韓国は胃がん大国なので「カプサイシンでダイエット」は胃がんのリスクを高めるかも⁉

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韓国が胃がん大国であり、胃がんでの死亡率がOECD加盟国中ダントツある、なんて情報がネットにあふれていますす。

実は、韓国は国としても、そりゃまずい❗的な対応をしたことにより、2012年時点のデータでは胃がん死亡率は2002年の10万人あたり42.8人から2012年に23.4人と低下して、恥ずかしながら日本人の方が今では胃がんで死亡する率が高くなっています(2013年は男27人に1人、女58人に1人)。

以前は欧米諸国と比較してアジア人は胃がんになる、あるいは死亡する率が高いので人種的な要因が考えられていました。今では他国に移住したアジア人はそれほど胃がんになるわけではないことが知られるようになって、胃がんを引き起こす原因として「体の中から脂肪を燃焼する」としてサプリに取り入れられているカプサイシン(唐辛子の主要成分)が胃がんの原因になっているんじゃあないか?という話がでています。

痩せると言われているカプサイシンが胃がんの原因説を検証

ダイエットのためにカプサイシンを摂取したら胃がんになった

こんな悲惨な結果にならないために、カプサイシン胃がん原因説、さらにはキムチ胃がん原因説までを少し検討してみます。

korean_gastric_cancer_-_Google_検索

http://endotoday.com/endotoday/20140503.html

2007年当時は確かに韓国で胃がんがダントツトップになっていました。

カプサイシンが胃がんの原因である、という裏付け

疫学的な論文としてはメキシコ発のものですが、唐辛子の一種ハラペーニョ(当然カプサイシンが主成分)を毎日どれくらい食べているのか?それによって胃がんのリスクが高まるのか?という点を検討したものです。つまりカプサイシンをどの程度食べると胃がんのリスクが高まるか、ということを調べた論文です。「Capsaicin consumption, Helicobacter pylori positivity and gastric cancer in Mexico.」というタイトルでInternational journal of cancerに掲載されています(int J Cancer. 2003 Aug 20;106 (2) :277-82.)。

論文の内容としては
・ハラペーニョを1日9〜25本食べている人と0〜3本食べている人を比較した
というかなりハードルの高い分け方をしています。唐辛子を1日25本も食べている人がいる、ということ自体驚きですが論文はこの二つのグループに分け、胃がんの発症リスクを検討しています。その結果

唐辛子大量摂取(ハラペーニョ換算9〜25本)している人は胃がんの発症リスクが高くなる

ということになるんだそうです(厳密にはオッズ比 1.71、p=0.026)。この論文の興味深いところはピロリ菌の感染の有無と唐辛子の摂取量との間には関連性がなく、つまり唐辛子を食べるとピロリ菌に感染しやすくなるから、それが胃がんの発症を高めている、という考え方は否定されています。

過剰な塩分を含むキムチも胃がんの原因?

韓国の場合、国民食として「キムチ」があります。このキムチは唐辛子と塩を大量に使用して製造しますよね。キムチを製造する場合、唐辛子をどれだけ使用するのかはそれぞれの家庭によって違いがあるでしょう。でも、メキシコの胃がん発症リスクの原因となるくらいの大量のカプサイシンを含有する唐辛子を使用はしていないと思います。

では塩分が胃がんのリスクを高めるという考え方は韓国が胃がん大国であったことの理由にはならないでしょうか?胃がんと塩分摂取は密接な関係にあることが日本人研究者の論文によって明らかになっています。

British_Journal_of_Cancer_-_Abstract_of_article__Salt_and_salted_food_intake_and_subsequent_risk_of_gastric_cancer_among_middle-aged_Japanese_men_and_women

British Journal of Cancerより

となると

キムチは塩分とカプサイシンがたっぷりで、胃がんのリスクが高まる食品

ということになってしまいます。2000年代に韓国で胃がんの死亡率がトップだったのに、近年では胃がんになる人が減っているなら国をあげて「キムチ摂食制限令」的なものが発令されたんでしょうかね??

ピロリ菌で汚染されたた水が胃がんの原因?

メキシコの論文にも登場した「ピロリ菌」は胃がんの原因物質として注目を浴びています。皆さんも健康診断や人間ドックでピロリ菌の検査を受けたことがあるのではないでしょうか?正式名はヘリコバクター・ピロリといって胃がんを引き起こす原因の一つとされて、研究者はノーベル賞を受賞しています。

日本人もこのピロリ菌に汚染されていた人が昔は多かったのですが、原因が井戸水などの衛生管理が十分ではない飲料水の使用によって感染するので、高齢者ほど感染率が高くなっています。

ピロリ菌感染は予防できる?___ピロリ菌のお話_jp

韓国最大の新聞社である中央日報によれば

ヘリコバクターピロリ菌の感染率も非常に高い。 成人10人に7人はこの細菌感染者だ。 ヘリコバクターピロリ菌は慢性胃炎・胃かいようを起こす。 感染すれば胃がん発生リスクも高まる。

韓国人はなぜ胃がんにかかるのか

このように記されていますので、韓国国内でも胃がんの発症率・死亡率が大問題であり、ピロリ菌が原因として大きいものであることは知られているようです。そこへ追い打ちをかけるように唐辛子に含まれるカプサイシンが胃がんを引き起こす、という論文の登場です。

一時期韓国の女性のスタイルが抜群であり、その秘密は辛い食べ物、とくにキムチが肥満を防ぎ、美肌を作り出す、なんてことが言われていました。でも、一般的に日本で見る韓国女性ってテレビのK-popスターであり、それこそ選ばれし者なんで、

韓国料理は健康食で、肥満を防ぎ、美肌効果がある

ってのは大きな間違いなんではないでしょうか?日本人男子なら空手ができて、日本女性ならおしとやか(下手すりゃ芸者さんと混同している)なんて感じで一時期欧米で捉えられていた時代もありました。

すでに過去のものと思われる韓流ブームにのってしまってダイエット・美肌のためにキムチを食べまくっていた人は胃がんのリスクが高まっているかもです、ご注意くださいませ。キムチが美容やダイエットに効果があるのなら、韓国が美容整形大国になるわけないですもんね。笑

余分な脂肪を取り除くなら他にいくらでも方法がありまーす❗

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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