匿名医師の実名等をSNSで晒した某議員さん、なんでこんなことしちゃったの???

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自分のように実名でニセ医学・疑似科学を批判している医師は稀です。理由として勤務医の場合、職場に抗議の電話等が殺到するからです。大学病院に勤務している場合は匿名医師の意見がその病院あるいは所属する医局の意見と捉えてしまう人もいるので、匿名で書かざるえない状況だと解釈しています。

SNSで自分の意見を批判する匿名医師のプライバシーを暴露した子宮頸がんワクチン反対派の議員さん

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やらかした市議会議員さんのTwitterのトップ

国が率先して始めた子宮頸がんワクチン、正確にはヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチン接種によって副作用というか、副反応が問題になっています。接種したワクチンと問題となっている副作用あるいは副反応の症状が、通常のワクチン接種時に起こりうる症状とは違ったために、行政も混乱気味であることに間違いありません。

しかし、子宮頸がんワクチン反対と主張するのはご自由ですが、自分の意見に賛同しない、あるいは批判した匿名医師の実名・勤務先を暴露(ウェブでは晒す、という表現)はいただけませんよね。

注意 本来ならば公人である議員さんの名前を記載しても良いと思うのですが、この方は全く反省していないのか、未だに匿名医師の実名等の投稿を削除していません。匿名医師のプライバシーを守るために、議員の名前は記載しません。

本当にあった恐い反対派の嫌がらせとしか思えない行為

ある勤務医が匿名でワクチン接種反対派の疫学データの読み間違いをしてきしました。するとその一派の賛同者が、その勤務医さんの職場、当然病院に抗議の電話を殺到させたのです。

また、県立病院であれば知事や東京都であったら病院経営本部などに猛抗議をする、あるいは猛抗議する用意があると、どう見ても脅して的な手段をちらつかせたそうです。国立病院であれ公立病院であれ、行政機構に組み込まれた組織ですから「個人の主張をSNSで投稿して、それに対する混乱に当組織を巻き込むことは許されない」と厳重な注意をされたそうです。

このような抗議手段を取られると、正しい医学情報を伝えようと考えた医師は当然萎えますし、ひょっとしたら病院を首になるんじゃないかと怯えたそうです。

注意:この話はワクチン反対派に攻撃された医師の個人情報を守るために、特定できないよう場所や問題となったワクチン名、および反対派の詳細はボカしてかいています。

医師同士の討論で相手に圧力をかけるなんて聞いたこと無い、陰口はいうけど(笑)

学会や勉強会で医師間で激しいやり取りをすることも、全く無いわけではありません。教授の講演に対して、反論を投げかける元気な若手医師も皆無ではありません。

討論の問題になっているのは研究・調査の結論であり、その内容、実験方法、統計学的処理についてであり、個人間の罵り合いになることは目撃したことはありません。じゃあ、教授に反論されてケチョンケチョンにされた若手医師はその教授のプライバシーをSNSに投稿するでしょうか?そんな幼稚な手段を取ったら親友でさえ、友達やめるでしょうね。

研究における論議って人格を問われるものではなく、結果やその結果を得る手段に対する議論ですから。かなり以前にノーベル賞を取った大先生は、海外で研究中に自分の研究の方が優れいると確信して、他の研究者が使用していた遠心分離器を強制的に止めて、自分の試験管を入れたという逸話があります。人格的に無茶苦茶であっても、その人格を攻撃した議論は皆無です。まあ、私程度がしっている逸話ですから、陰口が噂にはなったんですが、大先生の業績は輝かしいものであることはゆるぎません。

純真なワクチン反対派の理論的指導者である医師も間違っている場合がある

子宮頸がんワクチンの副作用についての報告書やデータは不備があり、当然専門用語が多用されているために素人は煙にまかれたように思うのは当然です。そこで専門家が医師を反対派に協力してもその医師が疫学、あるいは統計学に精通しているとは限りません。

ワクチン反対派の理論的指導者として祭り上げた医師は自分のデータの解釈の間違いを他の医師に指摘されても、聞こうともしないあっち側の世界に行ってしまいます。するとその医師は医学論文で自分たちに有利になりそうなものを見つけ出しで、反対派の勉強会で報告します。

多くの場合、あとで間違いと指摘された論文や中には論文の執筆者が詐欺の判決を受けて医師免許剥奪されていた、なんてこともあります。

ディズニーランド発の「はしかパニック」の原因はワクチン反対派??ワクチン自閉症原因説の根拠は崩壊❗

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この説を広めた医師は医師免許剥奪になっています。

素人の方はもう勉強しても、医師の知識に追いつくことは稀です。そこで協力しくれる医師が素人の方に丁寧にわかりやすい説明をすればいいのですが⋯。医師同士間の罵り合いが少ない理由として、共通の言語をもっていることが大きいと思います。しかし、疫学となると結果を左右する因子が多すぎるし、統計学となると医師でも頭を抱えてしまうことがあります。

中にはハジメっから他の意見を聞かない人もいる

今回の騒動を巻き起こした某市議会議員さんのツイートやブログを読む限り、「子宮頸がんワクチンは悪」との信念で「子宮頸がんワクチンを庇う輩は私が許さん」的な意思が感じられて少し怖いです。

どんな場合も間違いは起こります。起こってはならないミスも出てしまうことがあります。そんなときこそ冷静に議論をするべきなんじゃないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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