これはあくまでも美容目的の豊胸手術に関する話です。乳癌になってその手術後に行われる乳房再建手術にたいする話ではありません。
豊胸手術を希望される方は多いのですが⋯
豊胸手術に使われるシリコンバッグが原因で体調不良になったという裁判が以前アメリカで行われ多額の賠償金30億ドル❗が支払われたこと憶えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その後の研究によってシリコンバッグが体調不良の原因ではないということが明確になったため、近年豊胸術に再びシリコンバックが積極的に使用されるようになりました。
一時期シリコンバッグの内容物を生理食塩水に変更したものが使用されていましたが、感触がイマイチでした。 現在はこのようにより人の乳房の感触に近いものが使用されています。
美容目的で豊胸手術をおこなった女性の乳がんの発生と生存率の関係についての論文が発表されました。 BMJにBreast cancer detection and survival among women with cosmetic breast implants: systematic review and meta-analysis of observational studiesというタイトルで掲載されていました。(BMJ 2013;346:f2399) 「美容目的の豊胸手術の乳がんの検出と生存の系統的検討」といったタイトルです。
豊胸手術で乳がんの発見が遅れる!
今回の研究は美容目的で豊胸手術を受けた人とそうではない人の診断時に乳がんのステージや生存率に差がでるか?ということを調べることを目的としています。メタ解析と呼ばれる今まで豊胸手術と乳がんの関係を調べた論文を全てチェックして彼らの目的に適した研究を12件ピックアップして、それをさらに解析しました。
このような選択をして残った12研究に検討を加えたのです。
果たして結果は⋯
12の研究を検証したところ下記の様な結果がでました。
さらに情報が充分今回の研究が必要としているデータを満たしているもの5つの研究を検討すると
豊胸手術をしていると死亡するリスクが38パーセント増える! という驚きの結果が導き出されました。このような結果が導きだされた原因として考えられるのはマンモグラフィで乳がんの検査をした場合、
⇒シリコンバックが邪魔になって正確な診断が出来なかった。
⇒その為早期発見がおくれて見つかった時は進行した状態である。
⇒だから死亡リスクが高まる
という流れが当然考えられます。
原因を医療サイドが作って、それをまた治療すること?
アメリカでは美容目的で豊胸手術はなんと年間30万件行われています。豊胸手術をおこなった女性はおこなわなかった方の乳がんと比較して、非限局的乳がんになることはエビデンスとして知られています。つまり拡がったがんになるということです。
ということは、今回の乳がんの発見が遅れるというものとは別に豊胸手術が乳がん発生になにかしら関連しているということです。美容目的で豊胸手術をすることによって、乳がんが発生してそれをまた再建手術をするのって、古い言葉でいうとマッチポンプじゃないの?
原因は医療サイドが作っていて、その治療をまた行う、ということになりませんか? 乳房外科などという看板を上げていて美容目的の豊胸手術を行って、その後乳がんになって手術して、さらに乳房再建手術を行っている医療機関があったら怖いですね。
実際、このような結果が医療不信をおこし極論である「病気になりたくなかったら医者にかかるな!」的な発言の一要因になるような気がした今回の論文でした。女優の乳癌切除というセンセーショナルなできごとがあった直後の論文だったのでこのあたりは深く医療関係者は考えていかなくてはいけないのではないでしょうか?