週刊現代「飲んではいけない薬」シリーズは木を見て森を見ずだ❗

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いやーしつこいしつこい、週刊現代の「飲んではいけない薬」「やってはいけない手術」シリーズ。

掻いてあること全部が全部間違いではないし、かといって全面的に信用・信頼して良い記事で埋め尽くされたここ一ヶ月の週刊現代。

「飲んではいけない薬」はウソだらけ⁉医師でも医療ジャーナリストでもトンデモさんが多発❗

「飲んではいけない薬」はウソだらけ⁉医師でも医療ジャーナリストでもトンデモさんが多発❗

医療現場もこのシリーズによって混乱が生じています。

薬はすべて利益と不利益があるんですけど

余計な薬を服用する必要はないし、ある病気だと必要以上の薬が処方されていると多くの医師も感じています。

週刊現代自体が「木を見て森を見ず」状態なので、対応策としては当方も総論的に批判するより、各論で週刊現代「飲んではいけない薬」シリーズの最新刊を俎上にあげます。

週刊現代の読者層は60歳代の男性が主のようです。これは生活習慣病をもち医療機関を受診する層と一致しています。

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http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3969b.html

週刊現代のコアな読者層は自分の将来について強く不安を感じるのも当然ですね。

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http://www.hoken-mammoth.jp/knowledge/toukei/c07.php

60歳を超えると死亡する可能性がこんなに高くなるんですから。

60歳代は両親の介護問題を抱えつつ、退職後の自分の健康面を含めたライフスタイルをどうするかが気になる世代と考えます。週刊現代が健康問題・薬問題・医療不信問題をシリーズ化しているのは、ターゲットがバッチリ把握したために、多分今までH記事H写真に頼りがちだった紙面の構成を生まれ変わらせる大チャンスなんでしょうね。

うつ病の薬は怖い怖い?治療の本来の目的は自殺の防止

週刊現代2016年7月16日号(本日7月4日発売)の記事に沿って、個別に考えてみます。トップに書かれている精神疾患の薬の処方については、医師の間でも多剤処方が問題にはなっています。うつ病の場合、第一に避けるべきことはいかにして患者さんを自殺させないかなのです。中にはうつ病で入院させられる患者さんがいますが、その目的は「自殺しないように周囲が十分に注意をする」ためなのです。自宅だと十分な監視下にうつ病の患者さんを置くことはまずもって不可能と考えて入院してもらうのです。

外来で治療する場合、本来ならば1-2種類の薬でコントロールすることが可能ならば、それに越したことはありません。うつ病を心の病気的に捉えて「心の風邪だから、寝ていれば治る」と週刊現代に登場する患者さんはおっしゃっていますが、それはあなたの場合であって、多くのうつ病の患者さんは自殺という最悪の死を迎える可能性が大きいのです。ですから自己判断で絶対に服薬を中止してはいけません❗

生活習慣病の薬、降圧剤は怖い怖い?

60歳代の男性のお馴染みの生活習慣病といえば、高血圧です。原因として遺伝的な要因以外にストレス・肥満・高塩分食・喫煙・過度の飲酒があります。血圧が高いからといって、すぐに降圧剤を飲む必要はありません。3ヶ月程度ご自分のライフスタイルに気をつけてみましょう。結果として血圧の降下がみられたら、主治医に相談してみてください、多くの賢明な医師は薬を飲まないでもう少し様子をみましょうとアドバイスするはずです。それでダメな場合に初めて服薬すればいいのです。

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http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/hypertension/

高血圧はこれだけの病気のリスクを高めます。放っておいていい病気ではありません。週刊現代ではシリーズ中で通して横紋筋融解症を恐い副作用として取り上げています。

副作用として起こる横紋筋融解症は重篤な場合は極々少数ですし、死亡例は日本では報告されていません。主治医の元で服薬する高血圧の薬を必要以上に恐れることはないのです、利益の方が多大ですからね。

生活習慣病の薬、コレステロール治療薬は恐い恐い?

中年以降のオッサンに馴染み深い生活習慣病といえば「高脂血症」ですね。この病気は血液検査をしないとわからないので、高血圧のように自宅で測定管理はできません。高脂血症の原因として過食・飲み過ぎ・喫煙・肥満などあります。女性の場合は閉経以降ホルモンバランスの変化によって高脂血症になることもあります。

高脂血症を放置しておくと心筋梗塞や狭心症のリスクがこんなに高くなります。

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http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/dyslipidemia/

スタチン系の薬で糖尿病のリスクが高まると、週刊現代2016年7月16日号には書かれています。それはフィンランドの研究である「Increased risk of diabetes with statin treatment is associated with impaired insulin sensitivity and insulin secretion: a 6 year follow-up study of the METSIM cohort」(Diabetologia (2015) 58: 1109)のことを指していると思われます。

しかし、「Pravastatin and the development of diabetes mellitus: evidence for a protective treatment effect in the West of Scotland Coronary Prevention Study. Circulation 」(Circulation. 2001 Jan 23;103 (3) :357-62.)によればスタチン系の高脂血症の薬は糖尿病発症リスクを抑えたことが示されています。

森を見ずに木だけにスポットライトを当てた、週刊現代の記事を全面的に信じるとのは危険じゃないでしょうか?

生活習慣病の薬、糖尿病治療薬は恐い恐い

糖尿病というのは血糖値が高い病気っていうのは誰でもご存知だと思います。血糖値は一日のうちでも大きく変動しますし、食前食後でも変化します。もちろん食べたもの、飲んだものにも左右されるのが血糖値です。血糖値が高い状態が継続するのが糖尿病であり、こんな疾患のリスクを高めます。

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http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/diabetes.php

糖尿病の治療は食事と運動が中心ですが、なかなか血糖が下がらない時に薬が処方されます。薬の働きは血糖を下げることですから、当然の副作用として「低血糖」があります

ゴッドファーザーⅢでマイケル・コルレオーネが神父さんに相談している時に低血糖発作を起こした場面をオッサンなら記憶しているのではないでしょうか?その時マイケルはオレンジジュースとお菓子で対応しましたよね。血糖を下げる薬を服用する場合は常に「低血糖発作」に注意を払わなければいけませんし、対策として携帯用のブドウ糖の塊もあります。ぜひ、主治医に御相談下さい。

対処方法がわかっている低血糖を恐れるあまり、高血糖状態が持続すると、上記のような取り返しのつかない病気になってしまいます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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