先日の連休中に「波動医療と呼ばれて」(PRA臨床応用研究会 出版部 著者 堀尾保次・中村元信)という頭の芯から痺れがくるトンデモ系の疑似医療の本を読んでいたところ、と学会(トンデモ系を対象に研究している学会)の大家である唐沢俊一さんのFacebookで観察対象となっているある議員のブログを知りました。
その議員のイっちゃっているブログの内容にショックを受け、数日間ブログも書けない状態となった私ですが、どうにか回復というか、あっち側の世界の影響が薄れたので「波動医療」という疑似医療について紹介するとともに批判します。
波動医療とは⋯代替医療では無く、全くのインチキです
まず、波動というのは生命活動だけではなく、世の中の現象に影響を与えている「エネルギー」の一種類であり、一般的には受け入れられていないものであり、波動が認められないのは地動説が当時認められなかったのと同じである、という信念にとりつかれた一派の妄想であることにご注意ください。波動という言葉は宇宙戦艦ヤマトで「波動砲」という兵器が出てきて馴染み深いおっさんたちも多いのですが、あくまで空想の世界であることを多くの常識的な人は理解しています。
でも、空想の世界とそれを医療と結びつけた「波動医療」が議員まで汚染しているかと考えると、言論の自由が憲法に明記されている日本国においては投票する側の責任重大であることを自覚しないといけません。
波動医療ではこんな機械が治療に使用されています。あるサイトでは「完成されたがん治療器」って言っていますが、単なる低周波治療器です! (2015年11月19日追記)
波動医療に汚染された議員さんのブログ
この波動医療に汚染された議員さんは千葉県船橋市の市議会議員です。衆議院選挙がありますので、市議会選挙は関係しませんけど念の為、個人名は書きません、ご興味にある方は「僕らの船橋市を作る会」をご参照ください。
ブログ中にサブタイトルで「病院にいかないくてもいい時代が来る」というのがあります。高齢化社会、超高齢化社会を迎える日本において医療は国家財政を脅かす、いつか誰かが必ず手をつけないとならない問題であることは間違いありません。病院に行かないでいい健康的な生活をおくって、病気にならず最後はポックリ死を迎えるというのは理想的な人生の終焉です。でも、この市議さんはこんな風に考えています。
残念ながら現代医療は慢性疾患に対して無力です。病気を治すことができないのです。それもそのはず、全て免疫抑制、治す方向とは逆行して寧ろ病気を悪化させているのですから必然の成り行きです。
前記ブログより
スイマセン❗慢性疾患の定義ってなんでしょうか?多分高血圧とか糖尿病のことをおっしゃって一度薬を飲むと止められない的なメチャ古い考えにこの時点で汚染されているようです、この方は。免疫抑制だけで慢性疾患を治療しているとのお考えもあるようですが、これまた「体温を上げれば万病が治る」的なスタンダードではない自己免疫力を高めよう医療(そんな言葉があるかは知りませんけど)にも汚染されているようです。そしてお待ちかねの「波動医療」が登場します❗
波動系の方へ⋯ソマチッドってなんだよ❗
波動医療系の方の理論的バックボーンとして「ソマチッド」なる不思議な物体があります。なんでも、メチャ小さい「生命体」らしくて、3万倍の光学顕微鏡で見ることができるそうです⋯理系のおっさんたちはこの時点で「ソマチッドなんてありえない」ことを深く理解します。というのも光学顕微鏡は光の性質上、どんなに頑張っても数千倍にしか拡大できません。
トンデモ波動系の方々の教科書、でも多分ほとんどの人が原著を読んでいないと思われます。笑(https://www.antiqbook.com/より)
発見者はガストン・ネサンという人でソマチッドブームは昭和30年代にほんのちょっとあったようですが、その非科学的な主張に対してスタンダードな科学者・医師には全く無視されています。やはりこの議員さんはそのソマチッドを見てしまったようです❗
これからの時代は間違いなく波動医療の時代が来ます。ほんの一例ではありますが、AWGというものがあります。自分のソマチット(ソマチッド)を見るということも体験させて頂きました。
前記ブログより
やっぱり見えてはいけないものが、この議員さんには見えてしまったようで、さらにトンデモ系の典型である千島学説まで信じちゃっています。
波動も千島学説もソマチッドも非科学的だという、またいつもの大批判大会が始まることは予め予測の範囲ですが、全て科学的根拠に基づいて行われていることが良く理解できました。
前記ブログより
おっしゃるように「波動」も「千島学説」も「ソマチッド」も非科学的ですね。その非科学的な根拠を全面的に信じてしまっていて、科学的根拠に基づいていると理解しているこの議員さんは、実は非常に素直な方でなんでも信じてしまう、とってもいい人なのかもしれません。
でも、手品をエンターテイメントとして楽しむのは、WWEを楽しむのと同じであり、決して手品は魔術ではなくWWEは真剣勝負では無いという前提で観戦することを子供から大人まで知って楽しんでいるのです (えーっと、やっと女性ファンが出来てきたのでWWEを簡単に説明すると、極端にショーアップされた格闘技で、私がここ1年くらいはまりまくっているエンターテイメントスポーツです)。
予想通り出てきました、アインシュタインの相対性理論に対する誤解
天才の代名詞である、アインシュタインの相対性理論は現代科学を一気に変えました。ニュートン力学では説明できない現象を相対性理論はバッチリ補ったものであり、ニュートン力学を全面的に否定したものではないことは理系の方は十分理解していると思います。さらに量子力学という、わかりやすく言えば「確率論」主体とした物理理論が登場することによって、アインシュタインの相対性理論では説明しきれなかった現象が説明できるようになっただけであり、決して相対性理論が間違っていたわけではありません。
なぜかトンデモ系というか、波動系の方はこのあたりの関係が理解できていないようで、鬼の首を取ったように「アインシュタインは間違っていた❗」と強調します。やはりこの議員さんも
まさか今時パスツールなんか信じている人はいないですよね?アントワーヌ・ベシャン、ギュンター・エンダーレイン、ガストン・ネサン、ロイヤル・レイモンド・ライフといった先人の知恵に学ばなければなりません。同様に、ニュートンとかアインシュタイン相対性理論とかビッグバン理論とかホーキング宇宙論とかダーウィン進化論が正しいなんて思っている人はいないですよね?
前記ブログより
とお約束のことを述べています。「波動医療と呼ばれて」を読んでかなり精神的苦痛を味わってやっと回復してきたと思っていましたが、全く理解不能のこの議員さんのブログを読み込んで、頭がおかしくなりそうなんでこのあたりで止めときます。
年末のあわただしい時期の選挙ですが、一票の重みを感じて投票しなければならない、という実は重い問題を提起してくれた船橋市の議員さんでした。
追記 2015年11月19日タイトルを「インチキ医療」から「ニセ医学」に変更しました。
このブログ記事から6年以上経過して、再度トンデモ系ニセ医学の「波動医療」「波動医学」の情報を追加しています。