山本太郎議員、精神科の薬を飲んだふりして吐いてはいけませんよ❗

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タレント・俳優から転身し政治家になった山本太郎センセイ。良くも?悪くも物議を醸す行動・発言で世間を賑わせています。

「ソフトキリング」という書籍で医師との対談に山本太郎センセイが登場しており、今回は、その内容について医師としての見解を述べさせていただきます。うつ病・抗うつ剤に関するお話です。

精神科の多剤併用療法は批判の的だけど、勝手に調節してはダメ❗

精神科や心療内科に通院している患者さんの中には、お腹がいっぱいになるほどの薬を処方されている人を時々というかよく見かけます。「なんで同じような作用の薬を重複して処方されているんだろう」と思いながら呂律の回らない患者さんの診察を経験した医師は多いはずです。

20150224生活の党と山本太郎となかまたち

精神科でありながら、現在の精神科治療の闇を必要以上の陰謀論を背景にご自分の意見を主張している医師(基本的に私は彼のトンデモ論理は全く肯定しませんが、現在の精神科治療での大量の薬の使用への批判には同意します)の本の対談相手にあの山本太郎議員が登場していました。

著者の精神科医はスタンダードな西洋医学は認めていませんので、バリバリの西洋医学信者の私に接点はないのですが、山本太郎議員との対談が掲載されているので、この著作を興味本位で購入しました。本の後半の山本太郎議員の素直というか、なーんにも考えていないペラペラな内容の話の中で精神科で処方されてた薬は飲んだふりをして、こっそり吐き出さないといけないというような文章がありました。

国会議員としての発言としてはかなり問題のあるものです。多くの方は「山本太郎議員のいっていることだから、仕方ないじゃん、放っとけ❗」と感じるはずです。

万が一、自己判断で有効な成分である薬(一部かもしれませんけど)の服用を中止して、自殺を図ったり、事件を起こした場合どのように責任を取るつもりなんでしょうか?

著者はある一部の人には大きな影響のある波動系医師でもあり、ネット上でも人気(いい意味か、悪い意味かはご自分で判断くださいませ)のある医師なので誤解が誤解を招く可能性が大ですから、議員は公人である、という自覚を持っていただきたいと存じます。

精神科は人の弱みにつけこむカルトではありません、山本議員❗

著者は、海千山千の炎上なれ(故意にという意見もあります)している方で「障害児の責任は全部親にある」とFacebookに投稿して炎上したことは記憶に新しいですよね。

この医師の上手な会話に魅了された山本太郎議員は「家庭内暴力を引き起こしている子供が実際は精神科に連れて行かれて、結局は薬漬けにされる」というありそうでない話を真に受けて、「家庭内の問題を精神科に解決してもらおうとして、家族自身が逃げ出した結果、精神科を頼りにする」つまり誰にも相談できない問題を精神科に持ち込む=精神科は人の弱みに付け込むカルトというかなり不思議な論理を用いています。

カルトという言葉は本来の意味の拡大解釈から現在では、反社会的な集団を指す言葉として使用されるので「精神科医=反社会的な集団」という図式が山本太郎議員の脳内に出来上がっていることが十分に予想されます。

多分、数時間程度の対談で波動系医師の考えに洗脳されるようなピュアな脳の持ち主である山本太郎議員、今後、彼自身が危険な方向性を持った集団(ひょっとするとカルトかもよ)に属してしまう可能性に、ハラハラドキドキしながら対談を読み進めてしまいました。

山本太郎議員の知識ってほとんど映画なのかい??

対談中にしばしば「これって映画の○○ですね」というような軽ーい発言が目立ちます。山本太郎議員は元か現か前かは知りませんが芸能活動をしていた人ですので、演技の勉強の一環として映画を観まくっていたんだと思います。

対するお上手な医師は映画については深く追求しないリアクションで返している点は、この医師が著書中で米国が日本を支配するために使ったツールとして「3S政策」つまり「セックス・スポーツ・スクリーン」というのを主張しているのをご存知なかったようで。

アメリカの情報操作として「スクリーン」つまり映画にどっぷり毒された山本議員との対談でのご苦労を察します。

もちろん放射線の話もありますよ

非科学的な論法で「反原発」と訴えて国会議員に当選した山本太郎議員ですから、味噌や玄米食で放射線被害が防げるとこれまた無責任な主張をされる著者との対談なので、もちろん「放射線問題」「放射能問題」も論じられています⋯論じるという表現はかなり不適切かも。笑 

スタッフの親族がガンでステージ3であり、今にも転移しそうな状況にあるそうです。ステージは治療法や予後を考える上で重要な病状の分類方法ですが、できた臓器によってステージの決め方に違いがあります。ひょっとしたら対談中では具体的に「何々がん」と言って、対談相手の医師に相談したのかもしれませんが、私の専門である泌尿器科領域の前立腺がんではステージに数字は使用しません。

前立腺がんの場合は、AからDまでで分類しますので、Cをステージ3と仮定した場合、遠隔転移はしていないけど、前立腺の周囲にがんが広がっている状態を表します。さらにがん細胞自体の悪性度グリーソンスコアとTMN分類(がんの広がり、リンパ節への転移、遠隔転移)などを調べて、その病態・病状に対してガイドラインが設けらています。Cの場合はホルモン療法を中心に放射線治療を併用しますが、5年生存率は60パーセントを超えています。ちなみにステージBの場合は100パーセント近いです。

山本太郎先生のスタッフもいらん知識は無視して、現在通院中の病院で親御さんの治療を任すべきです。山本議員、精神科の著者が必要以上に恐れている放射線ですが放射線を浴びた人が海外に逃げても、入国拒否されるかもしれないというような発言は大問題発言であることを自覚していただくとともに、山本議員が原発問題に対してどのような知識及び思想を背景にしているのかが十分に伝わって来る対談でした。

ところで著者はよく「世界の99パーセントが知らない秘密」といった感じの表現を使用しますけど、世界中で6000万人もが知っていることって秘密なんでしょうか?

「ソフトキリング」(内海聡著 三交社 2014年8月12日 初版第1刷発行)をもとにブログを書きました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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