やっぱり西から来る脅威 鳥インフルエンザについて

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当院は風邪の診療から美容皮膚科までカバーする地元密着型の町医者ですが、今ミサイル騒動で報道が少なくなっている「鳥インフルエンザ」ですか、一般診療中に患者さんから尋ねられることが多いのでここでインフルエンザ対策に対しての心構えを述べておきます。

病気は西風に乗ってやってくる

3月12日にクリニックのフェイスブックページに「病気は西風に乗ってやってくる」、と題してPM2.5だけでなく、インフルエンザはもちろんのこと、川崎病まで日本にとって西から流行してくるの事を簡単に述べましたが、私の予想が的中して?今度は鳥インフルエンザ騒ぎです。

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インフルエンザとは

インフルエンザって知っているような気がしますが、詳しいことはご存じない方が多いと思います。風邪の酷い奴程度の認識ではないでしょうか?歴史的にインフルエンザは流行地域の人口を減らしてしまうぐらい猛威を振るうウィルス性の感染症です。ウィルスは人の細胞内に侵入して、自分自身をどんどんコピーしていく性質をもっています。もともとは日本から見て西側の地域の風土病的なものが、渡り鳥を介して日本に伝染してくると考えられていました。現在のように流通・移動が容易な時代になると輸入されたものや、旅行者を介して伝染するようになってきました。移動速度の早まりは流行の速度が速まることを意味します。

インフルエンザはどうやって伝染するか?

鳥のインフルエンザが豚に伝染します。豚は人間のインフルエンザに感染します。豚の体内で鳥のインフルエンザと人間のインフルエンザがまじりあって、本来は鳥から直接人に伝染はしないのですが、鳥から豚に伝染したインフルエンザが突然変異をおこし、人間にも伝染性を獲得するのです。今回の騒動はH7N9型と呼ばれる遺伝子構造を持ったインフルエンザがです。大きく分けてA,B,Cに分けられるインフルエンザですが、予防接種を行うのはA,Bです。Cは幼児にみられるインフルエンザですが、大流行はしませんのであまり問題になることはありません。今回の鳥インフルエンザが鳥から人間に伝染するものであれば、鳥と直接接触しなければ感染のリスクは低くなりますが、流行の途中で変異して人から人に伝染する特徴を獲得すると世界的に大流行をしてしまう可能性があるので大騒ぎになっているのです。前回の鳥インフルエンザ騒ぎと同様に鳥・豚・人間が密接に暮らしている中国で最初に感染が見つかったのです。

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治療できる薬はあるの?

インフルエンザの薬としてタミフル、リレンザが有名ですが、これらの薬は鳥インフルエンザには効果が無いのでは?と一部の医療関係者の間では考えられていました。以前の鳥インフルエンザ騒動の時に大量に使用されたために、変異した遺伝子をもったウィルスになっていることが予想されたためです。

その当時まだ流通していないイナビルが有効とされていました。本年4月当初にWHOと中国医療機関の声明によると、タミフル・リレンザも今回の鳥インフルエンザH7N9型にも効果があるとされています。

このあたりの私の言い方がキッパリしていないのは、実際の感染者の実数がなんせ中国のものなので、どれほどの規模で流行しつつありさらに何人の人にタミフル・リレンザを使用して治療できたのかが発表されていないからなのです。

また現在のWHOのトップは以前2003年のSARS騒動、前回の2009年の新型インフルエンザ騒動の時に香港の医療行政のトップを務めていた人なので、大騒動にはこりごりで早めの過熱報道の鎮静化を狙って上記の声明をだしたのでは?と穿った考え方もできてしまいます。

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ワクチンはどうなっている

ワクチンは実際に流行したウィルスをもとに製造されます。製造には約半年かかりますので、早急な対応が必要とされますが、なぜかワクチンを製造予定の世界的製薬会社グラクソにウィルスの現物がまだ届いていないのです。以前に比べ人の移動速度が速まっている現在、ワクチンで予防するためには一刻も早く製造できるように中国政府・WHOが動かなければいけません。

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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