデータが出てきていますし。免疫という免疫療法の1つである樹状細胞ワクチン療法を加えると余命が延びるというデータが出てきていますし。免疫という観点でも、良い免疫を維持しながらも悪い免疫だけを叩いてくれる、そういった作用のある抗がん剤もあるんだということがわかってきているんですね。

(注意 原文より2字削除してあります)

ワクチン療法は医学的にはまだ研究段階であるはずで、スタンダード医療としての認識を多くの医師はもっていないはずです。

免疫チェックポイント阻害剤で死亡例もでています。

ここの会社の代表が語っている内容に嘘やまやかしはありません。事実、樹状細胞ワクチン療法は多くの大学病院で試されている治療方法です。しかし、サイト上で実施機関として紹介されている医療機関の幾つかに問題があります。「がん免疫療法」といえば、一ヶ月でかかる費用が300万円と騒がれている新薬オプジーボ(一般名・ニボルマブ)があります。というかこれしか日本ではありません。しかし、オプジーポでこんなことが起きているのです。

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http://www.asahi.com/articles/ASJ7M61MMJ7MULBJ01B.html

現時点でオプジーポが使用できるがんは「根治切除不能な悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に日本では限られています。その他のがんにも効果があることは十分予想され(本年中に腎がんへの適応も多分承認されます)ています。それを保険診療ではなく、自由診療を中心に行っているクリニックが日本ではまだである「適応外のがん」の治療に使用してしまったのですね、それによって死亡例が出てしまったのです。さらに保険適応外ですから、少なくとも300万円以上を毎月治療費として支払ってたのでしょうね。

注意:鳥越さんが対談している会社が提携している医療機関で死亡例が起きたわけではありません。

常識ではあり得ない治療数を誇る「がん免疫療法」クリニックもあります。

がん免疫療法を行っている医療機関の幾つかを以前からウォッチングしていました。ある都内のがん免疫療法専門クリニックでは2万件を超える治療症例を売りにしています。

でも、ちょっと待てよ、悪性黒色腫に罹っている患者さんって日本中で約4000人となっています。肺癌の患者さんは13万人程度(国立がん研究センターより)です。肺癌のうち非小細胞肺がんは85パーセント程度ですから、悪性黒色腫や肺がんの患者さんをたかだか1クリニックで2万人の症例なんて、どう考えても無理です。数字を盛ったかあるいは、適応外のがん患者さん使用したと思わざる得ません。

せっかく, がんサバイバーとして都知事選へ挑戦されるのですから、対談とはいえ錯誤を招くようなことは避けていただきたいです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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