女性はご注意を❗ウエストと乳がんの密接な関係⋯2サイズアップでリスクが高まる?

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世の中、ダイエット、痩身、サイズダウン、そんな情報ばかり出回っています。肥満とがんのリスクの関係は以前おつたえしました(関連エントリー 明らかに肥満がリスクになるガンが判明❗なんとなく知られていたけど、密接な関係ベスト10発表❗)。

でも、これはあくまで肥満だとある種類のがんになった人が多かった、ということであって、肥満ががんを引き起こしているワケではありません。

最近、スカートがキツくなっていたら要注意かもです

がんを引き起こす原因(因子)は複雑であり、非人道的な研究、たとえば何人かの人の24時間の行動を全て数年に渡って記録する、なんて方法をとらないと因果関係を確定することは不可能なんです。肥満のタイプとして「りんご型」と「なし型」に分けることがあります(よくメタボの解説で載っているやつです)が、これ自体も男女差というよりは人種差なんじゃないの的な意見があります。

りんご型を「中心性肥満」と呼んで、このりんご型中心性肥満と乳がんの関係を調べたところかなり興味深い結果がでています。

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Association of skirt size and postmenopausal breast cancer risk in older women: a cohort study within the UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening (UKCTOCS)

ウエストサイズの増加傾向と乳がんのリスクの密接な関係

既成事実として知られていることはBMIが高い人は閉経後に乳がんになりやすいというのがあります。

もともと肥満でBMIが高い人が閉経後に乳がんになりやすいのか、あるいは閉経後に太ってしまってBMIが高くなると乳がんになりやすいのか、はっきりしたデータはありませんでした。

ただ乳がんになりやすい人は体重の変化が大きいほど、リスクが高くなる説のほうが強い傾向にあります。今回のりんご型肥満である中心性肥満に特化して、乳がんとの関係を調べた研究では中心性肥満と乳がんは関係なしという結果がでています。

この研究は英国で行われた結構大掛かりなデータベース「UKCTOCS」の参加者9万人以上を対象としています。 (元の論文は「Association of skirt size and postmenopausal breast cancer risk in older women: a cohort study within the UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening (UKCTOCS) 」というものでBMJという医学専門誌のオンラインサイトにあります(BMJ Open 2014;4:e005400 doi:10.1136/bmjopen-2014-005400)。

調査の内容は

・閉経後の女性92834人を対象とした

・BMI、経済状況、妊娠歴、喫煙、飲酒なども一緒に解析

・追跡期間は3.19年

・半数以上の女性が登録時にすでにBMIは25(肥満、あるいは肥満傾向とされる)だった

この大掛かりな研究結果としては「中心性肥満と乳がん発症は関係無いかも」となってしまいました。
でも、データの一つとしてスカートのサイズの変化を記録していて、重大なことが判明しました。

スカートのサイズアップが乳がんリスクを高める

もともと太りがちであっても、ウエストサイズに変化がなければ乳がんのリスクは高まりません。でも、気づかないうちに少しずつ増えてしまう、ウエストサイズ、これがマズイってわけです。

サイズが2アップすると乳がんのリスクが77パーセントも上昇する❗

肥満と乳がんの関連性は否定されてしまった、この論文ですがスカートのサイズがアップすればするほど乳がんになってしまうリスクが高くなり

◎10年で2サイズアップすると乳がんのリスクが77%も高くなる
という結論を出しています。

Association_of_skirt_size_and_postmenopausal_breast_cancer_risk_in_older_women__a_cohort_study_within_the_UK_Collaborative_Trial_of_Ovarian_Cancer_Screening__UKCTOCS____DeepDyve

・スカートのサイズが10年でワンサイズアップすると乳がんのリスクは33パーセント増える

・25歳の時のスカートのサイズは乳がんのリスクと関係はなかった

・これをさらに分析してもBMIと乳がんのリスクは関連していなかった

ということになりました。

女性の立場になって、権威ある論文にケチをつけました❗

中心性肥満というとりんご型の肥満だからお腹ぽっこり状態ってことになりますよね。となると当然BMIも高いことが予想されます。さらに中心性肥満だとウエストも間違いなく大きいサイズじゃないとスカートであろうとズボン・パンツであっても入りませんよね。

となるとBMIは変化しないでもお腹だけというか、ウエストだけがサイズアップした人が乳がんのリスクが高まる、と解釈していいと思います(私の英語の解釈が間違っていたら優しく教えてくださいませ)。調査期間中にBMIが減ろうが、増加しようがとにかくウエストさえ増やさなければ乳がんのリスクが低くなる、ということのはずです。

実はこの論文は欠陥がありましてスカートのサイズは自己申告制だったのです。調査が開始した若い時は見栄をはってスカートのサイズを小さめに申告して、年をとったらゆったり目のサイズを選んでしまう傾向がある、少しばかり緊張感にかけた女性が乳がんになりやすい、という解釈もできちゃいます。

常日頃「女性視線が足りない」「もっと女性の考え方を汲み取ってブログを書いてね」的な指摘をされている私です。今回はキッチリ

女性の微妙な汲み取って、権威ある医学誌にケチをつけました❗

ぜひ、褒めてください❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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