以前、ブログで昨年2013年に山梨県に遊びにいったドイツ人女性がデング熱を発症して日本で60数年ぶりか?なんでものを書きましたが(関連エントリー)、今年2014年8月に入って海外渡航歴のない埼玉県の10歳代の女性がデング熱を発症した事が大きく報道されています。
70年ぶりに国内でデング熱発症、感染者も増えている
東京都の20代男性と埼玉県の20代女性がデング熱を発症した事が本日28日に厚生労働省によって発表されています。デング熱を発症した3名共に東京の代々木公園に行っているので、そこでデング熱を媒介する蚊に刺されて発症してことが強く疑われています。
猛暑や大雨に弱い蚊の幼虫
日本には蚊は100種類くらいが棲息していて、その半数が「血を吸う蚊」なのですが、主に私たちが蚊に刺された❗と思うものはアカイエカ、ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)、チカイエカの三種類です。デング熱を媒介する蚊は日本には常在していないはずのネッタイシマカなので、今回のように大きく報道がなされているのです。
蚊の幼虫をボウフラと呼びますが、池や水たまり、庭に放置したバケツなどの水のなかに棲息して成虫となります。今年は全国で異常な大雨に見舞われましたので、ヒトスジシマカのように少量の水で増殖する傾向がある蚊の幼虫のボウフラは、流されてしまって逆に少なくなっているという話もあります。また、蚊自体も35度以上の猛暑になると生き残れなくなるために本年は蚊は少なくなっているとの報告がなされています。
異常気象をくぐり抜けてきた蚊かもしれない?
ここ数年は大雨、猛暑などの異常気象に見舞われている日本ですが、蚊にとっても生き抜きにくい環境となっているはずです。しかし、このような悪条件をくぐりぬけて生存している蚊は自然環境の変化に適応した蚊と言えます。今の人類が類人猿の中から進化を続けながら他の霊長類のトップの地位についたのも、別に強かったからでも賢かったからでもなく、単に環境の変化に対応できたからと考えるのがダーウィンの言うところの「進化論」の肝となっています。
地球温暖化が起きていると仮定した場合、日本は今の気候は温帯とされていますが、将来的には亜熱帯になる可能性もあります。感染症は移動手段の発達によって毎年騒がれる鳥インフルエンザや新型インフルエンザのように以前とは比べものにならないくらい猛烈に世界中に広がります。
今、欧米で騒がれいる「エボラ出血熱」も如何にアフリカに閉じ込めておくか、という隔離が感染者の治療以前に優先されています。(関連エントリー)
今回のデング熱をまき散らした蚊は飛行機中や運搬物の中に混じり込んできた可能性が大です。
代々木公園でデング熱を媒介した蚊は今どうなっている??
アカイエカの寿命は長いものでは半年とされていますが、一般的な蚊の成虫の寿命は3~4 週間ほどです。今回、デング熱を媒介したと考えられる代々木公園の蚊は現時点でも生息しているのでしょうか?厚生労働省の担当者は
「ウイルスを持った蚊の寿命は短く、既に死んでいるはず。代々木公園に行った人も、症状が出ていなければ心配する必要はない」
と言っています。8月18~24日の間に今回デング熱に感染した三名の方は発症していて、デング熱の潜伏期間は通常5~6日とされていますが、NHKの報道によると8月初旬から中旬に蚊に刺されたらしいので、原因となった蚊自体まだ生きている可能性もあるのではないでしょうか?
発症者の個人情報等の関係もあって明確に何月何日に代々木公園にこの3人がいて的な報道が難しいのは十分に理解出来る一方、エボラ出血熱やデング熱など普通は聞き慣れない感染症の報道が連続している状況では「年の為、都は代々木公園の一部で蚊の駆除を行なう」という説明だけでは不安が残ります。アース製薬のサイトは奥深い言葉を記しています。
もっとも大切なことは、蚊に刺されないことです
害虫駆除なんでも事典より
注意:デング熱はエボラ出血熱と違って、人から人へは感染しません。