全身脱毛300円❗って脱毛専門エステはどんな料金システムになっているんだ??

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値段が高いことに価値が見いださせればよいのですが、とにかく料金の安い脱毛サロンの広告が気になる女性は多いはずです。

電車で通勤されるOLさんはじめ通学する女子高生・女子大生は、きっと電車の中吊り広告などにある脱毛の広告で「安っ」と興味ひかれた経験があるのではないでしょうか。

大抵安い脱毛の広告は、ワキに特化していたりします。ですが、全身脱毛300円という衝撃的な広告が登場しました。これは、どういうカラクリがあるのでしょうか?本当に効果あるのか?解説しますね。

全身脱毛が300円でできるという常識破りのエステの広告

レーザーによる脱毛は医療機関でのみ治療を行なうことが厚労省ならびに各保健所から通達されています。レーザーの種類としてはYAGレーザーやアレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザーが使用されています。また、フォトフェイシャルやフォトRFオーロラに代表されるIPLという光治療器も脱毛を可能としています。

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ジェントルヤグレーザーという当院で脱毛に使用している機器です。

以前は針を毛穴に刺して熱を加える脱毛法「針脱毛」は医療機関限定なのか、エステでも可能なのかという議論がありました。エステの主張としては針を体内に差し込むわけではなく、あくまで毛穴に入れているだけなので、人体に直接触れていないからエステで行なっても問題ないじゃん、というかなり無理のある理論武装?で当局に対抗していたようです。結果的にはもちろん却下。

「全身脱毛が300円」

最近、ネットの広告で全身脱毛が300円という破格の料金が目につきましたので、果たしてどんな脱毛を行なっているのか興味津々でネット情報を調査してみました。

光治療ならエステでもOKらしい??

フォトフェイシャルという言葉は一般名詞ではなく、治療機器の固有名詞なのですけど、光治療の代表なので一般的には光治療の代名詞的に普通に使用しています。間隔を空けて短時間に光が照射されることによって作用するため正式にはIntense Pulsed Light(略してIPL) と呼んでいます。光エネルギーが熱エネルギーに変換されることによって、脱毛目的である毛根を焼くことによって「お肌ツルツルの脱毛」効果が得られるのです。

当院にもIPL系の治療機器は複数台ありますが、脱毛に使用するエネルギーは美肌目的の場合と比較して大きな熱量(ジュール)が必要ですし、照射している時間も比較的長くなってしまいます、ということは「ヤケド」のリスクが結構大きいのです。

IPLに比較するとレーザーの場合は波長を絞ることによって、毛根以外の部分に作用することが少ないために安全性が高い(もちろん十分なトレーニングと理論を理解した上での治療において)と少なくとも医療関係者は考えています。以前の脱毛レーザーは口径が小さいために広い面積を治療するためには手間ひまが掛かってしまうことと、医師が中心となって治療していたため高額になることがネックになっていました。IPL等の光治療器はレーザーと違って幅広い波長を比較的大きな面積に照射することが可能なために、脱毛時間の短縮が可能なので治療する側からすれば便利は便利なのです。

しかし,IPLは幅広い波長が毛根以外に作用するために「ヤケド」のリスクが高いので医療機関なら基本的にレーザーを選択することが多いのが現状です。レーザー脱毛が普及することによって当然価格競争が起きて来ますので、医療機関でさえ15年前と比較すると治療費は5分の一程度になって来ています。それでも少なくとも治療器は1000万円近くしますし、資格を有するものが治療するために300円では絶対に採算が合いません。そこに登場して来たのがエステによるIPLを使用した脱毛です。

別にエステで脱毛してもいいと思うけど、料金が⋯

治療の理論を理解して、正しい方法で脱毛行為をエステで行なっても別に問題ないじゃない、と医療関係者は考えています。というのもエステで使用されるIPLは医療機関で使用されるIPLよりもかなりパワーダウンさせたものであるため「永久脱毛」は無理と考えているからです。

当局もヤケドなどの事故を起こさない限りエステで疑似医療行為である脱毛を多なっていても基本的には見て見ぬふりです。今回「脱毛300円の謎」を料金を中心に医療機関の脱毛と比較検討してみます。

  • 医師の年収は1500万円程度と言われています。
  • エステシャンの年収は歩合制がある所が多いので確定できませんが、300万円とします
  • レーザー治療器は1000万円として、エステの IPLはカタログによれば250万程度

エステの脱毛料金が300円なら治療機器の値段が4倍、施術者の時給が5倍の医療機関で同様の治療を行なった場合

  • 設備投資4倍×人件費5倍=20倍、6000円になることが予想されます。

もちろん設備投資額を回収してしまえば、コストは人件費の5倍だけで済みますので、あくまで仮の計算とお考えください。

注意:脱毛ってレーザーであろうと、IPLであろうと複数回必要ですので300円で全身脱毛ができると思ってしまう方もいるかも知れませんので、料金体系はしっかりと確認してから治療の申し込みをしてくださいね。

エステVS医療機関、ビジネスとしてはエステの圧勝❗

全身脱毛300円のエステのサイト上の詳しい料金体系を見ますと「全身脱毛6回13万8300円(税抜き)」となっています。正確には初回月は300円で全身脱毛ができるけど、翌月からは毎月9800円を15回支払うシステムになっています。先ほどの医療機関治療料金20倍説をこの全身脱毛6回コースに当てはめると250万円以上となる計算になります。レーザー脱毛機の普及によって価格競争が起きてしまったために、医療機関は一部を除いて現時点では通常メニューとして脱毛は行なっているけど、積極的に宣伝している所は稀なのです。

当院でも以前は「全身脱毛コース」というものを2年間フリーパスで50万円程度で行なっていました(現在は積極的には行なっていません)。全身脱毛300円エステの場合、6回の治療に15ヶ月掛かることにサイト上はなっていますので、当院の全身脱毛コースを15ヶ月行なったと仮定して計算すると

・50万×15÷24=31万2500円
先ほどの医療機関VSエステだと医療機関の場合20倍料金を取らないと成り立たない計算になりますが、この計算方式だとその差は2倍強となり、エステと当院の実際上の料金の差はかなり縮まることになります。別の見方、経営者目線ででよーく考えてみると料金は当院の全身脱毛コースの半分と低料金になっていますけど、ランニングコストは20分の1でまかなえるために全身脱毛300円エステは医療機関の10倍利益がでるという素晴らしいビジネスモデルをエステ脱毛は作り上げているのです。

100万円以上の脱毛料金は15年くらい前だったら医療機関で表示しても希望する患者さんもいたと思われますが、いまどき医療機関で全身脱毛とはいえ100万以上出す患者さんは想定外です。20分の1のコストで無資格とはいえ脱毛ができ、さらに10倍の利益率(私が勝手に予想した数字ですけど)を背景に派手に広告を打ち出すエステにビジネスとして医療機関が脱毛で勝てる可能性はほとんどありません。

これからは脱毛は是非エステで行なっていただくのが料金に敏感な消費者にとってはベストの選択と断言出来ます。効果と安全面に対しては全く保障できませんけど。

今後、エステのライバルはズバリこれです❗

料金ではエステに勝ち目のない医療機関の脱毛です。しかし、エステも安心してはいられません。こんな脱毛用の美容機器が登場しています。

ES-WH71

Panasonic 光美容器 光エステ (ボディ用) ピンク調 ES-WH71-P  17000円❗

これを購入して、友達同士でお互いに脱毛しあいっこするのが一番賢い方法なんではないでしょか?これなら300円エステの全身脱毛コースの12分の一の費用で済みますし、万が一、ヤケドなどの事故があっても相手は巨大企業のパナソニックですから、対応も十分なのではないでしょうか?

エステの脱毛でヤケドをしたと当院に駆け込んで来る患者さんは日常茶飯事ですが、パナソニックの光エステでヤケドしていらした方は今のところ0ですので安全性は十分確保されていると思われます(効果は不明です)。

当院の場合脱毛はレーザー(ダイオードレーザー・ロングパルスヤグレーザー)が主力であり、料金も決して安くはありません(当院ではワキのレーザー脱毛は1回1万円で何回か施術必要。でも回数増えるごとに安くなるシステム導入)。でも、なぜか脱毛治療を希望する患者さんは皆無ではないという不思議な現象に対して考えられることは、

エステの全身脱毛コース6回という数字です!!

脱毛はワキなら6回程度で完了する事も考えられますけど、光やレーザーの性質として毛が細くなればなるほど、治療回数が増えてしまいます。全身のムダ毛を6回でツルツルにするのはエステで使用されるパワーダウンさせたIPLでは、私が知っている限りの医学理論と物理理論では不可能であると、一言加えさせていただきます。
6回13万円チョッとで全身脱毛は無理なんです
たぶん、複数回この全身脱毛コースを申し込む事になるか、残ったムダ毛だけを追加料金で継続治療することになると思うんですが、間違っていますか?私の考え。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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