「蚊に刺されやすい体質」は有る⁉無い⁉医学論文総チェックしたぞ❗

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「血液型がO型の人は蚊に刺されやすい」「太っている人は蚊に刺されやすい」「汗っかきは蚊に刺されやすい」などの話を聞いた事ありませんか?

実は私はかなり蚊に刺されやすい体質というか、刺されやすい運命かなにかの持ち主です。

以前から調べよう調べようと考えていた蚊に刺されやすい体質は本当にあるのか?についてシステマティックレビュー・レビュー風に調べてみました(本当のシステマティック・レビューじゃないから、ツッコンではいけないよ)。

こんな体質の人は蚊に刺されやすいは本当か?

蚊に刺されやすい体質の有無を調べる方法として医学論文を検索するサイトに「mosquito blood type」なんて感じでキーワードを入れてみると、出るは、出るは蚊と血液型の関連を調べた医学論文が❗

この中から読みやすそうな論文をチョイスして(システマティックシステマティック・レビューじゃなっくなっているw)、読み込んでみました。

やっぱり血液型がO型の人は蚊に刺されやすい?

検索して目に付いた中で一番古そうな論文「The use of ABO blood groups as markers for mosquito biting studies.」(Trans R Soc Trop Med Hyg. 1978;72 (4) :357-60.)によれば、血液型の問題より子供より女性の方が7倍刺されたって結果の方に目がいってしまいました。

次に「ABO blood groups of residents and the ABO host choice of malaria vectors in southern Iran.」(Exp Parasitol. 2014 Jan;136:63-7.)を読んでみましょう。この論文はマラリアの流行地ではO型の血液型の人は高い有病率を持っていると書かれています。この論文がいろいろな伝搬経路で「O型の人は蚊に刺されやすい」説を補強している可能性があります。しかし、待てよ❗イラン人って血液型がO型の人が一番多いのです。

419blooddistribution_pdf

http://shukran.cocolog-nifty.com/blog/files/419blooddistribution.pdf より

ってことは蚊に刺される人も血液型がO型の人が多くて当たり前じゃん。

つまり、血液型がO型の人が蚊に刺されやすいことを示した医学論文は見当たりませんでした⋯もっと調べればあるかもしれませんけど(ちょっと無責任か)。

汗臭い人、お酒を飲んでいるは蚊に刺されやすい

匂いに蚊の行動が左右されることが報告されています。「Odor-mediated behavior of Afrotropical malaria mosquitoes.」(Annu Rev Entomol. 1999;44:131-57.)によるとメスの蚊は匂いに行動を左右するとのことですから、好みの匂い刺されやすい匂いの存在を示唆しています。

野外でバーベキューをやるとなぜかアルコールガンガン飲んだオッサンが蚊の集中攻撃を受けますよね。その理由は「Alcohol ingestion stimulates mosquito attraction.」(J Am Mosq Control Assoc. 2002 Jun;18 (2) :91-6.)が明らかにしています。アルコールとしてここではビールを使用しています、っていうかビールをオッサンに与えています。その結果 ビールを飲んだ人は明らかに蚊に刺されやすかったのです。論文ではアルコールを飲む人は刺されるリスクに注意をしてね、と余計なお世話で締めくくってあります。

汗っかきは蚊に刺されやすい、という説もありますよね。「Olfaction: mosquito receptor for human-sweat odorant.」(Nature. 2004 Jan 15;427 (6971) :212-3.)の語ることによると

蚊は特殊な嗅覚受容体を持っていて、人間の汗を感知する能力を持っている

ようです。

汗だくで、ビールを飲んでいるオッサンは蚊の大好物だったのです(前述論文によれば、本当は女性の方が刺されやすい)。

その他、蚊に刺されやすい人の特徴

一般的には蚊は人間が呼吸した時の二酸化炭素や汗に含まれる成分に惹きつけられていると解釈されています。運動をして汗をかき、大量の二酸化炭素を吐き出しつつ、アルコール摂取した場合は「蚊取りホイホイ」的に蚊を集めてしまいます。

意外と知られていないこととして「蚊は黒が好き」なんです。蚊の目は白黒しか識別できなく、黒を好む傾向があります。蚊に刺されないようにするには白っぽい服を着ることもある程度、予防効果はあります。

蚊は病気を伝搬する、ということをお忘れなく

昨年のデング熱騒動、今年のブラジルでのジカ熱騒動、そして忘れてはならない日本脳炎も蚊に刺されることによって感染します。

日本脳炎って昔の病気のイメージがありますが、近年でも毎年数人の方が感染しています。発症した場合、20〜40パーセントの人が死亡する危険な感染症です(厚生労働省サイトによる)。日本脳炎は現在では副作用の少ない新しいワクチンがありますので、ぜひワクチンの接種を受けるようにしましょう。

タイトルに医学論文を総チェックしたと書きましたが、力及ばず「誇大タイトル」でした。すいません、ペコリ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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