先日、和食屋さんで飲んでいたら数人で来店していたグループ中の若いお母さんが(関係ないけど、綺麗だった)が、連れのお子さん(推定年齢1.5歳)にりんごジュースを頼んでいました。店主に「りんごジュースは100パーセント果汁か?」と念入りに確認していました。
果汁100パーセントの方が体に良さそうだけど、虫歯になりにくい、って本当??
そのグループの一人がお母さんになぜ100パーセント果汁にこだわるかを尋ねたら「天然果汁100パーセントのりんごジュースは虫歯になりにくい」って話をママ友に聞いたらしく、それで果汁100パーセントにこだわった様子。
100パーセント果汁はオレンジジュースしか用意が無く、困った店主が私に「先生、100パーセントオレンジジュースでも同じですよね」といきなり降ってきたんで「どっちも飲んだ後にしっかり歯磨きすれば虫歯にならないんじゃない」的な医療関係者とは思えない回答をしてしまったので、若いお母さん(綺麗だった⋯関係ないか)がひょっとしたらこのブログを読んでくれていることを、ちょっぴり不埒な心を持ちながら期待してはっきりと回答いたします❗
果汁100パーセントでも、もちろん虫歯になります❗
もちろん、余分な添加剤と呼ばれるものが入っていない天然果汁100パーセントの方がお子さんが飲むには適していることは間違いないのです。でも、健康に害がない、健康的であるからといって虫歯になる、ならない、は残念ながら関係ありません。砂糖が虫歯の大きな原因であることは間違いのない事実です(ですよね、歯医者さん)。
コーラや炭酸飲料には驚くほどの砂糖が入っていますし、缶コーヒーなんて無糖・微糖を除いて砂糖を飲んでいるくらい、大量の砂糖が入っています。りんごジュースにもりんごを絞って作ったストレートのものと濃縮したりんご果汁を還元して作ったものがあり、後者は砂糖を入れることが許されていますので若いお母さんのこだわりは一部は正しいことになります。
でも、
虫歯になる原因は砂糖だけではなく、飲みのものPHが大きく関係しているんです
奥様、どうして虫歯ができてしまうのか?というメカニズムをわかりやすく説明しますね。
虫歯は細菌が原因でなくても、口腔内が酸性だとできてしまいます
むし歯になるメカニズムってかなり複雑です。私が医師になったころから、虫歯にならない薬なんて簡単に作れるんじゃない的な疑問が医療関係者で口にされていました。もちろん将来はガンなんて簡単に治せるんじゃない、って話もありましたが残念ながら両者ともに数十年経過しても実現していません。もちろんあっち側に行ってしまった残念が方々は医療関係者が自分たちの利権を守るために、虫歯予防薬は開発しないし、ガンになるような薬を患者さんに積極的に処方している、って話は無しですよ。
虫歯って単に砂糖や甘い物が悪さをするんではなく
虫歯の原因菌が代謝物として酸を産生する
ということがポイントなんです。この虫歯菌の栄養素が糖分なんで、確かにお砂糖は虫歯の原因の一つであることは間違いがありません。実際に歯を傷つけるというか、削る理由は虫歯菌の生み出した酸性の環境なのです。この状態で虫歯になったものを「酸蝕歯」と呼びます。歯って実際には歯の成分が口腔内に溶け出す「脱灰」と口腔内のカルシウムによって溶けた歯を再生する「再石灰化」が交互というか、連続して起きています。この状態なら虫歯にはならないのですが、口腔内が酸性に傾いてしまうと、歯の表面が溶けるスピードが増すために、再石灰化が間に合わなくなり、歯が削れてしまうのです。
どんな飲み物が虫歯になりにくいのか??
では、気になる口腔内を酸性にしてしまう飲み物ってどんな物があるんでしょうか?代表的な飲み物のPHを比較したデータがあります。
- コーラ 2.2
- カルピスウォーター 3.4
- りんご100パーセントジュース 3.6 ゲッ❗
- トロピカーナ 4.1
- 牛乳 6.8
って感じになっていて、100パーセント果汁にこだわったお母さんがビックリ驚きの結果となっています。
この中で糖分が含まれないで、酸性でもない飲み物って「水」だけになってしまいます。酸性に限っていれば缶コーヒーより、りんご100パーセントジュースの方が虫歯を引き起こす環境をつくってしまうなんて❗糖質などを考えない場合、例の和食屋さんのオレンジジュースの方が、りんごジュースより虫歯にはなりにくいことにもなります。よかったです、その場しのぎの回答が正解ではなくても、完璧な間違いでなくって。
注意 歯科医の方へ 厳密には虫歯、脱灰、酸蝕歯って違うんだと思います。でも、一般の方はどれも「むしば」って呼んでいると考えますので、専門的なツッコミはご容赦くださいませ。