医学的に説明ができない「政治家に女性が少ない理由」、実は原因は単純です❗

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今週末に衆議院議員選挙が行われます。男女共同参画という言葉を目にする機会が増えました。特に日本は男性優位社会であり、女性の社会進出が遅れている、と海外あるいは国内から指摘されていることを受けて、国としても「これからは女性も積極的に社会で活躍しなければならない」と。

政治家に女性が少ない理由

私が医師になった当時は体感的に女性の比率は10パーセント以下でしたが、現在では30パーセントを超えています。男女の差別をなくして、男女共同参画と声を高くしている政治家も多いのですが

どう見ても女性の議員が少ないのはなぜでしょうか?

政治は圧倒的に男性が優位な職業であり、立場なのでしょうか?
ここ数十年で圧倒的に女性が進出して活躍する医療の世界と政治の世界はそんなに隔たりがあるんでしょうか?

まず、次の図を見てください。青い線が女性の立候補者です。最近20年で右肩上がりに女性立候補者が増えていることがわかります。赤い線が女性候補者で当選した人です。女性当選者も右肩上がりに増加していることがわかります。

男女共同参画白書(概要版)_平成25年版___内閣府男女共同参画局
内閣府 男女共同参画社会の形成の状況より
このグラフの赤い線と青い線を見比べてみると、立候補者が増えれば当選者も同様のカーブを描いて増加することが一目瞭然です。ということは

女性の立候補者が増えれば、女性の議員が増える

という単純な図式になるはずです。では、なぜ女性の立候補者が男性の立候補者と比較して少ないのでしょうか?

女性議員と女性医師の比較

前記のグラフに従って考えれば、女性で衆議院議員に立候補する人が増えれば、当然女性の議員が増えることが予想されます。では、女性の社会進出を今までは男性中心と考えられてきた職業で見てみます。医師の場合はこんな感じになっています。

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私が体感していた、「女医さんは三分の一説」は間違っていないようです。日本医師会 女性医師がいきいきと仕事を続けていくためにより
衆議院議員の女性の比率と比較して、明らかに医療は女性が活躍できる場であるようです。

女性は競争が嫌いか?

内閣府が発表しているデータの中で、目立って女性が指導的立場についている役職があります。それは国の審議会等の委員です。

男女共同参画白書(概要版)_平成25年版___内閣府男女共同参画局
前述の内閣府のサイトより

この役職が選出される詳細は不明ですが、他の指導的立場の多くは選挙や試験という「負ける可能性のある賭け」を勝ち抜いてくる必要があります。多分、審議会の委員は選挙で選ばれているとの話は聞きませんし、テストがあるとの話も聞いたことはありませんよね。この説明として「女性は競争を避ける傾向がある」と説明している人もいますが、本当でしょうか?

オリンピックなどのスポーツを見てみれば明らかなように、女性が競争を避ける傾向があるわけではないのです。つまり、男性は競争をしたがり、女性は競争を好まない的な解釈では女性議員が少ないことの説明にはなっていません。

女性の社会進出が遅れている状況を生み出しているのは男性の責任⁉

女性の社会進出がすすんでいるとの評価の米国でさえ、女性の上下院議員の数は20パーセント程度であって少ないのです。上下院議員の総数より圧倒的に数が少ない州知事に至っては10パーセント程度しか女性はいません。

政治的能力が女性より男性が上回っている、という科学的なデータは存在しませんから(私の調べた範囲では)、なにか理由があって女性が議員に立候補することを躊躇させているはずです。男性が男性である証として「テストステロン」というホルモンがあります。このホルモンは単純な解釈だと「戦いのホルモン」とされています。女性にも男性と比較すると少ないですが、存在します。

女性の手と男性の手を比較すると男性の薬指は人差し指より長く、女性は逆に薬指より人差し指が長い傾向があり、これは胎児の時にどれだけ多くのテストステロンを浴びたかで差が出ます。男性でも薬指が人差し指より短い人もいますが、そのような男性は勝負事に弱いとされていて、ロンドンのシティや米国のウォール街で稼いでいるトレーダーは圧倒的に薬指が長いことが指摘されています(関連エントリー)。しかし、トレーダーやアナリストという職業で女性が男性より劣っているというデータは存在しないようですし(アナリストの場合、女性の方が当たっている❗という話はあります)、女性でも薬指が長い人もいますので、単なる医学的な違いでリスクを取る、取らない、を判別することはできません。勝ち負けを決める競争原理が働くところに女性は適していない、という単なるイメージが存在しているだけなんです。

女性は競争を避ける傾向がある、逆に言えば男性は蛮勇を過信する傾向はあるのですが、これはあくまで傾向であって性の差によるものであると言い切れません。

本当に女性の社会進出を促し、男女共同参画を日本が目指しているのならまずは国会議員に立候補する女性を増やす方法を考えるべきではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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