都知事候補として鳥越俊太郎さんが出馬しております。大腸がん、それも転移を伴う大腸がんとの闘病経験を生かした政策として「がん検診100パーセント」と掲げています。
本記事の内容
私は鳥越さんの支持者ではないのですが、間違いは間違いと言いたくなる性格で
がん検診100パーセントという政策は、鳥越さん思いつき公約であり問題含みであることを以前ブログにしました。
都知事候補鳥越さんの「がん検診100パーセント」発言の問題点はコレ。公約が実行されたら大混乱確実❗
鳥越さんへの批判の中で「大病しているんだから、任期を全うできるのか?」的なものが目立ちます。その中で論客が集まった「アゴラ」の池田信夫さんの記事に幾つかの間違いを発見してしまいました。
追記 「アゴラ」の池田信夫さんのブログは後日拝見した所、修正されていました。もしも私のブログを読んで頂けていたとしたら嬉しいです。2016年7月20日
これはヤフーニュースに掲載されていたものです。
これって鳥越俊太郎さんの病気の情報も間違っていますし、医学統計的にも間違っていますし、算数的にも間違っています。また現時点でがんと闘っている方に対しても、好意的に受け入れがたい記事となっています。
Big Shot 池田信夫さんの記事の間違い
池田信夫さんといえば「アゴラ」の設立者であり、経済学者であるとともにブロガーでもあります。反原発派に対する厳しい意見をお持ちになっている方程度の知識しかなかったので、池田信夫の記事に対して脊椎反射的に間違いを指摘したTweetを投稿してしまいました(Twitterは個人的見解を述べることに使用、ブログは五本木クリニックの見解として使用)。
池田信夫さんの鳥越俊太郎さんの病気への認識がそもそも間違っています。記事での間違いとして
ステージ4というのは末期癌と書かれていますが、医療専門家は末期癌という言葉は使いません
さらに癌は「がん」と表記します。またステージはローマ数字を使用してステージⅣと表記します。これは枝葉末節なことであり、あげあしとりなので、豆知識的にお伝えします。
そして鳥越俊太郎さんが罹った「がん」について大きな誤解をされています
大腸がんの肺転移を肺がんと誤認、大腸がんの肝転移を肝臓がんと誤認
しているのです。鳥越さんの大腸がんは遠隔転移があるから病期(ステージ)Ⅳと診断されています。
重複するがんの5年生存率は単純に掛けあわせてはいけないのです
池田信夫さんは
- 大腸がんの手術をした場合の生存率は17.9パーセント
- 肺がんの5年生存率は11.6パーセント
- 肝臓がんの5年生存率は19.9パーセント
- これらの5年生存率を掛け合わせて、鳥越さんの生存率は0.3パーセント
と考えていますが、複数のがんの生存率は積で求めてはいけないのです。
これも枝葉末節なんですけど
- 17.9パーセント × 11.6パーセント × 19.9パーセント = 0.41パーセント
- 11.6パーセント × 19.9パーセント = 0.23パーセント
「生存率は0.3%という奇跡的な数字」が導かれたのでしょうか?計算間違いでしょうか、謎です。
結論から言えばステージⅣの大腸がんの5年生存率は19パーセントです(施設により手術した場合の数字は違いますが、概ねこのくらいの数字になっています)。
池田信夫の発言の他の問題点⋯闘病中のがん患者さんはどう考えたか?
多くの反鳥越陣営は健康状態を俎上に乗せて「任期が完うできるのか」的な発言を寄せています。鳥越俊太郎さんを「がんサバイバー」と考えると、今現在がんと闘っている方は「がんサバイバーになっても、仕事は無理かな」「がんに打ち勝っても、社会活動は無理か」と捉えてしまいます。また、現時点で大腸がんと診断され、残念ながら遠隔転移があれば「自分が5年後に生きている確率は0.3パーセントか」と大きな勘違いをする可能性もあります。
コロコロ変わる都知事に有権者に健康に問題あるんじゃないかと思われてる鳥越さんが立候補する必要はないですけどね
論客として尊敬している池田信夫さんでさえ、専門外の医療となると勘違いされちゃうんですね(時々医学統計を私も間違いますけど)、よろしければ医学系の記事をお書きになる時は事前にご相談頂けると感激しちゃいます。
枝葉末節をツッコミまくる私が大っ嫌いな感情論に支配された「反原発派」が何を言い出すかわかりませんし、鳥越さんのファン層の中心と予想される「おばさま方」の非論理的な思考回路によって「鳥越さんをいじめないでください」的な抗議を受ける可能性もあります。
鳥越さんの風貌、福岡訛りで反権力的な主張をしている姿に「スッゲー、この人モテるんだろうなあ」と思っていた時期があります。しかし、今回の「がん検診100パーセント発言」を受けて、鳥越さんのウェブ上の発言をチェックしたところ、さらにがっかりしました。それは後日ブログにする予定です。