以前ブログで揚げ物大好きなオッサンの為に「ダイエット・健康の悪役 トンカツを無理やり擁護してみます」なんてものを書いてきたました。オッサンにとって串カツ片手にビールをグブグビとやる至福の時は近年のダイエット・メタボ対策で、もっともやってはいけない行為の典型となっている風潮にチャチャを入れたくなってきたからです。
とんかつなどの揚げ物をかばってきたのに⋯
最近は「トンカツ食べ放題」なんてものも登場しています。
時間無制限でとんかつ食べ放題の吉兵衛「食べ放題定食」を食べてみたより
このトンカツの山を片付けると次のトンカツが食べられるシステムのようです。さすがにいくら揚げ物好きなオッサンでもこれを何回もおかわりするのはキツイことが予想されます。
そんなところに女性、特に妊婦さんは揚げ物を食べると糖尿病のリスクが二倍になるという、イランお世話的な研究が発表されました。
15000人のデータを使用して、揚げ物と糖尿病の関係を研究
世の中にはいろんな研究をする人がいるようで、これはNICHDという国立小児保健・ヒト発育研究所が看護師の莫大なデータベースであるNHⅡを利用して1万5000人の女性について妊娠前にどんだけ揚げもんをたべているたか、そしてどんな人が妊娠糖尿病になったか、を10年間追跡して研究したものです。「Pre-pregnancy fried food consumption and the risk of gestational diabetes mellitus: a prospective cohort study」というタイトルでDiabetologia. 2014 Dec;57 (12) :2485-91.に掲載されています。
自宅やファストフード店で週に何回フレンチフライやフライドチキン(米国なんでトンカツは選択肢になかったようです)食べたかを記録してもらいました。自宅で揚げもんを調理するときは使用する油の種類も記録してもらうことにしました。その結果
揚げ物を食べる頻度が高い人ほど、妊娠糖尿病になるリスクが高まる傾向
この研究は食べた総エネルギーで補正して解析してあるので「米国人は異常な量を食べるからな」的な批判は受け付けません。揚げもんを食べる回数と妊娠糖尿病の発症率はこのようになっています。
・週1-3回だと1.13倍、週4-6回だと1.31倍、毎日食べてると2.18倍リスクがたかまりました。
つまり、揚げもんを食べる回数と妊娠糖尿病のリスクは正比例しているために揚げ物は妊娠糖尿病のリスクを高める という言われてみればそうかもね、という結論が導き出されました。
自宅と外食、揚げ物たべるならどっちがリスクを減らすか?
とにかく外食、特にファストフード店のものは塩分も多いし、味も濃いし、なにを原料としているか不明の場合もあるし、へんてこな添加物も入っている可能性もあると考える日本の女性と比較して、米国の看護師さんたちはオーガニック・無農薬なんてあんまり気にしていない様子がこの研究でわかります。妊娠しているときは通常の食生活より食べ物はお腹の赤ちゃんの為に厳選することができないほど、仕事が忙しい可能性もありますが、海外にいくと病院のお昼休みに白衣、あるいはスクラブと。ばれる手術着を着てショッピングセンター内のフードコートでファストフードを山盛り食べている姿をよーく見かけますよね。
なかには多忙でも自宅で調理している看護師さんもいるので、自宅の揚げ物と外食の揚げ物の差をこの論文は比較しています。
自宅で揚げ物を週に4回食べていても、統計学的には差がでなかった
こんな驚きの結果になっています(少なくとも、この論文内では)。
論文を書いた人たちは、食物を揚げる油の劣化が妊娠糖尿のリスクを高めるんじゃないの、と考えているようです。つまり不飽和脂肪酸が減り、トランス脂肪酸が増えるということが外食の油では起こっているために、自宅で揚げ物をするよりリスキーというわけです。となるとやりくり上手な方は油の使い回しをなるべく避けたほうが糖尿病にはなりにくいかもしれません。
なぜ揚げ物は悪役にされるのか?
どう見ても健康に悪そうなトンカツなどに代表される揚げ物ですが、なぜ悪者なんでしょうか?油を使ったことによって高カロリーになってしまう、揚げ物の中身の豚肉・ポテトが脂質や炭水化物を多く含む、チキンの場合は養鶏場で工場の生産ラインのごとく飼育されている、などが考えらえますが、最大の問題点は「おいしいから食べ過ぎちゃう」ってことなんじゃないでしょうか。
今回の揚げ物糖尿病リスクを増やしちゃうぞ説はあくまで、妊婦さんを対象にしたものですから、オッさん達が「俺は大丈夫だ」的にぬか喜びしていることでしょう。揚げ物は体に悪い説に対する反論の論文もみつけましたので、今後お知らせする予定です。お楽しみにお待ちください❗