薬嫌いだからサプリメントを必死になって摂取している人って医療関係者でもいなくはありません。でも最近はビタミンに取って厳しい報告が続いています。
本記事の内容
サプリって薬より安全?ビタミン神話が崩壊するかも
例えばU.S. Preventive Services Task Force 略してUSPSTF、米国予防医学専門委員会なんて感じで日本では呼ばれていますが、ここがビタミンCやビタミンEは心臓や血管の病気の予防にはならないと表明しています(血流を良くするためにと称して私も以前はビタミンEを処方していました 汗)。これについては以前ブログでお伝えしました。日本人研究者によってビタミンAの過剰摂取が問題を引き起こすことが報告されていますので、それをお伝えします。
なんせ推奨ランクDですから⋯。日本の鈴木梅太郎氏が世界に先駆けオリザニンという今ではビタミンBとしているものを発見して100年くらいになりますが、確かに脚気を始め多数の病気をビタミンが救って来たことは間違いないのです、でもとにかくビタミン信奉者に取ってはバッドニュースが続いています。
最近の骨粗鬆症至適療法研究会によりビタミンAを摂取していると「抜歯」のリスクが増える、との発表がありました。骨粗鬆症と抜歯のリスクを検討した論文によるものですから、「ビタミンAを飲むと歯を抜くはめになる」と単純化するべきではありませんのでご注意ください。(2016年5月28日)
ビタミンAの過剰摂取は以前から指摘されていた
ビタミンBの方がビタミンAより先に発見されていたのに、なんでアルファベット順になっていないか、という素朴な疑問は次の機会にさせていただきます(最近、当院のスタッフの素朴な疑問に答えるというブログを何回か書いていますので)。薬局とか今では通販でも買えるビタミン剤として流通しているものですが、よくよく見ると結構怖いことが書かれています。
ほとんどの方がビタミン剤だから副作用が無いだろう的に添付文書と呼ばれる薬の効果効能を書いた紙、読みませんものね。
妊婦さんだから栄養を補給しようと思ってビタミンを安易に過剰に摂りすぎると取り返しのつかないことになります。ニキビの塗り薬の定番も実はコッソリとこの副作用が書いてあるんですが、チャンと説明していない医師が多いことが気になります。また、美白化粧品として確固たる地位を築いているドクターズコスメもこの成分が含まれているような⋯。
さらにガンの治療中にビタミンAを摂りすぎると代謝酵素阻害という障害が引き起こることを、日本看護協会神戸研修センターの菅野かおり氏が第23回日本癌看護学会学術集会で発表しています。
皮膚の病気の特効薬のビタミンAが逆に皮膚炎を起こす
ビタミンAやその親戚であるトレチノインは皮膚の難病からニキビまで広く有効性が知られています。そんな頼りになるビタミンAの過剰な使用に警鐘をならした研究が日本の研究者によって発表されています。
シロクマを食べる習慣があるイヌイットの人たちに皮膚炎が多いことが知られていますが、原因としてビタミンAがたっぷり含まれる肝臓を食べるからじゃないかと考えられていました。つまり、皮膚の病気に効果があるはずのビタミンAが皮膚のトラブルを起こしているんじゃないかというわけです。
この研究でわかったことは繊維芽細胞という女性の大好きなお肌プルプル物質であるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生み出す細胞内でビタミンAの濃度が自然にコントロールされている為に、過剰なビタミンAを摂取するとこの濃度を調整するシステムが上手く働かなくなり、それが原因となって皮膚炎を引き起こすということです。
つまり、皮膚のトラブルを解消する為に必要以上のビタミンAを摂取したらいかんよ、という内容です。
じゃあ、どうすれば良いか⋯食べればいいんですよ、普通に!
妊娠時や偏った食生活の場合、ビタミンが不足するからサプリメントで補給しようと思うのは十分にわかります。卵黄やチーズからビタミンAは摂れますし、おばあちゃんの知恵(これに本当にハマっています、最近)的にいえば赤とか黄色の野菜を普通に摂っていれば不足することはありません。というのもこれらの野菜はβ-カロテンを多く含み、食べることによって体内でビタミンAに変化しますので。ちなみに人参やカボチャ、ピーマンなどがカロテンがたっぷり含まれていることが知られていますけど、子供が嫌う食べ物ばっかりなのが微妙です。だから子供のとき、最近では滅多に目にしない「肝油ドロップ」を食べさせられていたんだ、と今気づきました。