子供のときはコーヒーは苦手だったけど、大人になったら手放せなくなったなんて人も多いのではないでしょうか?
本記事の内容
なぜかコーヒーは体にいいのか、悪いのかの論争に巻き込まれます
大人のムードを醸し出すコーヒーはタバコ、お酒とともに嗜好品の代表であり、とかく健康に良いだの、悪いだのって論争の対象になっています。アルコールは「百薬の長」なんて呼ばれますが、実は続きがあって「されど万病の元」という言葉が省略されて解釈している人が多いですし、疫学的・医学的にはタバコは決して体に良いものではないのですが、芸術活動をする人にとってはベネフィットが多いと主張する意見もあります。
コーヒーはカフェインが薬的な働きをすることは有名ですが、妊婦さんの場合はカフェインには気をつけた方が良い、という意見が主流です。コーヒーの利点として「生コーヒーダイエット」なんてダイエットに効果があるという話もありますし、「コーヒー1日4杯飲むと高まる死亡リスク」って論文もあるし、その真逆で「コーヒーで前立腺がんのリスクが減少」と混乱するような話ばかりです。さらに「コーヒーを飲むと自殺しなくなる」なんてワケのわかんない話まで飛び出しています。たぶん、コーヒーは体に良いです、but カフェイン抜きで⋯というのが正解だと考えています。
コーヒー善玉説⋯1日1杯以上のコーヒーを飲めば肝がんになりにくくなる
アルコール好きの人って、どちらかというとコーヒーも好む様な気がしますが、みなさまはいかがでしょうか?そんな呑んベイのオッサンに喜ばれる研究があります。「Coffee Reduces Risk for Hepatocellular Carcinoma: An Updated Meta-analysis」(Clin Gastroenterol Hepatol. 2013;11:1413-1421)って題名でもろ「コーヒーは肝細胞がんのリスクを減らす」という論文です。
メタ解析という手法を使っていますので、一般の方にわかりやすいグラフは上図のようなものしかありませんでした。
このコーヒー問題は米国人にとって重要なことらしく、今回の研究は1990年代に開始され様々なバイアスを避ける為に人種の偏りを無くし、生活習慣の偏りをなくして解析したものです。その結果
- 対象となった論文は16本
- 肝細胞がん(HCC) になった3153人の生活習慣を調査
- コーヒーを1日1杯未満しか飲まない人より、1〜3杯飲む人の方が肝がんになりにくかった
- 1日3杯以上飲む人は飲まない人より40%肝臓がんになりにくかった
という驚きのコーヒー好きに取っては嬉しい結果がでています。
ツッコミようがない優れた研究です
もちろのこのような疫学統計にはツッコミの余地がいっぱいあります。例えば肝がんの危険因子とされる飲酒、肥満、喫煙、糖尿病なども今回の研究は因子として分析しており、その結果も「コーヒーを飲めば肝臓がんになりにくい」という結果は揺るがなかったのです。
単純に考えればメタボで大酒飲みでスモーカーで糖尿病のあるオッサンでもコーヒーを1日4杯以上飲めば、飲まない人にくらべてガンにならない、というワケです。
一点だけそんな生活のオジサンにアドバイスをすれば、あくまで統計・確率上の問題であって、あなたが40%の確率で肝ガンにならないということではありません。というのも全体から見れば40%発ガンするリスクが減るだけであり、個人にとってはall or nothing,発ガンするかしないかのどちらかですから。
コーヒー善玉説は日本でも明らかになっています
日本が誇るがんセンターの研究でもこのような結果になっています。
でも、ここに落とし穴があるんです。今後ガンにならないようにコーヒーをたくさん飲めば肝臓のがんになりにくいという因果関係は認められないのです。肝機能障害を起こすほどアルコールの飲み過ぎていて胃がやられているとコーヒーを飲むと調子が悪くなったりするために、コーヒーの摂取量が減っているかもしれません。
今から肝臓がんの発生リスクを抑えるために、コーヒーをがぶ飲みしても効果はありません。