WBCならぬWDC(World Doctor Competition)がもしもあったら、日本人医師の手術の腕は米国人と比較して圧倒的に優秀なのです。
近年増加傾向にある大腸がんについて日米の治療成績の比較をしてみました。
なんとはなしにアメリカ人医師の方が手術が上手そうな気がしませんか?
厚生労働省の審議会で使用されたデータに基づき比較すると次の様な結果がでました。
手術は圧倒的に日本人医師の勝ち
成績の比較は5年生存率と呼ばれるものを使用します。治療後5年以上生存していた人の率のことです。
大腸がんにおける手術後の5年生存率は
日本での成績は71.4%、米国では47.5%
なんとその差は1.5倍、日本人の方が生存率が高いのです。
なぜそんなに差がでるのでしょうか?
丁寧さが違う
手術は病変部だけの切除では終わりません。
転移している可能性を探るために周辺のリンパ節も取り除きます。
リンパ節は悪いものが体中に回らないようにするための防波堤の役目をします。
そのリンパ節を取り除くことをリンパ節廓清といい、細かい手術になり、根気の必要なものです。
日本人は病変から流れ出るリンパ節を一個一個丹念に切り取っていきます。
それと比較して米国人医師は縦方向のみのざっくり、日本医師は縦横ななめのリンパ節を取り除きます。
日本では平均20個のリンパ節を取り除きますが、米国の平均はなんとたったの9個です。
手術のやり方だけではありません。
手術で取り除いた病変部を顕微鏡で詳細に検査する「病理検査」にもお国柄がでます。
日本では切り取ったリンパ節を丁寧にホルマリンにつけたあと、それこそミリ単位で切っていき
その一枚一枚を顕微鏡でのぞきます。いっぽうアメリカではじゃぶんとホルマリンにつけたあとに、
ザクザクときっていき顕微鏡で調べます。
まるで日本料理の繊細さとバーベキューの豪快さの違いの様です。
患者さんももっと知識を得よう!
日本人医師の手術の腕は医療先進国と言われているアメリカと比較して断然優秀なのです。
しかし、手術以外の治療法については医師も患者さん側も考え方を変えないといけないと思われます。
がん治療全体で考えると残念ながらアメリカの方が成績が良いのです。
がん全体の5年生存率は米国では62.4%、日本40.6%と圧倒的に米国の勝ちです。
その違いは、たとえば放射線治療です。日本人の場合放射線治療に対するイメージが悪く、
手術後に放射線治療を追加することを嫌う傾向があります。
放射線治療を併用する患者さんはアメリカでは66%なのに日本では25%しかいません。
その違いが日米のがんの生存率に対する成績の大きな違いの原因と考えられます。
日本人医師は手術の腕は最高なのですから、
もっと患者さんと対話をしていかに追加の治療が重要なのかを説得する努力が必要ではないでしょうか?