ビタミンB17の効果と作用、っていうかそんなビタミンあったんだ⁉

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先日、米国の爆撃機のことを調べていました。B52 (ベトナム戦争で使用)、B29(日本を爆撃)、そしてB17という第二次世界大戦で初期の頃、日本の誇るあの零戦がカモにした爆撃機を調べようと「B17」と検索入力したら、聞きなれない「ビタミンB17」という言葉にぶち当たりました。

ビタミンB17という不思議なビタミン??

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https://www.6yka.com/novosti/vitamin-b17-ubija-celije-raka-i-izgraduje-sistem-imuniteta

がんに効果がある❗って書いてあるけど、本当かよ??

先日メチコバールという名前で知られたビタミンB12の効果・効能に疑問を抱いたブログを書いた私としては、その「ビタミンB17」から漂ってくる胡散臭に本当の目的であるB17爆撃機のことは放っておいて、ビタミンB17を調べまくってしまいました⋯やっぱりインチキ臭いビタミンであることが判明しましたので、報告しますね。

ビタミンB17はアミグダリンという成分であり、今はビタミンの仲間ではない❗

という衝撃の事実が明らかになりました。

って言っても元々有名じゃないビタミン?なんで世の中に対してはビタミンB12の効果・効能に疑問があるという話ほど注目してもらえないようで⋯。

ビタミンB17はビワや桃に含まれるアミグダリンのことだった

私の家は昔から「跡取りはビワは食べてはいけない」という家訓(家訓っていうほどの家柄じゃないんで)、おばあちゃんの知恵が伝えられていて、確かに私も祖母に「庭になっているビワは食べちゃだめだよ」と言われた記憶があります。多分、単にお腹を壊すからあんまり食べちゃいけない、という理由だと理解していましたが、今回のアミグダリン、別名B17を調べていて、流石おばあちゃんの知恵、と頷きました。

ビタミン17は青酸の仲間である青酸配糖体の一種類です。青酸といえば、最近も青酸化合物を使用して夫を殺して遺産を、なんて事件があったように猛毒として知られています。しかし、ビワを食べてもまったく問題ない人が多いからこそ、果物屋さんで季節になるとビワや桃やアンズなどのビタミンB17を含む果実が並ぶわけです。

ある酵素(あのインチキ酵素ではありあませんよ⋯関連エントリー)によって青酸配糖体という怖い名前が付いているアミダグリン(ビタミンB17)は分解されて毒性が無くなってしまうのです。多分、私の家系はアミグダリンを分解する酵素が少ないために「跡取りはビワを食っちゃいかんよ」的に言い伝えられてきたっぽいです。

酵素栄養学理論によれば酵素を体外からサプリや食品として体内(細胞内)に取り込めるそうですから、ビタミンB17を代謝できる成分の酵素サプリを販売していただけたら、ぜひ買わせてください❗ちなみにその酵素の名前は「エルムシン」という名前です、お願いします。m (_ _) m

なんでビタミンB17はインチキ臭いのか?

なぜかビタミンB17を売りにしている医療機関って胡散臭いんでしょうか?多分、B17で検索したときに怪しげなクリニックが出てきたからと今では考えています。というのも先日書いた「波動医療はインチキ」ってブログで引用した、どっぷりとあっち系の医療にはまってしまった船橋市の議員さんのブログに「AWG」という医療機器の話が出てきて、これまたその「AWG」をググってみたところ正式名称が「Arbitrary Waveform Generator」であり日本語でいうと「段階的マイナスイオン電子投射機器 」ということを貴重な医療を行っている「医者が本当に教えたいがん対策」というサイトが教えてくれました。笑

その60年の医師体験のある(普通、60年の医師経験って書くと思うけど)医学博士によると

当クリニックでは、癌患者にAWG治療を行いながらビタミンB17など点滴します。 癌細胞をAWGのマイナスイオンで強烈に刺激することで相乗効果を発揮し、大きな治療効果が期待できます。

前記サイトより
と、AWGって治療を行いながら、あのマイナスイオン(決して物理用語の陰イオンではない❗)も使い、さらにビタミン17も点滴するってんだから、怪しさの三乗です。

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これ注射薬ですから、これでも使っているんでしょうか?

このサイトはもちろん、あっちに行っちゃった系の医療関係者が大好きな「三万倍の光学顕微鏡で確認されたソマチッド」(なかにはソマチットと書いてある一派?もあります)、登場しますので、お時間のある方はぜひ、60年の医師体験をお持ちの医学博士のサイトをご覧くださいませ。波動系ソマチッドつながりってことが十分に理解できます。

ビタミンB17による健康被害

別に私の家系だけではなく、アミグダリンつまりビタミンB17は例えばおばあちゃんの知恵的に咳止め効果のある「カリン」にも含まれていて、気になる効果ですが「有り」と判定して良いのです。一方でビタミンB17の効果を過大評価というかインチキ評価して「がんに効果がある」と宣っている一派がいるようですが、少なくとも私のおばあちゃんは「ビワががんに効果があるけど、跡取りは食べちゃダメ」とは言っていませんでした。

私は民間医療を全否定する立ち位置でないことは、私のブログを愛読していただいている方はご存知だと思いますが、私は民間医療をアレンジして全く効果の無い治療、命を左右するような病気に効果があると喧伝している医療関係者が許せないのです。

ビタミンの定義は人間が健康的に生活するために必要な栄養素と考えるのがスタンダードであり、それだからこそ不足するとビタミン欠乏症になってしまうのですが、少なくともビタミンB17欠乏によって引き起こされる病気は私が調べた限りはありませんでした。つまり

ビタミンB17とされているアミグダリンはビタミンじゃない❗

とういう結論になります。現時点でビタミンと認識されているものは、ビタミンA,ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE、ビタミンK,ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの13種類であり、ビタミンB17は仲間はずれになっています、っていうか栄養素じゃないですね。栄養素じゃなくても薬として活躍するものは多数ありますけど、「Alternative cancer cures: unproven or disproven?」という論文(CA Cancer J Clin. 2004 Mar-Apr;54 (2) :110-8.)ではアミグダリンは Laetrile(レートリル?)という名前で評価されてるんですが、「治療には不適切」「代替医療で行われているがんへの治療に対して反証する」となっています。

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http://www.undergroundhealth.com

アンダーグラウンドヘルスってのが怖い❗

それもそのはず米国の

FDAではアミグダリンはとっくのとうに販売が禁止されています

その理由は「青酸中毒を起こす可能性がある」からです。大丈夫ですか、医師体験を60年の医学博士❗

「体にいいビタミン剤よ」と優しく奥さんにビタミンB17を含むサプリを渡されたオッサンは十分にご注意くださいませ❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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