何でも生食、つまり熱を加えない食べ方が健康に良いって話が巷に出回っています。ローフードは「raw food」であり生食を意味して、ローフードで生活を送る事をローフーディズムと言うらしいです。なかにはローフードダイエットという瘦せるための方法も登場しています。冷静に考えれば、人類は何十万年も前から火を使って生活してきたわけで、食生活も火とは切っても切れません。
本記事の内容
熱を加えないローフード理論の根拠を調べてみました
非常に個人的なことなのですが、私は生野菜が大っ嫌いなために、生野菜をイッパイ摂りましょうというローフードについて少し調べて見ました(サラダを食べないで済ますための単なる言い訳を探しただけです)。
生ものは十分に注意をしないとジュースにさえ寄生虫が入り込むリスクがあります。
どうして生で食べ物を摂った方が健康に良いかというと、「酵素栄養学」が裏付けとなっているようです(関連エントリー)。酵素って熱に弱いので、酵素不足の現代人は酵素を積極的に取入れるために、なるべく食べ物は生で食べましょう❗ってわけらしいんです。
でも、生の食べ物って寄生虫とかイッパイいるのでローフードを実践するには注意が必要です。
食物に含まれる寄生生物のトップ10by FAO&WHO
別に私が個人的に酵素栄養学を目の敵にしているからじゃありませんけど、ローフードの事を調べて行くと必ず「酵素」に話は誘導されます。つまり
ローフード信者=酵素栄養学信者
という図式ができあがっているのです。人類は効率よくエネルギーを補給する為に、食品に熱を加える調理法を知る事によって進化を遂げてきました。
もちろん熱を加える事により効果が減少するビタミン類などの栄養素もありますが、火をつかった調理法によって食物の栄養の吸収率が高まって「生きる」という意味では有利になります。また、熱を加える事によって寄生虫・微生物など体に悪影響をおよぼす原因を排除していることも間違いありません。
国連食料農業機関(Food and Agriculture Organization 略してFAO)と世界保健機関(WHO) は世界の衛生上問題あり、と懸念される食物由来の寄生虫や微生物を発表しました。
◎有鉤条虫:ブタの寄生虫
◎単包条虫:生鮮食品に含まれる寄生虫
◎多包条虫:生鮮食品に含まれる寄生虫
◎トキソプラマ :ブタ,ウシの内臓や肉に寄生
◎クリプトスポリジウム属原虫:生鮮食品,フルーツジュース,牛乳に含まれる
◎赤痢アメーバ:生鮮食品に寄生する真核生物
◎旋毛虫:ブタ肉に寄生している
◎オピストルキス属:淡水魚に寄生する
◎回虫(Ascaris spp.):生鮮食品に含まれる
◎クルーズ・トリパノソーマ:フルーツジュース
となっています。これらの選定には日本を含む23カ国の専門家が携わっています。トップ10は世界中における感染者数、分布、病気の症状などを考慮に入れて選出?されました。
肉に火を通せばユッケ事件も起こらなかったはずです
もともと肉を生で食べる習慣の無かった日本ですが、焼き肉が一般的になり更なる珍味を求めるためにユッケやレバ刺しが流行しました。ユッケは大食中毒事件が発生して、感情の起伏が激しい社長の会見も話題になったことは記憶に新しいと思われます(関連エントリー)。珍味を求める為にふぐの肝を食する習慣がある日本ですけど、リスクを承知でチャレンジするという心得の元に行なわれていた食べ方であり、一般人が健康になるため、病気を治すためのものではありせん。
じゃあ、日本人は刺身って生で魚を食べていたじゃん、という意見もでてきます。でも、海沿いの地域を除いて昔は常に生で魚を食していたわけではなく、塩漬けにしたり、干物にしたり工夫を凝らして食べていました。
野菜も生で食べるようになったのは第二次大戦後 GHQのパーティーでシーザーサラダが提供されたのが始まりと言われています。それ以前は野菜は煮物や漬け物として食べられていたのです。そういえば「食べない生き方」と称して青汁一杯、たった50kcalでここ数十年間健康的に生活を送っている方の支持者の多くも、生で酵素いっぱいの青汁を飲んでいるから、このような奇跡的なというか、医学的にはあり得ない現象の説明をしています(関連エントリー)。
ローフードを実践している方はご注意ください❗
発酵と腐敗は紙一重であり、特に湿気の多い日本では腐敗が進みやすいと考えられます。また、食肉の処理ももともと肉食が盛んであった欧米に比較してまだまだ不慣れな点があるとも考えられます。ローフード愛好者の方、もしも生食が健康に良いという理論を酵素栄養学を求めるのであれば、どんなに頑張って生食をしても食品中の酵素は体内に吸収される過程でバラバラになって、単なるアミノ酸に変化するということをお忘れないようにご注意ください。(関連エントリー)
ついでにWHOとFAOが提示した食品由来の寄生生物のほとんどは加熱処理で防ぐことが可能ですが、生食の場合は酵素のように消化器官で分解されないで、体内に侵入して発病するということに十分気をつけてくださいね。