積極的にインフルエンザワクチン等の摂取を推進している私ですが、ここで告白します。2012年から2013年のシーズン、つまり一昨年のインフルエンザワクチンはイマイチでした。
現時点でエポラ出血熱のパンデミックが今にもあるかの様な噂レベルの話をチラホラ見かけますが「流行性の感染症の対策はまずは手洗い等の予防である」ということを強調したいので、一昨年の痛い話をさせていただきます。
ワクチン推進派として痛いデータ
東京都感染情報センターよりお借りしました。赤線が2012年ー2013年の東京の流行状況です。
一昨年のインフルエンザワクチンが外れたワケではないのです
一昨年に流行したインフルエンザの種類はA型はH1N1とH3N2であり、もちろんインフルエンザワクチンにもこれらが入っていたので、所謂当たった・外れたでいえば95-98%は当たっていました。B型においては100%当たっていました。
それほどの高確率で当たったはずのインフルエンザワクチンを間違いなく受けていると考えられる老人施設でも集団感染が広がったのはなぜでしょうか?考えられることはせっかく予防接種を受けていても十分に効果を発揮する抗体が作られていなかった可能性が大なのです。
ということはワクチン反対派の方が喜ぶような「全く効果のないワクチンで製薬会社と医師が大儲け」論があったのでしょうか?
インフルエンザワクチン製造過程の問題
インフルエンザワクチンは製造された後、チェックは毒性や力価に対しては厳重に行なわれます。しかし、その製造されたワクチンが流行が予想されたインフルエンザの種類別に効果があるかを確認することができないのです。というのも当たり前の事ですが、流行する事を予想されるインフルエンザワクチンに実際に人間に感染させて、製造したインフルエンザワクチンを接種して抗体の上昇を確認する実験はもろ人体実験であり、倫理上許されないと私は教えられていました。
でも調べてみるとEU諸国では実際に人体に接種して抗体が上昇することが認められないと、流通しないという厳しい基準が設けられています。行政が主体になって予防治療を行なう時に欧米でまず問題とされるのが「費用対効果」なので、ヨーロッパ医薬品庁というお役所が季節性インフルエンザワクチンに対しても、ほんとうに効果があるのか?と厳しい監視の目を光らせているのです。
インフルエンザワクチンが効果を発揮しなかった言い訳
インフルエンザワクチンは鶏卵を使用して製造することは知られていると思います。ワクチンの元となるワクチン株を鶏卵を使用して培養して大量生産を行ないます。ワクチン株の中には増殖しやすいものと増殖しにくいものがあります。
大量生産を得意とする日本では(今ではお隣の国にお株を奪われたという説もありますけど)、鶏卵中で増殖する能力の高いウイルス株を選択してそれを使用しています。ホントウのことをいうとワクチン否定派ってなぜか、遺伝子組換えにも非常に敏感なので大声では言いたくないのですけど、増殖能力の高いワクチン株をつくるために遺伝子を操作します、言っちゃった。
マッドサイエンティストが遺伝子操作をするわけではなく、農家の方が美味しいお米を作る程度の遺伝子操作っていうか遺伝子交雑ですけどね。この遺伝子操作じゃなかった、遺伝子交雑の過程で、ワクチンのワクチンたる抗原性を発揮する部分に変異が起こってしまう可能性があり、実際には流行するインフルエンザとは少し違った抗原になってしまことがあるのです。
つまり、予防接種しても効果を発揮しないワクチンを打っている可能性は否定出来ないのです。
となると、インフルエンザは飛沫感染、つまりツバや鼻水を介して感染が拡大しますので、感染した人はマスクをするなどに注意を払っていただき、感染予防のためにはしっかりと手洗いを行うことが一番なんです。
昨シーズンのインフルエンザワクチンは外れませんでした、というかしっかりと抗原性を発揮したのはH3N2型用に使用したワクチン株が抗原変異の少ないとされている「A/テキサス株」を使用したためです。
今シーズンのインフルエンザワクチンは果たしてインフルエンザの型は外していないけど、抗原性についてはどうなのでしょうか?もう既に製造は開始しており株もA型はカリフォルニアとニューヨークに決定しています。ちなみに一昨年の株はカリフォルニアとビクトリアでしたので効果のほどはワクチン否定派が大喜びする可能性は否定できません、ガックリ。