痛みを副作用の項目に入れたために90パーセント近くの方が副作用を感じ、中には継続する痛みに苦しんでいる人もいます。
効果と副作用の悩ましい問題
子宮頸がんはヒューマンパピローマウイルスが原因として知られています。予防のできるがんとして予防接種が世界中で行われています。子宮頸がんに本当に効果があるの?という方もいますが効果は実証されています。
日本では近年本格的に厚労省の指導のもと予防接種が行われましたが、あまりにも多く報告される副作用に厚労省は腰の引けた対応をおこない国民に不信感をあたえていることはみなさんご存知のことと思われます。
HPV16型と18型をターゲットとした2価ワクチンであるサーバリックスが日本で子宮頚癌の予防接種として最初に厚労省に認可されました。
子宮頚癌だけを防ぐならサーバリックスで十分なのですが、性器コンジローマなどの原因となる6型と11型も含む4価ワクチンがガーダシルの名前で日本でも使用されています。
当院はガーダシリルの接種を行っておりませんので、今回のブログの内容に合わせてオーストラリアで使われている物の写真です
4価のワクチンのがん以外の結果がでました
オーストラリアは2007年から積極的にワクチン接種を行って来ましたが、5年経過した時点での効果をまとめたものが今回投稿されました。今回、ガーダシルを使用した結果がでました。
Genital warts in young Australians five years into national human papillomavirus vaccination programme: national surveillance data
BMJ 2013;346:f2032
子宮頸がんの発生についてはもう少し長めのスパンで無いとデータは出てこないと思います。今回は性病の一つであるコンジローマに対する効果判定でした。
結果のまとめ
2007年と2011年の尖圭コンジローマの発生状況を比較したものです。
この期間、希望者にたいして予防接種は無料で行われました。
・21歳未満の女子11.5パーセントから0.85パーセントに激減
・21-30歳の女子で11.3パーセントから3.1パーセントに激減
ちなみに
・21歳未満男子も12.2パーセントから2.2パーセントに激減
予防接種はしていませんよ!
残念ながら当然と言えば当然ですが30歳以上の方にはあまり利益は無かったようです。
さらにこのような調査をする場合は必ず必要とされるのが対照群と呼ばれる、この場合は予防接種をしない人と比べてどうか?と比較することが重要になります。その結果は
こんなに差がついています。なんと予防接種をしていた人は2011年の時点でコンジローマになった人は0人でした。
コンジローマに対する予防効果は接種をした人だけでなく、それ以外の人にも恩恵があったのです。予防接種の本来の目的である感染の拡大を確実に防ぎました⋯性病ですけど。
同性愛者の感染も調べてある さすが!
同性愛者またはバイセクシャルの方についても調べてあるのはさすがと言えます。残念ながらこの傾向のある方たちにはHPVワクチンによる恩恵は無かったようです。
⇒女子がコンジローマにならない
⇒バイセクシャルがコンジローマにならない
⇒同性愛者(男)がコンジローマにならない
という図式は成り立たなかったようです
だから、男性も予防接種を!という意見はでていません。
性病に効果があることははっきりしましたが今後の厚労省の動きはどうなるのでしょうか?性病の予防も大事なことですが国家をあげて積極的に予防接種を行うことは当然、現在の日本では本来の目的とはかけ離れたものとの意見が主流ではないでしょうか?
しかし、性病であっても国民の健康問題であるのはHIV (エイズ)を持ち出さないでも明らかなことです。
性行動に対する考え方は国によっても違いますし、年齢・世代によっても違ってくるのは当然です。しかし、みんなで考えていく必要があるのは異論のない所だと思います。そのためには胡散臭い情報ではなくしっかりした情報のソースが重要となります。
オーストラリアの保健省のHPはHPV school vaccination programとして詳しくでワクチンの問題を取り上げています。
行政が主導する健康問題は積極的な啓蒙活動と情報の公開、そして行政の毅然たる態度を厚生労働省にも見習ってもらいたいと思います。国民に情報が伝わっていなけりゃ、全く意味がありません。
官報に公示してあるよ、という昔ながらの体質はかわらないのでしょうか?女性が厚生労働省の次官になったいまが変わるときではないかと強く思います。