まつげの育毛効果がある「短い睫毛を長くする」美容液が一般的になってきています。まつげが伸びる作用自体、もともと「緑内障治療薬」の副作用として見つかったものです。
◎追記 睫毛が短くなったり、抜けてしまう状態を「睫毛貧毛症」と呼びます。その原因の一つとして「マスカラの間違った落とし方」があるようです。
本記事の内容
「まつげの美容液」はもともと副作用の産物です
緑内障の治療に対してプロスタグランジン系の点眼薬を使用していたら「まつげが伸びちゃった❗」という副作用?が数多く報告されたことを受けて、まつげの美容液としての使用方法が知られだしました。
ブーム初期は点眼薬自体を美容液として使用していました。なぜ効果がでるのかは、理論的にはプロスタグランジンの働きによるものと考えられています。プロスタグランジン(プロスタグランディンともいいます)系の薬といっても数が多いのですが成分表に「ビマトプロスト」「プロステノールアミド」と書いてあったら間違いなくプロスタグランジンが含まれています。まつげ美容液による重大な副作用が報告されだしています。
副作用として上瞼の皮膚が薄くなって、さらに眼瞼下垂のようになってしまうのです❗
副作用はこんな感じで現れてしまいます。
The American Academy of Ophthalmology(アメリカの眼科学会)の医学専門誌に掲載されています。
このように皮膚が薄くなってしまって、さらに上眼瞼が垂れ下がって来た場合、いくら高い手術手技を持ち合わせている医師でも解消するのはかなり難しいと判断することになります。
どんな「まつげ美容液」でも副作用がでる可能性はあります
この論文では日本で初期からまつげの育毛効果があるとして、緑内障でもないのに若い女性が眼科に押し寄せた「ルミガン」が名指しで書かれています。
まつげ専用美容液として「ルミガン」は「ラティース」と言う名前でも製造・販売されています
プロスタグランジン系の成分を含む類似のまつげ美容液として、ハワイに行った女性の半分が購入すると一時期噂された「リバイタラッシュ」があります。一般的に副作用的に表れる症状としてカブレがありますが、かぶれないで使用を続けているとこの論文にあった様な回復が難しいシビアなことになってしまいますので、くれぐれもご注意が必要です。
まつげを伸ばしたいなら、「まつげエクステ」があるじゃない
まつげが伸びるって美容液に対して副作用として「失明」とか「色素沈着」が話題になっていました。
薬であるので本来の使用方法を取らなければ副作用が出てしまうのは当たり前のことです。通常は医師の診察を受けながら治療をする「緑内障」専用の薬を個人輸入して使用した場合、だーれも責任を取ってくれない自己責任ってことになってしまうのです。
まつげを伸ばすなら「まつげエクステ」を利用すればいいんです。しかし、「まつげエクステ」も微妙な立ち位置であり、医療機関なら当然問題にはなりません(医療機関でまつげエクステを採用しているところはかなり少数派)。さらに美容師さんも許されるとのことです。医療機関、美容師さん以外が行なっている「まつげエクステ」が問題含みなのです。
まつげのエクステって実は法律的には微妙なんです
まつげの美容液で効果がでなかった、または副作用的なことが起きた方は「まつげエクステ」を選択することになります。問題となるのは「エステ」や「まつげエクステ専門店」なのです。これらは許可制でも認可制でもなく、届け出自体が必要ない店舗なので、行政側が監視・指導できないために、万が一のトラブルの責任の所在がハッキリしていません。一応は厚生労働省が「まつ毛エクステンションの危害情報について」ということをサイトで表示はしています(普通は見ませんよね、こんなページ)。
これらの店舗でまつげを伸ばすために「まつげエクステ」を行なうのも自己責任の範疇になることになります。
となると当院は扱っていませんけど、医療機関で副作用に注意をしながら「まつげ美容液」を厚生労働省が承認した範囲外で処方してもらうのが一番なのかもしれません。でも、上瞼が薄くなって垂れ下がるなんて副作用がでてしまう可能性もあることを十分知っている医師はかなり少ないと考えています。
「まつげを伸ばす」治療法は簡単そうで難しい治療
こう言えるでしょうね。
そういえば「ルミガン」も「ラティース」も製造しているところは、私がブログで怒りまくったあの「アラガン」社であったのは本当に偶然ですよ、アラガンの担当者さま。
2014年10月24日 追記 「グラッシュビスタ」が「睫毛貧毛症治療」に対して、2014年3月に厚生労働省によって製造販売が承認され9月から処方できるようになりました。しかし、安全面から検討して当院では処方いたしませんので詳細は↓をごらんください。