新入生や新社会人が新学期・新年度に入社・入学してそろそろ新生活になれだした時になんとは無しにやる気がなくなったり朝起きられなくなったり
新しい環境に適応できないために「うつ」っぽくなる症状を五月病(さつき病では無く、ごがつ病)と呼びますが最近あまり聞かなくなったような気がするのは私だけでしょうか?
五月病って最近あまり聞かなくなったような⋯
私は日本の連休制度つまりゴールデンウィークが大きな原因の一つと考えています。やっと新生活に慣れて来たのにいきなり連休がそれも飛び飛びにあるために、生活のリズムが調子悪くなってしまうこと、例えば昼夜逆転なんて若者だったら直ぐに起きてしまう悪い生活パターンが切っ掛けだと思っていました。
「5月」をキーワードとしてウェブ上をさまよっていたらこんな論文が飛び出して来ました。
5月生まれは「うつ」になるリスクが高くなる
星座とか誕生月、生年月日、そして血液型による性格診断や占いのたぐいは信じる、信じないの問題ではなく、全く非科学的であり隠れ差別主義者である、と決めつけてきた私です。
「Seasonal Distribution of Psychiatric Births in England」というタイトル「英国における精神疾患の生まれ月による分布」って感じの内容の興味深い論文です(PLoS ONE , Volume 7 (4) : e34866、Apr 4, 2012)。
このグループはもともと日照時間と様々な病気、例えば日光の影響を受けるビタミンDなどの研究を行っていたと思われますが、今回は双極性障害やうつ病、そして統合失調症などと生まれ月の関連を調べたところこんな結果がでた!
この結果が正しいとすると、うつ病の再発を繰り返す人と双極性障害(昔は躁鬱病なんて言われていました)になる人は5月に生まれた人に多いことになります。
5月生まれとうつ病になるリスク、この論文に違和感が⋯。
医師というか、科学者の目で見てみるとなんとなく違和感を覚えるデータです。例えば英国では日本でいうとこの丙午なんて悪い迷信があって誕生月が偏っているんじゃ、とか各方面からケチを付けようと試みましたが、残念ながら基礎データ・解析方法に問題点は今現在は見つけられませんでした(見つけたら徹底的にdisります)。
なんとこの研究の対象になった精神疾患をもっている57,971人、一般の人29,183,034人ってさらりと書いてありますが、英国の人口って63,181,775人ってwikiではなっていますので国民の半数近くを調査したってことになります。
日照時間と妊娠した時期に強い関連があるかも。
この研究者達は日照時間と病気の関連を主に研究していた時に今回の強い関連性を見つけたようです。5月生まれに此の様な傾向が認められたのは、日照時間が短い間に妊娠して出産したことが大きな原因と解釈されています。
日光を浴びることで体内でビタミンDを生成しますし、免疫機能や骨の成長などに影響があることは周知の事実と考えて問題ありません。
気になるのは妊娠期間にインフルエンザになると子供が双極障害になるリスクが高くなるという説とこの関連性を指摘している研究者もいます。
英国は日本より大半は緯度が高いので(東京北緯35°41′ 、ロンドン51°09′)、日照時間や紫外線の量が少ないため日本と条件はかなり違って来るはずです。
唯でさえ少子化が大問題の日本において、この論文を真に受けて「5月に子供を産むな!」なんてバカな健康本が登場しないことを祈ります。