地上波の深夜帯そして衛星放送(CS/BS)における通販CMは凄まじいものがあります。
年配の方向けの健康系が多いわけですが、シミ・そばかすを消すというサプリメントがとても目につくので、ある程度はわかってはいるにせよ(一応医師ですからね)調べてみました。
深夜についついうっかり買ってしまいがちな通販。いまこの記事をご覧の方はおそらくキミエホワイトプラスって本当にいいのかな?と迷われている方だと思います。通販サイトの口コミの見極めやお買い物の参考にしてください。
本記事の内容
やたらにCMを流しているキミエホワイトですが、シミ・ソバカスに効果はあるんだろうか?
以前からCSでしきりとCMを流していた「キミエホワイト」という医薬品があります。最近では地上波でもこのCMが流れるようになりました。CSで放送されているキミエホワイトはインフォマーシャルという、一見番組風の広告であり「母のために孝行息子が開発した」という開発秘話?を知ることができます。
この孝行息子がでてくるCM見たことありますよね⁉
得体のしれない成分のサプリよりは、しみやそばかすを飲み薬で解消することができればいいのですが、
このキミエホワイトの成分って、今まであった医薬品系のビタミン剤を詰め込んだだけじゃん
と医療関係者ならすぐにわかってしまうものです。
インチキ広告が溢れかえるインチキサプリ (キミエホワイトがインチキだとは言っていませんよ!)は効果がないだけでなく、とんでもない副作用を引き起こすことがあります。医薬品なら表示しなければいけない成分、そして副作用も添付文書に明記されているので、ある意味安心は安心なんですが、キミエホワイトのように飲むだけでしみやそばかすが本当に消え去るのか、少々疑問が残ります。
あと非常に気になることがキミエホワイトの効果効能以外にあります。「キミエホワイト」と検索すると反キミエホワイトとも言えるサイトが目立つのです。ひょっとして「キミエホワイト」は効果がないだけではなく、とんでもない副作用でもあるのか?と考えてしまいました。(追記 後日批判的なサイトのほとんどがライバル社のアフィリエイトということが判明しました⋯しかし、凄まじいい世界ですね、サプリやビタミン剤業界は)
キミエホワイトのネット広告をよくよく読むと微妙な表現が⋯
キミエホワイトの開発秘話は置いといて、ネット上にある宣伝のページをよく読むと微妙な表現が用いられています。
「しみ・そばかすの緩和に」
効果があるようです。ところで緩和って言葉は「きびしさやはげしさをやわらげること。また、やわらぐこと」とコトバンクが説明しているように、消してしまう・無くしてしまう、という意味はありません。
ひょっとするとキミエホワイトはしみ・そばかすを体の中から厳しさや激しさを和らげるという、不思議な現象を引き起こすんでしょうか?このキミエホワイトに含まれる成分は明確になっていますから、効果・効能、作用機序から本当にシミ・ソバカスに効果があるのかを、ちょいと検証しますね。
キミエホワイトの成分はありふれた既存の薬がてんこ盛り⁉
サイトに表示されているキミエホワイトの成分は
- L-システイン 160mg
- アスコルビン酸(ビタミンC) 500mg
- ニコチン酸アミド 60mg
- リボフラビン(ビタミンB2) 12mg
このようになっています。
L-システインで有名なハイチオールC、キミエホワイトと比較してみます
L-システインはハイっチオール、シー♪のCMでご存知の方も多いかもしれません。ハイチオールC(2020年3月に商品名を「ハイチオールCプラス2」に変更)はエスエス製薬が販売しているL-システイン製剤です。L-システインはこのハイチオールという処方薬の主成分であり、皮膚や髪の毛に含まれるアミノ酸の一種です。一般的には一錠に80mgのL-システインを含むものを1日3錠服用します。
つまりハイチオールCは1日に80×3=240mgのLーシステインな訳ですので、対する160mgのキミエホワイトは若干少ないです。
ハイチオールの処方薬としての効果・効能は「湿疹、蕁麻疹、薬疹、中毒疹、尋常性ざ瘡、多形滲出性紅斑、放射線障害による白血球減少症」です。つまり皮膚のトラブルに処方されることがわかります(放射線障害は驚きですね❗)。これにビタミンCが加えられたものが市販薬「ハイチオールC」です。さすが大手製薬メーカーさん、ハイチオールCシリーズの最高峰とされるハイチオールCホワイティアの製品紹介ページには以下のような強気な記載があります。
抗酸化作用を持つL-システインが、シミの原因であるメラニンの過剰な生成を抑制し、肌に沈着した黒色メラニンを無色化します
ハイチオールCホワイティア
キミエホワイトはビタミンCが500mg、一方のハイチオールCも1日量として500mgと同量ですが、L-システインを240mg含むハイチオールCに比べて、L-システインの量では負けています(量が多けりゃそれだけ効果が高いとは限らないのが薬ですけど)。
次に書かれていニコチン酸アミドはナイアシンあるいはビタミンB3と呼ばれる成分です。処方薬として使用される場合、ニコチン酸の欠乏または代謝障害が関与すると考えられる口内炎、皮膚炎,湿疹が適応症です。ですので皮膚に有効な成分であるのに間違いはありませんが、果たして「しみ・そばかす」に有効かどうか?それは明らかではありません。
最後に記されているリボフラビン、ビタミンB2はニキビの治療などでフラビタン等の名前で処方薬として多用されているビタミン剤です。効果効能としてはビタミンB2の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される「口角炎、口唇炎、舌炎、口内炎、尋常性痤瘡等」となっています。作用機序は
フラビン酵素の補酵素として細胞内の酸化還元系やミトコンドリアにおける電子伝達系に働き、糖質、脂質、たん白質等の生体内代謝に広く関与し、重要な役割を果している。
フラビタン添付文書
かなり難しい機序で、肌に良い効果を発揮するものです。ビタミンB2が不足すると脂質の代謝が正常に働かない為に脂っぽい肌になります。脂っぽい肌はニキビができやすくなるので、ビタミンB2がニキビ予防に効果的というわけです。
以上をことから、キミエホワイトの主成分である4つのうち、しみやそばかすに効果があると言えるのはL-システインとビタミンCの2つで、残りの2つは「なんだか肌にいい成分だから混ぜちゃえ」とは考えたわけではないと思いますけど、あまりしみ・そばかすとは関連がないと私は考えます。
なぜキミエさんは、性格が暗くなるまでシミを放ったらかしにしていたんだろう??
ラーメンのトッピングの「全部のせ」のような第3類医薬品の「キミエホワイト」ですが、開発者のお母さんはシミに悩んで性格まで暗くなってしまったそうです。でも、今ではこのキミエホワイトの効果でこんなに綺麗になって、性格も以前のように戻ったそうで⋯。
ところで開発者のお母さんは、なんであんなにしみだらけになってしまったのか?という素朴な疑問を抱きました。だって富山県って日本で4番目に美肌を誇る県なんですよ❗
と言おう思ったら、広告の右下にお母さんの写真とともに「茨城県」と書かれていました。笑 残念ながら茨城は第40位ですので、日照時間と乾燥した風という土地柄的にお母さんがシミだらけになったのもしかたありませんね。
お母さんは開発者を育てる為に、スキンケアをする間もなく働きづめの生活を送ってきたのかもしれません。ご自分の名前が付けられた第3類医薬品「キミエホワイト」でシミが薄くなって、それはそれは嬉しい気持ちでいっぱいでしょうし、息子さんも研究のしがいがあったものですね。
でも、息子さんは、なんで薬のメーカーのお勤めなのに、お母さんがあんなにしみだらけになる前に、市販薬を買ってプレゼントするとか、医療機関の受診をすすめなかったんでしょうか?だって、キミエホワイトの成分は市販薬や処方薬で全て既存のものなんですから⋯。
後日、こんなのも書きました。
社風は変わらないようですね。
ネット上でキミエホワイトをdisっているサイトが目立ちました。アフェリエイトがほとんどですが、あまりに過激にキミエホワイトが効果がないと記しているサイトが多くて、少しキミエさんがかわいそうになってしまいました。