ボトックスの種類と特徴、代表的な3つのボツリヌストキシン製剤について

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世界中でボツリヌス毒素製剤は製造されるようになり、作用機序は同様でも名称が違っていますので様々なボトックスの種類があって美容医療の現場でも混乱が起きています。

現在当院で使用しているボトックスの種類(正確にはボツリヌストキシン製剤の種類)の特徴について解説します。ボツリヌス毒素って言葉でドン引きされる可能性がありますので「ボツリヌストキシン製剤」ってことで話を進めていきます。

ボトックス、ボトックスと気軽に呼んでいますけど、実は商品名です

シワを治療する注射薬として一般名化している「ボトックス」ですが、実はこれは商品名なんです。

美容領域で使用されるものは「ボトックスビスタ」、多汗症や痙性斜頸などの保険適用で使用されるものが「ボトックス」という名称です。

代表的なボツリヌストキシン製剤はボトックスビスタ、ゼオミン、ニューロノックスの3種類です

このほかにも「ディスポート」(イプセン社 英国製)、「メディトキシン」(テピョンヤン社 韓国製)、「リジェノックス」(ハンズバイオメド社 韓国)などがあります。激安の中国製のチャイニーズ・ボトックスである「BTXA」というものもありますが、品質管理が雑で製造過程に不明な点があり、採用しているだけで信用を無くしてしまうような製剤もあります。

代表的なボツリヌストキシン製剤について詳細を解説してみます。

品質が安定していて、長期に渡って使用しても問題がない「ゼオミン」

ボツリヌストキシン製剤を長期に渡って使用した場合、生体反応として「抗体」ができてしまうために、ボトックスの効果が出なくなることが知られています。抗体ができてしまう原因として製造過程でわずかながら効果を発揮する成分以外のタンパク質が混入するため、と解釈されています。ゼオミンはドイツのメルツ社が開発した2010年以降米国FDA、欧州のCE、韓国のKFDAの承認を受けていますので、現時点では安全性をとるならば一番信頼度が高いものと考えて差し支えありません。

ゼオミンは長期間繰り返し使用のできる、不純物の少ないボツリヌストキシン製剤

このような言い方もできます。ボトックス、ボツリヌストキシン製剤の欠点として、熱に弱いが挙げられます。このゼオミンはほかのすべてのボツリヌストキシン製剤と違って、常温保存が可能という特長があるために海外からの輸入過程に置ける温度変化に耐えうるため、製剤としての安定性があり、確実な効果を発揮するのです。

ボツリヌス製剤の効果

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http://www.xeominaesthetic.com/photos/

欧米の女性は眉間の縦じわを一番気にします。

私たちが手にいれる際の原価は「ボトックスビスタ」と同じくらいですが、現在円安のために以前よりは若干割高になっています。

元祖ボツリヌストキシン製剤のボトックスビスタ

ボトックスを一般名詞化したアラガン社の誇る「元祖ボツリヌストキシン製剤」がボトックスです。日本では「ボトックスビスタ」の名称で2009年に厚生労働大臣によってシワ等の美容領域での使用が承認された、日本国が唯一お墨付きをつけた製剤です(保険で使用されるものはグラクソスミスクライン社の「ボトックス」で混乱しますね)。

熱に弱い、若干複合タンパク質を含むという欠点がありますが、世界的に流通していて品質の管理も十分であり、症例数も最多であるために安心して使用できます。気になる長期使用による抗体産生によって効果が出なくなる可能性は、通常の美容領域で使用する量では少ないと考えられています。

日本では米国アラガン社の日本法人である「アラガンジャパン」が取り扱っています。安全性と信頼性を重視するなら、ボトックスビスタがオススメです。料金はゼオミン同様に他のボツリヌストキシン製剤と比較すると割高になっていますが、日本円で決済できるためここ数年は為替の影響を受けないで安定しています。

安さで選ぶならニューロノックス❗

ボトックスの経験を積んだ方は同じ効果なら安いものを選択することが多いかもしれません。そうなると「ニューロノックス」がオススメです。アラガン社のボトックスのジェネリックという解釈ができる「ニューロノックス」は安い❗のが利点です。KFDA(韓国食品医薬安全庁)のお墨付きですから、それなりに安全性は確保できていると考えてください。抗体の問題、温度変化による効果のバラツキはボトックスビスタと同様ですが、取り扱い代理店によっては輸送過程に問題がある所もあるようなので、当院も信頼できる業者の選択に苦慮した経験があります。

美容皮膚科で使用されているボツリヌストキシン製剤全般の調査

当院独自に都内44クリニックのボツリヌストキシン製剤使用状況を調査しました。

56.8パーセントのクリニックがアラガン社のボトックスビスタを推奨している

という結果になりました。当院のようにボトックスを長期に渡って愛好している患者さん向けである、

ゼオミンを採用しているクリニックはたったの18.2パーセント❗

とかなり低迷していました。値段に敏感な美容愛好者が多いために割高感があるゼオミンの採用に躊躇しているクリニックが多いのですね。

調査によって驚愕の事実も判明しました❗

採用しているボツリヌストキシン製剤名を明記していないクリニックがなんと29.5パーセント

下衆の勘ぐりかもしれませんが、メチャ安のチャイニーズボトックス「BTXA」を使用している可能性があるかもしれませんのでご注意ください。今日の嫌韓ブームの影響かどうか判明はしませんけど、韓国製のボツリヌストキシン製剤を採用していると表明しているクリニックは9.1パーセントしかなかったこともお伝えしておきます。

ボトックスの副作用、それほど心配ないけど治療する医師の実力が副作用を招く❗

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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