診察するときは必ず現在飲んでいる薬をお尋ねしますが、患者さんが「薬じゃないので、サプリは良いですね!」とよくおっしゃられます。
サプリの危険性に医師会と厚生労働省が協力
最近東京都医師会からの定期文書の中にやたらと「健康食品」情報共有シートというものが同封されています。
目的は健康食品、サプリメントとの関連が疑われる健康影響に関する情報を幅広く収拾して医療関係者と行政が共有する取組により、危害の発生を早期に把握し、健康被害の未然防止や拡大防止を図ることを目的とします、とあります。
実は皆さんが新聞やTVで取り上げられ事件化した健康食品の被害より水面下では実際の診察にあったいる私たちにとっては珍しいことではありません。化粧品にかぶれたとかそのようなレベルではなく一般的にサプリとして摂取しているものに非常に危険が潜んでいます。そんなサプリですが、サプリが該当する健康食品市場、その市場規模は週刊ダイヤモンドによるとなんと2兆円なんです!実は一番問題になるのはがんが治ると称するサプリですが、それはまた別の機会に述べます。
一番トラブルが多いのは痩せる、ダイエット系のサプリ
ダイエット系のサプリの広告が目に入らない日はないと言えるくらい、露出度が高い製品です。せっかく購入したのに効果が無かった、というのはその時は気に入って買ってしまった洋服がいざ着てみると全然似合わなかった程度のかわいい失敗とお考えください。非常に効果があるとされているダイエットサプリが一番トラブルが多いのです。
厚生労働省も注意を呼び掛けています
効果があるとされているダイエットサプリ特に並行輸入物には注意が必要です。主成分はエフェドリンや麻黄が多い様です。中枢神経刺激作用が強く元気がでて、さらに痩せるなんて売り言葉があったら要注意です。オリンピック選手がドーピングで引っかかるケースも多数あります。気づかないうちに摂取している場合はしょうがないですが、痩せるサプリのされて販売されたケースで特に悪質なものを挙げてみます。
日本の例
ブラウンシュガーと称して販売されていたものは、1.5グラム中に135㎎のエフェドリンが含まれていました。覚せい剤の取り締まり基準が濃度10%ですから、ほとんど覚せい剤でした⋯痩せるはずです。
アメリカの例
売上高トップだったサプリ Metabolife(素晴らしいネーミングです)は麻黄とカフェインを組み合わせたものですが、心室性不整脈を引き起こすこおとが調査の結果わかりました。それまでになんと類似薬を含めると155人の死亡者が出てしまいました。それによってアメリカでは麻黄を含むサプリはすべて販売禁止になりました。
それでもまだ類似サプリが出現している為FDAはさらなる注意を喚起しています。
あの防風通聖散にも含まれています
ポッコリおなかを解消するといわれている防風通聖散も実は麻黄が含まれています。出来るだけ市販薬を自分の判断で使用しないで、医師に相談してから服用するようにしてください。じゃぁ、麻黄が含まれていなければ安全か?といわれると困ります。シネフリンという成分が含まれているものも注意です。シネフリンは橙に含まれる交感神経刺激物質で作用はエフェドリンに非常に似ています。しかし、問題点は薬の場合は成分がすべて表示されていますが、サプリの場合全ての成分表示がされていないことなのです。
決して全てのサプリが安全でないといっているわけではありません、安全で効果があるとされているものを扱っている業者も少なくはありません。 「健康食品」の安全性・有効性情報をぜひご覧ください。