分子栄養学というものがあります。
これ実は真っ当な研究者によって今でも地道な努力が日々行われているものと、全くの別ものの分子栄養学を名乗るトンデモ系ニセ医学があるので、患者さんはもちろん医療関係者も混乱していると予想されます。
さらにトンデモ系の分子栄養学(厳密には分子整合栄養医学)の一流派と思われるトンデモさんとして 、メガビタミン療法なる怪しげな治療方法がネットで散見できます。
メガビタミン療法は根拠の無い、トンデモ系ニセ医学です❗
はっきり宣言しておきます。
ビタミンは摂取してもそれほど副作用が無いから、患者さんがサプリ等で服用していてもとがめる医師は稀なんじゃないかなあ。その医師の隙を狙って
メガビタミン療法は様々な標準治療で治せない病気を治すそうです???
自分はどんな治療(当然、医師も治療はしたでしょうね)でも治せなかった病気を治しました❗って宣言している医師じゃない人がいるんですよ。
根拠無しでね。
メガビタミン療法で患者さんを実際に治している?
こんな元気なことを仰っている人がいます(もちろん医師じゃないよ❗)。
この方こそ、私が気になって気になってしかたがないメガビタミン療法を行なっている人です。
サイトを拝見すると指圧師と名乗っています。
と述べています(http://www.kaiten.jp/cs/cs.html)。このサイトがどのようなわけか、ある一定の商品に誘導されるように感じてしまうのは自分だけ?治療院や病院で治らないコリや痛みや症状。こんなに医学が進歩しているのに、たかがコリや痛みで、なぜ何年も苦しまなければいけないのでしょうか?
まあ、ここまでは代替医療・民間医療の範疇なのですが、さすがにこれはいかがでしょうか?(私は民間医療を全否定している立ち位置でないことはご理解ください)。
メガビタミン療法がリュウマチに効果がある、と書いちゃう勇気がすごいです。リュウマチは症状が良くなったり、悪くなったり波があるんだよねえ。
たまたま、症状が軽くなった時に接触しちゃっただけなんじゃないの〜。
これは某教育者が某分子整合栄養学方面の人のことを取り上げたツイートに対し、この方のご意見です。
この人はエビデンスや論文では病気は治せない❗
とまで述べています。
トンデモさんが多用するガリレオ詭弁ですね(苦笑)。
よく医療の素人さんが医師等に対して、「エビデンス棒を振り回す」といった表現をすることがあります。
別にエビデンスや論文で病気を治そうとしているわけではなく、どんな治療方法が一番有効であるかのチョイスに論文を参考にしてエビデンスの高低を確認しているだけなんだけどなあ⋯。
もしもメガビタミン療法でリュウマチの患者さんを治したのであれば、一例でもいいから
治った症例をご提示ください
って返しますね。日本指圧学会も症例や論文掲載の場を設けていますよ。
ところでメガビタミンってなんだ?
メガビタミン療法なんて聞いたこと無いよ、とおっしゃる医師も多いことだと思われます。そりゃそうですよね、pubmedとかで「megavitamin」で検索してもバッチリこれだ❗って論文は見当たりませんから。
メガビタミンあるいはメガビタミン療法は医学用語としては認識されていないのかもしれません。
様々な流派がメガビタミン療法にあるようですが、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEを中心にタンパクとかコエンザイムQとか、亜鉛等を経口にて摂取させるとことが多いようです。マルチビタミン療法と同じことなんでしょうね。
私が見つけたメガビタミンに関して述べているものは、日本語以外だと「Antioxidant Megavitamins For Brain Health: Puffery Vs. Fact」(https://skepticalinquirer.org/2019/03/antioxidant-megavitamins-for-brain-health-puffery-vs-fact/)が医学論文ではないけどかなり面白いです。
価値がなく有害なメガビタミン療法に数十億ドルに使われてることを辛辣に批判しています。
このサイトを運営しているのは「Skeptical Inquirer」で疑似科学を検証しています。
結論として
メガビタミン療法は効果は無いよ
です。
なんで間違った効果が世の中に溢れてしまっているのかも、このサイトは検証しています。
メガビタミン療法がなんらかの病気の治療に効果があるとされている場合の注意点として、元々研究計画が杜撰でバイアスが掛かっている、良い結果だけを選んだ研究、プラセボ効果、統計学上の間違いなどなどです。
メガビタミン療法は論文ベースでは効果無し
ビタミンは副作用が無い、と思っている人が実はかなり多いです。だから身体に良さそうなビタミンはどれだけ摂取しても問題ないし、身体に良いのだから、複数のビタミンを組み合わせて、それを大量に服用あるいは点滴すればより効果があるのでは?と考えてしまうのでしょうね。
2013年BMJに掲載された「Efficacy of vitamin and antioxidant supplements in prevention of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.」(PMID:23335472)では50件のランダム化比較試験を分析して、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなど心血管系の病気のリスクや死亡リスクを防げるかを検討しています(例の論文では治りません、と言っている人には重要では無いようですけど)。
この論文は
ビタミンを摂取しても心血管系の病気のリスクや死亡リスクに影響無し❗
とメガビタミン信奉者にはイタイ結論を導いています。
さらにビタミンはがんの予防あるいはがんの死亡リスクを減らせるのか、それを検証した論文もあります。「Vitamins C and E and beta carotene supplementation and cancer risk: a randomized controlled trial.」(PMID:19116389)では8171人の女性を対象に二重盲検法でビタミンのサプリを摂取してもらい、9年以上フォローアップしました。
ビタミンのサプリを摂取してもがんの発症率も死亡率も改善しなかった
とのかなりイタイ結論になっています。
このような研究結果を総合的に考えに入れて治療をしていくのが、エビデンスに基づいた標準医療です。なんの根拠も示さないで独自の理論を振り回し、さらにその理論の影響を受けた分派がどんどん拡散していく点がトンデモ系ニセ医学の厄介な点です。
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