子供の時、早く寝ないと背が伸びませんよ、頭が良くなりませんよ、って言われませんでしたか?
今になって考えると夜の10時から夜中の2時くらいまで成長ホルモンが一番効率よく分泌される時間であり、成長ホルモンが分泌される条件として「寝ていること」がつきますので、親の言っていたことの一部は間違いなく正解のようです。
良質な睡眠は脳に良さそうだけど
「寝る子は育つ」と昔から言われていますから、この育つという言葉は体だけではなく脳の成長ということも意味していると考えられます。一時期はゲーム、今はスマホによって子供の睡眠時間が短くなり学業がおろそかになると、当然学力低下が起きるので「寝不足だと頭が悪くなる」的な解釈もできます。
大人の場合、睡眠と認知症などの関連が気になりますよね❗
睡眠は質だ❗質が下がると脳が萎縮しちゃう⁉
睡眠時間より睡眠の質の方が大切であると、大人になったら多くの人が考えていると思います。オッサンの自慢話で女子に嫌われるベスト3に「仕事でほとんど寝てないんだよね」というのがありますが、寝てなくても睡眠の質がよければ翌日も元気に仕事がはかどる、との経験をしていませんか?
睡眠の質が低下すると脳皮質の萎縮が進む❗
という言われてみればそうかな的な話が「Poor sleep quality is associated with increased cortical atrophy in community-dwelling adults」というタイトルでNeurologyという医学誌に載っていました(http://www.neurology.org/content/83/11/967.short)
眠りに入れない入眠障害や途中で目が覚めちゃう中途覚醒や、眠った気がしない「寝が浅い」という人は認知症になりやすいって経験的に知られていました。この研究はノルウェーの大人147人(対象が少ないような気がしないでもありませんけど)に対して3.5年間追跡調査して、MRIを使用しつつ、睡眠の質を調べるピッツバーグ睡眠質問という方法で眠りの質についても調べました。その結果
眠りの質が悪い人は脳の容積が減少しているという相関関係があった
ということがわかりました。
ここで注意が必要なんです。脳の容積が少なくなる人が眠りの質が悪い傾向にあったのか?あるいは眠りの質が良くない人が脳の容積が少なくなるのか?この両者は関係はあるんですけど、原因と結果ではないということになります。
睡眠の質が悪いと脳の萎縮のスピードが早まる
眠りの質と脳の萎縮の話はニワトリが先か、タマゴが先か的な議論になってしまいます。この論文で少し気になる点は脳の萎縮するスピードと睡眠の質が悪いということにも相関関係が認められています。
睡眠の質の悪化スピードも解析してた場合、睡眠薬でも睡眠導入薬でも使用して眠りの質を改善したら、脳の萎縮速度が落ちた、なんて感じの追試が行われていれば相関関係ではなく、より因果関係に近づけられるのではないでしょうか?
ちなみに歴史上大天才と言われていた人は脳の重量が平均的な人が多かったと言われています。ちなみにアインシュタインの脳の重さは1200グラム程度であったので、成人男性の脳の平均的な重さとされている1300〜1500グラムより軽いので、脳の重さと頭の良さは関係ない!との主張がネット上に散見されます。
でも、アインシュタインって76歳で亡くなっているんで、当然その脳の重量は76歳の時のものであって、ひょっとすると老人特有の症状が現れていた可能性もあります。となるとアインシュタインが冴え渡っていた30歳前後の時点で脳の重さを測っておくべきでしたね(笑)。
当然その時代はMRIもCTも発明されていないので、解剖しない限り脳の重量を測ることは不可能でした。アインシュタインが現役時代に脳の重さを測定していたら、42歳でノーベル賞を受賞した彼は表彰式には当然、出席できなかったことになります。(豆知識 ノーベル賞って生きている人しか貰えないんですよね、確か)