メンタリストDaiGoさん、副作用無しでアロマで生理痛が治る、とは本当でしょうか?

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メンタリストDaiGoという有名人がいます。You Tubeで生理痛に効くとの表現をつかってアロマオイルを勧めていることが、ひょっとすると薬機法に抵触する可能性があります。ラベンダーのアロマが生理痛に効果があることを証明した論文がある、と述べています。しかし、その論文は医学の世界で高く評価されているとは限りません。

生理痛を副作用無しでアロマで治せると豪語するメンタリストDaiGoさん

DaiGoさんがこんなことを述べています。

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メンタリストDaiGoさんが薬機法違反しているんじゃ無いの、との疑問がネットで取り上げられています。その件に関しては先日ブログで検証してみました。

メンタリストDaiGoが薬機法違反⁉と言われても何が何だかわからない方へ

メンタリストDaiGoが薬機法違反⁉と言われても何が何だかわからない方へ

メンタリストDaiGoさんがYouTubeなどで、病気や症状を緩和するサプリを推奨しているのは、先日芸能人がニセ医学と判断できる血液クレンジングをネットで拡散してステマ疑惑等で問題になったこととの関連性は法律の専門家でない私は触れません。

医師としてメンタリストDaiGoさんに申し上げたいのは

ラベンダーのアロマで副作用なしで、生理痛が解消できるのか?との素朴な質問にお答えいただきたいのです。

メンタリストDaiGoさんは動画中(https://www.youtube.com/watch?v=ClpCW6YwBSU)でラベンダーのアロマは研究論文によって、生理痛を治療する効果が明らかになっている、と豪語しています。

DaiGoさんがいうところの医学論文の内容を精査すると共に、安易にラベンダーのアロマを使用することの危険性を皆さんにお伝えします。

医学論文でラベンダーの効果が証明❗っていうけどイランの論文なんだけど⋯

メンタリストDaiGoさんが動画中で医学研究で証明とか、効果がわかっていると豪語しているのが気になり、その論文を調べてみました。2014年と2016年に発表された医学論文はこれです。

「Effect of lavender inhalation on the symptoms of primary dysmenorrhea and the amount of menstrual bleeding: A randomized clinical trial.」

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24731891

「The Effect of Lavender Aromatherapy on the Pain Severity of Primary Dysmenorrhea: A Triple-blind Randomized Clinical Trial.」

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28480095

この2つの論文は共通点があって、イランで行われた臨床研究です(イランだから評価が低いわけじゃないことは重々承知しております)。

掲載誌に関しては前者は補完代替医療を中心とした医学専門誌でありインパクト ファクターは2.084です(インパクトファクターが高くても時々変なのも混じり込みますし、低くても光る論文が掲載されることがあるのは重々承知しております)。

後者はオープンアクセスであり、研究者でなくとも誰であっても読むことができる一方で論文を掲載するには費用が必要とされるものです。ちなみにインパクトファクターは0.52となっています。

両者ともに信頼度の高い論文が多数を占める、いわゆる権威ある医学専門誌との認識を持っている医療関係者は少ないと思われ、

メンタリストDaiGoさんがラベンダーの生理痛解消効果は証明されている説はかなり微妙です。

前者の研究は対象者のアンケート調査によって判断されていますので、生理痛を含む月経困難症に効果があったとしても、少なくとも日本人を対象にした研究で検証する必要性が感じられます。

後者の研究は三重盲検化(二重盲検じゃないよ)という特殊な方法によって解析されていますが、偽薬として使用されているのが「diluted milk」なんで、被験者には偽薬であることがバレバレだった可能性が高いです。

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「diluted milk」Googleの画像検索結果

メンタリストDaiGoさんはラベンダーは副作用が無い、と豪語していますが間違いです

動画中で副作用は無い、と述べられていますが、私がいくつかのキーワードでサクサク調べてみると、出てくる出てくるラベンダーによる健康被害。英文ばっかりだとあきるので、日本語の論文をいくつかご紹介しますね。

「ラベンダーオイルにより生じた接触皮膚炎の1例」(臨床皮膚科 65巻10号 2011年9月)によれば13歳の男の子が胸部,背部,両肩部に浮腫性紅斑が生じて、結果的に入浴剤に含まれるラベンダーオイルが原因物質として考えられています。

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このような報告もあります。

「ラベンダーオイルの原液を枕に数滴垂らして寝る習慣から生じた頸部のアレルギー性接触皮膚炎」(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌2018年1巻3号p. 219-225)では41歳の女性がラベンダーオイルを使用して、首に接触性皮膚炎(いわゆるかぶれ)を引き起こした症例が報告されています。寝る前のラベンダーオイルを枕に数滴たらしたのが原因と考えられています。

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こんな論文もあります。

「アレルギー性接触皮膚炎 : ラベンダーオイルのヒトパッチテスト結果とモルモット皮膚感作試験結果」(アレルギー 2001年50巻 2-3 号 )では以前から知られていたラベンダーオイルによる接触性皮膚炎の研究として、モルモットにラベンダーオイルの感作試験を行っています。結論として「ラベンダーオイルは強い感作性を有するために、日常生活への活用方法に注意が必要である」と述べています。

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海外では米国のNIH(アメリカ国立衛生研究所)がラベンダーオイルを飲んでしまった場合の危険性を警告しています。

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hhttps://medlineplus.gov/ency/article/002711.htmより

さらに日本の厚生労働省が管理する「統合医療 情報発信サイト」では次のように記載されています。

ラベンダーが、多くの健康を目的とした使用法に対して、ラベンダーの有効性を示す科学的根拠は、ほとんどありません。

メンタリストDaiGoさんはラベンダーは不安の解消に効く、高血圧にも効くんじゃないかって話があったり、さらに認知症の防止になる、痛みに効くかもしれないっていうがある、との内容の発言をされています。

効果に対して疑問があるラベンダーのアロマ、さらには副作用は無い❗と豪語しているラベンダーアロマですが、医学的には効果・効能は不明、副作用が無いわけではない、なのです。

万が一、効果があったらそれは「トクホ 」、「機能性表示食品」、「医薬品」、「医薬部外品」になるはずです。行政の指導のもとこれらの名称を名乗ることが可能になった場合、効果・効能をかたるのであれば、それなりの規制を受けます。

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国民生活センターに寄せられた健康被害情報の件数です(http://compliance-ad.jp/complianceblog/trouble/2945/)。ついでに付け加えると危害を受けたとの報告の第一位は「皮膚障害」です。

本当に効果があったら薬機法に抵触、効果がないものをこのように喧伝するのは景品表示法に抵触する可能性があります。

これらに対してどのようにお考えなのか、非常に気になるメンタリストDaiGoさんです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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