私は一時期降圧剤を飲んでいたことがあります。
さまざまな強烈なストレスに晒され両親ともに高血圧であったので、自分もそういう時期かとなんの疑問も持たずに血圧降下剤を服用していました。
服用してもなかなか血圧が下がらないために、薬はどんどん効果的な(患者さん言葉で言えば強い薬)に変更していきました。
安易な降圧剤の服用はかなり危険です
ある日、ちょっとした切っ掛けで当院の医師に血圧を計ってもらったところ上の血圧が80と極端に下がっていることがありました。さらにアルコールを飲むとめまいが起こり、その時に計った収縮期血圧がなんと72、ほとんど脳に血液が行き渡っていないくらいの超低血圧になっていたのです。
セルフ白衣性高血圧だった私
白衣性高血圧というのがあります。これはクリニックなどで白衣をきた医師に血圧を測定されると普段は正常な血圧の持ち主であっても、緊張により血圧が跳ね上がる現象をさします。そのため、今では正しい血圧を把握するために、家庭においてご自分で血圧を測定していただき記録して診察日に持参いただく方式が一番正しいデータであると考えられています。
私の場合、私(白衣を着ていなくても医師)が私の血圧を測定すると、自分に対して緊張して血圧が上がってしまう
セルフ白衣性高血圧という珍しい症例
であるとともにその発見者でもあります。自分の病態を把握してからは、血圧の薬無しで常に正常値を示していると言う単純な性格の私ですが、両親から高血圧傾向の遺伝子を受け継いでいる可能性が大ですので、塩分控えめは気をつけていますが、野菜食が体によいと知ってはいるのですがとにかく野菜は大っ嫌いです。
野菜嫌いな私ですが、野菜中心の食生活が健康的であることは理解します
野菜嫌いな私ですが体重の増加予防や高血圧、高コレステロール対策に野菜中心の食生活がよろしいことはわかっています。JAMA Intern Med. 2014;174 (4) :577-587にこんな論文がありました。「Vegetarian Diets and Blood Pressure A Meta-analysis」つまりベジタリアン食と血圧を分析しました、というものです。ベジタリアン=マイケル・ジャクソン、草食系男子、ハリウッドセレブと私的にはネガティブなキーワードが溢れて来て敵意をもってこの論文を読みました。でも、やっぱりベジタリアン食って血圧にはいいみたいです(しょんぼり)。
この論文は今まで公開された39の論文を解析した結果、肉類や魚類を含む食生活を送っていた人と比較してベジタリアン食の人は明らかに血圧が低かったと述べています。
ベジタリアン食がいくら高血圧に有効でもね⋯
オッサンは体に悪いものが大好きです、特に脂っこいものが大好きです。「美味しいものって体に悪いんだよね〜」なんていいながらカツカレーを食べながら、ビールをがぶがぶ。せっかくの付け合わせのキャベツに手をだすと「お前、体に気をつけてんの?」なんて会話がリアルオヤジの世界では飛び交っています。
そんなオッサンは(私)はこの論文にからみます。まず
ベジタリアン食で収縮期血圧が低かったのは4.8mmHgであり、拡張期血圧で2.2mmHg低かった
となっています。でも、先日マスメディアを賑わした日本人間ドック学会と高血圧学会の基準の差より小さくないですか、この数字!人間ドック学会が発表した正常な血圧は上が147、下が94であり、高血圧学会が今まで使用して来た上が140、下が90に比較して正常とする基準が甘くなって医療サイドはもちろんのこと、患者さんの混乱を引き起こしましたよね。人間ドック協会の甘い基準で高血圧症と診断されたオジサンが食生活を悔いあらためてベジタリアンになったとして、上が4.8mmHg低くなっても、下が2.2mmHg下がっても
結局は高血圧学会の正常値には入らない
ことになります。マイケルジャクソンのようにストイックにベジタリアン食にこだわっても実戦的な高血圧対策にはならないのではないでしょうか?オヤジ諸君❗これからも「うまいもんって体に悪いんだよね〜」といいながら一杯やりましょう!