肥満の方に糖尿病が多いように思われています。しかし、糖尿病だから肥満ってわけでもないですし、肥満だから糖尿病ってわけでもありません。太り気味の糖尿病専門医に「痩せなさい!」「食事に注意を!」「運動するように!」って指導されて怒っていた患者さんもいました。
ある糖尿病の薬が肥満改善に非常に効果的
こんな話が飛び出しました、でも乱用されると非常にまずいことになりますので、じっくりとブログを読んで薬名を見つけてくださいませ。
肥満症に糖尿病の薬が効くって⁉
The Potential for Glucagon-Like Peptide-1 Agonists in Diabetesより
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FDAも認めた肥満治療法❗
こんな書き方をするとインチキ通販サプリくさくなりますが、この話は本当です。一般名リ●ラ●ルチドって2型糖尿病の薬があるんですけど、インスリンの分泌を促進して糖尿病による高血糖を改善するものです。この糖尿病薬の効果として体重増加抑制が認められています。
体重増加抑制ってことは⋯減量効果ももちろん期待できます。安易に肥満解消に使用されるといけないと考えたアメリカの食品医薬品局(FDA) が小学生のように委員会の中で肥満治療に対して適用を認めるかの投票を行いました。その結果、14対1で肥満症にも使って良い、となりました。
対象となる肥満症には幾つかの条件が付いていますのでご注意ください。
BMIは30以上
◎BMIが27以上で肥満症に関連した合併症を1つ以上ある
というのが使用する上での条件です。BMIが30以上の人って日本ではあまり見かけませんけど、米国では珍しい体型ではないですから、この治療薬は将来爆発的に使用されることが予想できます。BMIが27というと日本でもそれほど珍しい体型ではありません。
BMIが25以上(お役所等が決めた肥満の基準)になるとこんなに多くの人が当てはまってしまいます。http://www.wellnesslink.jp/より
2014年11月6日追記 ブログを読まれた方からなぜ肥満に効果があるのかわかりにくい❗というご指摘がありましたから追記します。インスリンは高血糖時に分泌されてグルコースを脂肪として体内に蓄えます。一方、グルカゴンというホルモンは低血糖時に分泌されて血糖値を高めます。血糖を高めるために脂肪からグルコースを得ていると考えると、この薬の主成分であるグルカゴン様ペプチド-1 が肥満治療に効果がある、という考え方です。
この肥満治療薬は日本で販売されるのか??
この糖尿病薬が肥満に効果があることは、痩身を研究している医師の間では密かに知られていました。基本情報はネット上にも公開されていますから⋯。これ以下は自己責任でお願いしますね。
リラグルチドについて
リラグルチドは2型糖尿病治療用のヒトGLP-1アナログ製剤で、日本の第3相試験の結果から、軽症から比較的進行した糖尿病の患者さんまで幅広く有効であることが示されており、以下の特長を有します。優れた血糖改善効果:強力かつ持続的にHbA1cを低下させます。
低血糖の発現頻度が低い:グルコース濃度依存的、つまり血糖値が高い場合にのみインスリン分泌作用を発揮します。
体重増加抑制:多くの現行の治療法は体重を増加させますが、リラグルチド単独投与による治療は体重を減少させます。
β細胞機能の改善:インスリンを分泌するβ細胞の機能を改善させます。日本人の糖尿病患者さんは欧米と比べてインスリン分泌の低下が顕著にみられ、β細胞機能の改善は糖尿病の進展を予防することが期待されます。
新規糖尿病治療薬リラグルチドとエキセナチドの直接比較試験の結果がランセット誌に掲載より
ダイエット、痩身治療に関心があり、研究熱心な医師は当然この情報に目をつけていたはずです(と少し自画自賛)。でも、糖尿病つまり高血糖ではない人に使用することには躊躇しますよね、常識ある医師であるならば(と、さらに自画自賛)。
この情報はあくまで製薬会社が発表したものですから、あの降圧剤インチキデータ事件のような目に合わないために慎重に慎重を重ねることが必要になってきます。それをあのFDAが肥満治療に効果があり、今後肥満治療に使用しよう、と言っているんだからこれは信用度がかなり高いことになります。
結論としてこの肥満に効果がある糖尿病の薬は日本で販売されています
もったいぶった書き方をしてきました。肥満解消、ダイエットに効果が高い、と大々的に書いてしまうと「名前を教えろ❗」というメールが以前殺到して痛い目にあいましたし、製薬会社からも嫌味を言われた経験がある私だから積極的に薬の一般名ではなく販売名称を書くことは控えたいと存じます。
でも言いたいなあ⋯言っちゃいます❗
その名も「ビクトーザ」
書いてしまった。この薬は気軽に手に入れることは不可能です、だって注射薬ですから。
どこかの病院・クリニックに行って「ビクトーザ処方してください❗」って言ったら絶対に怪しまれますし、万が一、副作用で低血糖なんて引き起こしたら死んじゃいますから、処方した医師も間違いなくアウトです。提訴・訴訟もなんのその、って感じの問題ある美容系クリニックではひょっとしたら処方してくれるかもですけど。
このビクトーザはすでに死亡者が日本でも出ています。
ビクトーザは平成22年6月11日より販売が始まり、10月まで約9,000人が使っています。厚生労働省によると、このうち10月7日までに糖尿病ケトアシドーシス (DKA) が4例 (うち死亡2例) 、高血糖16例が報告されています。これら20例のうち、17症例がインスリン治療からビクトーザに切り替えた後に発症したもの。他にもインスリン治療からビクトーザへの切り換えが行われていると推測されるので、厚労省は患者の安全を守るために次のような情報を製薬会社を通して医療関係者に伝えるように指示しました。
All About インスリンからの切り替え時に注意!ビクトーザの特徴より
悪い薬ではないのですけど、真っ当な糖尿病への治療薬として処方されていても、結果として死亡者がでていますので、日本で肥満解消薬として承認される可能性は低いと予想します。
あれほど肥満治療薬として注目された「オブリーン」(関連エントリー 2014年登場の話題の「肥満治療薬」を飲んでみました、気になるダイエット効果は?) でさえ厚生労働省の承認を受けているのにまだ販売されていません。オブリーンはビクトーザのように死亡例がでるような作用はありませんので、なぜ販売されないのかという疑問は医療関係者の間でも不思議とされています。
あくまでの噂ですけど、製造発売元である日本最大の製薬会社が希望する薬価と厚労省が提示した薬価に大幅な開きがあったため、と言われていますけど、それなら保険適用外でもいいから販売してください、武田薬品さま。厚労省ともめている間に外資系のビクトーザに肥満治療薬の地位を独占されてしまいますよ❗
ブラッシュアップして、糖尿病治療薬とダイエット治療について新しいブログ書きました。
お時間のある方はお読みくださいませ。