非常に個人的な話ですが、スパイシーな薬味、特に唐辛子が非常に苦手です。
辛いものを食べるとダイエット効果があると思い込んで、夏のクソ暑いなかホットな唐辛子入りの食べ物を汗を流しながら「ヒーヒー」言いながら食べている人に冷たい視線を送ってしまいます(こんな態度が女性ファンをどんどん無くすんですけど)。しかーし、この酷暑の中、こんな文献を見つけてしまいました。
唐辛子を食べると死亡リスクが下がる❗
ってことは暑い中でも唐辛子などのスパイシーな香辛料を積極的に食べると病気にならないで長寿になれると普通は解釈しますよね。
唐辛子を食べると長生きする??
唐辛子が苦手な私としては
唐辛子の効果は死亡リスクを下げる
という話に鋭いメスを入れて(?9、この論文をけちょんけちょんにやっつけてみます(???)。
この報告をワシントンポスト紙も取り上げています。細かいことで、論文の内容とは関係ないのですか、ここに使われている食べ物って中華料理ではないような⋯。
https://www.washingtonpost.com/より
中国の50万人を追跡調査した今回の唐辛子論文
中国発の論文だからといって、質が悪いなんて思う人はかなり時代遅れです。中国の研究者は積極的に海外の医学専門誌に投稿を行っていますし、海外留学で医学の研究を行っている人も日本人よりはるかに多いのです。
今回の論文はBMJ (British Medical Journal イギリスの医師会雑誌でかなりクオリティが高いものです)に掲載されていますので、それなりの評価を受けたものであることは間違いありません。タイトルは「Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study」(BMJ 2015; 351)。この研究は中国の大規模な研究であるChina Kadoorie Biobankに登録した48万7375人を追跡調査して、どんな病気になっているのか、どんな病気が原因で死亡したのか、どんな食事をしている人がどんな病気で死亡したのか、などを詳しく調べたものです。結論として
唐辛子などの入った辛い料理を食べた人の方が14パーセント死亡リスクが下がる❗
論文の内容をざっくり要約しますと、
○辛い料理を一週間に一回も食べない人より、2日程度は辛い料理を食べた人の方が死亡リスクが10%低下
○週に3回以上辛い辛い料理を食べる人は辛い料理を食べない人より14%死亡リスクが低下
○辛い香辛料は唐辛子がもっとも摂取されていた
○これらのデータは男女で差はなかった
○アルコールを飲まない方が辛いものと死亡リスクの低下は強く関連していた
つまり唐辛子系の辛い食事をアルコール抜きで週3回以上食べれば死亡リスクが低下するという話になりますよね。
私のように辛いもの、特に唐辛子系が苦手な人にとってはマズイ環境に置かれることになるわけです。
唐辛子の効能が長寿である、ってわけないです
ではこの論文にケチをつけますね。唐辛子が健康に良いといわれるのは、みなさんご存知の「カプサイシン」の効果です。このカプサイシンが抗酸化作用を持ち、がんも防ぐし、肥満も防ぐ、と考えられています。でも、このカプサイシンは胃がんと非常に密接な関係がありまして、胃がん大国である韓国で問題になっています。
○韓国は胃がん大国なので「カプサイシンでダイエット」は胃がんのリスクを高めるかも⁉
また、このカプサイシンは辛いと感じることは、人体にとっては痛みと同様のストレスを与えることになるので、当然のごとくアドレナリンが分泌されちゃいますから、唐辛子を食べることは体をリラックスさせる⋯健康のためには交感神経を和らげて、副交感神経を高めよう❗という健康法の基本に反することになりますよね(別に辛いものが嫌いだから、無理やりこじつけたわけではないと思いますけど 笑)。
さらに唐辛子健康にいい説に反撃を加えます❗
女性向けの情報サイトで「唐辛子はビタミンCもたっぷり、ダイエットにも有効」なんて感じの記事を見かけますよね(もちろんこんなこと言うから女性ファンが減るのはわかっているんだけど)。たかだか香辛料として使用する唐辛子に含まれるビタミンCの量ごときで人体に明らかな変化は起きないです。
この中国発の論文はあれだけ広い中国のどの地方でどのような人を対象に研究したものかは判明しません(私の読解力の問題だったらゴメンなさい)。地域のよる人種の違い、生活習慣の違い、社会的環境の違い、所得の違い名等々の因子の影響を受けている可能性があります。
結論 健康のため、長生きするために唐辛子を積極的に食べることが有効であることは、影響する因子が多すぎるので今回の論文から導くことはできない
ということになりますよね❗