清涼飲料水・コーラ・缶コーヒーといった手軽に変える飲み物は糖分が凄まじいことから、お茶・水・ブラックコーヒーをはじめとした無糖タイプを選ぶ人が増えているようです。
最近は炭酸水が急激に増えてきています。無糖タイプの炭酸水です。
ひと昔前はペリエ=お洒落なイメージでしたが、今では炭酸水はだいぶ一般的になりました。ここで、ひとつ疑問があるのです。炭酸水って体によいの?悪いの?炭酸好きな医師が解説します。
本記事の内容
なんだか体に良さそうな炭酸水、でも酸性です
スパークリングウォーターとかの発泡性のお水ってペリエに代表されるようにオシャレっぽい飲み物ですよね。夏の暑い日はコーラとかの炭酸ものをギンギンに冷やしてゴクゴク飲むのが好きなんですけど、診療中にコーラを飲むのもなんですから、診察中は「おいしい炭酸水」というものを飲んでいます。
ペリエとかオシャレっぽいものは苦手ですし、その名も「おいしい炭酸水」ですから美味しいのです⋯当たり前か。それを見た患者さんが「やっぱり炭酸水って健康に良いんですね」と仰ったので「単に美味しいから飲んでいるんですけど⋯炭酸って健康にいいんですか?」と尋ねたら「ほらっ、炭酸の入った入浴剤とかあるし、なんかで炭酸水は体に良いっていっていましたよ」とのお答え。多分、しきりに宣伝している「水素水」系の飲料水のこととゴッチャになっていたのでしょうね。
水素水がホントウに体に良いのかについて別の機会に述べます。今回は「炭酸水は健康に良いか?」に話を絞りますね。
酸性とアルカリ性、どちらが健康に良いか?
お肌に優しい弱酸性のボディーソープが流行っていますけどホントウにお肌には弱酸性が良いのかという問題は以前ブログで書きました。
一般的に食品ってアルカリの方が体に良い、とされていますよね。「体が酸性になるのが万病のもと」的にな理論の適当な健康本が氾濫した時期がありました。でも、人間の体には食品や飲み物程度を摂取しただけで酸性になったりアルカリ性になったりすることはありません。
炭酸水は酸性です
となると、酸性食品悪玉説の人にとっては「毒」ということになりますよね、そうなると誰もが体に良いと認識している「お酢」これも酸性です。
簡単じゃない炭酸を含む飲料水のPH問題
水に炭酸ガスを含ませた飲み物は当然「酸性」になるのですが、飲料水として味付けが工夫された炭酸飲料に分類される飲み物は添加した成分によって「アルカリ性」になっているものもあるかもしれませんが⋯。
アルカリであるか酸性であるかは小学校か中学校の理科の実験で「リトマス試験紙」ってものを皆さん使った経験あるので、Amazonなどで手にいれてご自分のお好きな飲み物を測定してみてください。PHが7より小さいのが酸性で、大きいのがアルカリ性で、リトマス試験紙のでは酸性の場合は青色のリトマス試験紙が→赤に変化、アルカリ性の場合は赤→青ですね。多分ほとんどの飲料水が体に悪いとされる酸性のはずです。
人体は何を食べても弱アルカリ性という不思議
アルカリ食品推進派の方はここからの話は非常に不快になるかも知れませんけど、事実なんで仕方ありません。
人体って本当に不思議なのですがホメオスタシスというシステムによって、酸性の食べ物を食べようがアルカリ性の食べ物を食べようが飲もうが常にPH7.4の弱アルカリ性を維持するようになっています。万が一酸性になったら即入院して厳重な管理下におかれて治療をしなくてはなりません。体のバランスは主に呼吸と排泄によって調整がされています。
酸性食品とアルカリ性食品は体に入ってから判断するのです
リトマス試験紙を買って飲み物を判定しても、その結果からアルカリ飲料水とか酸性飲料水と判定することはできないのです。
酸性食品とその食品が酸性であるかということは実は別問題なのです
飲み物・食べ物をリトマス試験紙でアルカリか酸性かを調べていも、その結果がアルカリ食品、酸性食品という判別は別問題となっています。それらの飲み物・食べ物が体内に入った場合、呼吸を中心にホメオスタシスを保っている血液が酸性に傾くか、アルカリ性に傾くかによってアルカリ食品、酸性食品と呼ばれるようになっています。
CO2 + H2O ⇔ H2CO3 ⇔ H+ + HCO3-
(呼吸) (血液などの体液) (腎臓で調節)
リトマス試験紙で酸性と判定された炭酸水は体の中ではHCO3-や (CO3) 2- に変化します。この化学式でマイナスはアルカリを表しますので(厳密にはH+を受け取るものが塩基です)、アルカリ性飲料水と呼ぶこともあながちウソではないのです。このあたりは理系のオッサンにツッコまれるとマズいので細くしておくと、アルカリ性ということばは水溶液(水に溶けたもの)にのみ使用される化学用語であり、高校生レベルだと塩基性という言葉を使用するようになります。塩基性は酸と反応する物質全体を表しますので、水溶液でアルカリのものを塩基性の成分と考てください。
まとめますと、炭酸水はPHを測定すれば酸性だけど、体内に入ると酸と反応する塩基性になるので「アルカリ性の飲料水」ということになります。
酸性でもアルカリ性でも通常の量の食べ物や飲み物くらいで体中が酸性になったり、アルカリ性になったりすることはあり得ないのです❗
だからこそ私は単に美味しいから「おいしい炭酸水」を飲んでいる、という患者さんへの答えは間違っていませんでした、良かった。
注意:一部の炭酸飲料水は腎結石が再発しやすくなるという説がありますので結石持ちの方は避けた方が懸命です。
「水素水」と称する「アルカリ性の水」が健康に良い、エイジングケアがあると常識のように考えられています。でもこれは疑似科学・ニセ医学と考えてください。詳しくは下記を。