「乳がん」と食べ物、生活習慣にどのように影響しているのか世界中の医学研究者が調査を行っています。今回、「ホクロの数と乳がん」は密接な関係があるんじゃない、という研究報告を見つけました。
ホクロと乳がんの関係
以前、「ほくろ占い」なんてバカバカしいと思って、当院でホクロの除去を行なった患者さんの人生に変化があったかをブログに書いたてまえ、ホクロを取ったら乳がんになりにくくなる、なんて結論の論文だと立場がなくなるので読み込んでみました。
ホクロが増えると乳がんになりやすい傾向があった
今回、ホクロと乳がんの関連性をしらべた論文は「Association between Cutaneous Nevi and Breast Cancer in the Nurses’ Health Study: A Prospective Cohort Study」でPLOS MEDのオンライン版なのでどなたでも読むことができます。アメリカには医療従事者の健康を追いかけているデータベースがあり、その一つとして看護師さんを長年に渡って調査しているもの(NHS) というのがあります。
女性看護士さんのデータが7万5000人分登録してあり、今まで蓄積して来た24年間のデータを対象に研究が行なわれています。乳がんは女性ホルモンと関連があることが知られています。その一方でホクロも女性ホルモンとなにか関係があるんじゃないの、と思われて来ています。その「ホクロと乳がん」に関連性がないのかな?と思いついた研究者、素晴らしいです発想が。
ホクロの数は乳がんのリスクと関係があった
1986年時点でホクロの数が記載されてあった7万4523人の看護師さんのうち2010年まで乳がんになった人は5483人でした。ホクロと乳がんのリスクを数字で表すと
ホクロが無い人が乳がんになるリスクは8.48%
となっていましたが
ホクロが15個以上だと乳がんになるリスクは11.4%
となり、34%乳がんのリスクが高まる、という結論に達しています。
ホクロを取れば乳がんにならないのか?
そうなると当然、出て来る疑問は「乳がんにならないように、ホクロを前もって取っておけば良いのか?」ということです。これは原因と結果からすればあり得ないことになってしまいます。ホクロがあることが乳がんを引き起こしているという証明はありませんし、今回の論文もそんなことをいっているワケではありません。
女性ホルモンと乳がんの関係、女性ホルモンとホクロの関係、この二つを組み合わせることによって、「女性ホルモンの影響として乳がんとホクロが発生する」と考えた場合、ホクロの数が乳がんのリスクを予測することのできる因子になり得るんじゃないか?ということを今回の論文はいっていることをお伝えしますね。
ホクロってレーザーで簡単に取れると思いがちですが、傷跡を残さないようにするには、難しい治療になる場合もあります。
じゃないと、インチキ週刊誌や健康雑誌なんかが「ホクロを取ると将来乳がん予防に❗」なんてテキトーな情報をセンセーショナルに取り上げる可能性大ですからね。