オーガニックコスメ、自然派化粧品が肌に優しく安全だという口コミ情報って本当かな??

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天然成分、オーガニック、自然派と頭につけた化粧品がネット上で目立ちます。化学薬品系、化粧品では石油成分由来って呼んでいるようですが、人工的に合成された成分を含む化粧品が肌に悪い、と考えている人が多いようです。

医薬で考えれば普通の薬VS漢方薬といった感じですね。漢方薬だって葉っぱを煎じて飲むものから、エキスを抽出(明らかに人工的な手技)したものまであります。化粧品業界を真っ二つに分けているオーガニック・自然派VS化学系化粧品(真っ二つに分かれているかどうか私の体感的測定です)のオーガニックコスメ・自然派化粧品軍団を調べてみところ、なんと

オーガニックコスメ、自然派化粧品共に定義がない

ってことが判明しました。

オーガニックコスメ、自然派化粧品って肌にやさしいは本当?

口コミで多用されているオーガニックというのはorganicという英語の日本語読みなんですけど、その意味「有機」であることは皆さんごぞんじでしょう。でも「有機」ってそもそもなんでしょうか?農産物は有機野菜と認定するには複雑で難易度の高い条件をクリアしないと、農林水産省から有機JASマークを頂けません。有機・オーガニックからイメージされるものは農薬や化学肥料を使わないで収穫される農産物ですから、健康に良さそう、あるいは健康被害にあわなそう、というイメージがありますし、事実バリバリに化学肥料や危険な農薬を使用している某隣国の農産物より安全であることは間違いありません。

となると、口コミで評価の高いオーガニックコスメや自然派化粧品の原料は有機JASマークを使った農産物なんでしょうか?事実は全く違っています。

オーガニック化粧品市場の推移

矢野経済研究所 自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査結果 2014

右肩上がりで販売額が伸びているオーガニックコスメ・自然派化粧品です。

オーガニックは天然成分を使用しているから安全で肌にやさしい、って多分誤解です

そもその有機栽培された農産物でさえも、国によって基準が違っています。せっかく農薬は化学肥料ではなく有機物由来の肥料を使用していても、害虫を駆除する場合には化学薬品を使用しているものもありますし、なかには某隣国のように薬品で洗っちゃっている国もあります。

オーガニック、自然派に揺れ動く女性心理もよ〜く理解できる私(だんだん、女性目線になってきたでしょ)ですが、言ってしまいます❗

オーガニック=安全とは言い切れません❗

ただでさえ定義になくて言ったもん勝ちの「オーガニックコスメ」ですが、もっと定義が不安定というか雑なのが「自然派化粧品」ってやつです。自然派って単に「これって自然よ、天然成分よ」と主張している一派なんではないでしょうか?⋯せっかく、最近女性心理をわきまえてきた、とごく一部で褒められていた私ですけど、多分これでもとの「女性目線が足りない派」に逆戻りですけど。

お茶を主成分とした石鹸で健康被害がでた事件がありました。イメージ的に食品であるお茶が主成分、つまり食べて大丈夫な成分だから肌にも優しく安全というイメージで販売したと思われます。この事件でわかることは「食べられるくらいだから、肌に使用しても安全」というイメージが先行してしまったからではないでしょうか?

「茶のしずく石鹸」健康被害

しかし、ネットって怖いですね。事件が起きてもサイトが残っていました。(http://www.yamakawajo.jp/)

いくら有名女優が使用していたとしても、その洗顔料・化粧品類がご自分にあっているとは限らないという点に注意が必要ですね。化粧品類はイメージ商品でもあるので、使っている方が値段が高くても安くても幸せな気分になればいいのでけど、健康被害が出てしまうと困ります。

なんでオーガニックコスメ、自然派コスメが受けるのか??

マスカラや口紅などの化粧品は成分的にほとんどが石油由来の原料を使用しています。化学薬品=体に悪い、というイメージが先行というか、誘導されている状況も理解しています。でも、特殊な漢方薬以外の皆さんが通常服用している薬は合成された、純粋な化学化合物です。ですから、効果がはっきりしていて、効き目も漢方薬より早いのです。だって、効果が一定で効き目が明確で、早い効果を出すために研究開発されているんですから。

その一方で化学薬品は体に無理な負担をかけて効果を発揮しているという考え方もできますので、緩やかな効果、緩やかな作用の漢方を好む方がいるんですね。化粧品も同じ図式が描けます。化学薬品は肌に負担をかける

天然成分でオーガニックな自然派化粧品は肌にやさしい

という風に捉えてしまうのは、しかたがないことです。でも、自然な植物だってアレルギーの原因になりますし、天然成分の毒物もあるわけですから、天然、オーガニック、自然派は安全という図式自体が成り立たないのです。

化学成分がたっぷりの化粧品の長所と短所

ケミカル系化粧品のよいしょばかりしている立場ではありません。いかに肌に効果的にするか競争によってあの「カネボウ白斑障害事件」が生じてしまいました。あのレベルの効果があるのなら化粧品として販売しないで、医薬品扱いで医師の元に処方されていれは非常に効果的な美白成分となっていた可能性があり残念です。

その一方で化学成分であるからこそ安全である、という考え方もあります。賛否がある問題ですけど、化学成分の化粧品は動物実験によって安全性が確かめられています(ここでは動物愛護に対する賛否は除外してお考えください)。自然界に存在しない合成された化学物質であるからこそ、人体に悪影響がないのかが動物実験によって確かめられています。

あのカネボウ事件さえなければ選ぶなら化学成分によって作られた化粧品って強く押せたんですけど、本当に余計なことをしてくれました、カネボウさん❗でも、オーガニック・自然派化粧品だからといって安全ではないことはわかっていただけたと思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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