2014年4月からEDの治療で使用されていた薬がオッサン達を悩ます前立腺肥大に有効であることが確認されて保険診療で使用することが可能となりました。
本記事の内容
世界初のED治療薬でガンのリスクが高まるという報告
この薬ではないのですが、世界で初めてEDに効果があるとされ、今ではED治療の代名詞とさえ言えるあの薬を長期連用すると、ガンのリスクが高まるという非常に困った論文が世界を駆け巡っています。どうにかその論文の欠点、たとえばコピペ・切り貼り写真がないかと、GW中と重箱の隅に励みました。
ED治療薬で「皮膚がん」のリスクが二倍になる、って本当かよ
このはた迷惑な論文を書いたのはアメリカのブラウン大学のグループです。ED治療薬は私たち泌尿器医はカッコつけて「PDE5阻害薬」なんて勉強会などでは呼びますが、効果を発揮するメカニズムは実は複雑であり、医師であっても誤解している人がいるくらいなんです。
狭心症の特効薬であるニトログリセリンと併用する場合のみ血圧が下がり過ぎて命に関わる事態を引き起こしますが、その他の薬との併用は安全と考ていいものす。逆に動脈硬化などで血管が細くなっている人に対してはED以外に良い働きがあるという認識を使い慣れている泌尿器科医はもっていました。
しかし、複雑なメカニズム中にBRAF活性がPDE5Aを低下させることにより、悪性黒色腫(メラノーマ)の細胞を刺激するじゃないと囁かれてもいました。
この研究は医療関係者25848人を対象に2000~2010年に渡って追跡調査した物で、前向きのコホート研究とよばれる手法が取られていますが、前向きコホートは病気の傾向を調べる疫学調査では信頼度がかなり高いとされている手法です。
確かにED治療薬で皮膚がんが2倍になっていた❗
結果的にこの観察期間にメラノーマになった人が142人、有棘細胞癌(squamous cell carcinoma 略してSCC)になった人が580人、基底細胞癌(basal cell carcinoma 略してBCC)になった人が3030人となっていました。
もともと日本人と比較して欧米人は皮膚がんになりやすいことが知られていますので、この結果が直接日本人に当てはまるとは限りません。実際にSCCやBCCが発見された人の数が多いように感じるかも知れませんが、この発生数とED治療薬を飲んでいるか、いないかは統計学上関連性が見つけられませんでした。
問題となるメラノーマとED治療薬の服薬は残念ながら統計学上の言葉で言う所の「有意に上昇」していたんです、それも2倍に❗
どうにかED治療薬をかばってみますけど⋯
今までEDに悩まされていて積極性に欠け、屋外での活動が低かったオヤジ達がED治療薬を服用することにより、アクティブになってゴルフ、フィッシングなんてアウトドアでの遊びに励めるようになったために、日焼けをしすぎた、なんてことは無いでしょうか?
男性の更年期障害に対してED治療薬が有効であることは、泌尿器科医にとっては常識となっています。その為にLOH症候群と呼ばれる男性更年期障害の病状が回復して、今まで家に引きこもっていたED&LOHオヤジ達が妙にというか、今までの反動でガンガン外出して、スポーツに精を出すようになった結果、必要以上の紫外線を浴び、さらに過剰な自信を持ってしまったため生っ白いボディをタンニングされた褐色のボディを手に入れたのです。
ホストってほとんどの人がタンニングマシーンで褐色の肌していますので、それを真似て不埒な気持ちを以てお手本にしてしまった、だからメラノーマになり易くなった、っていう理論いかがでしょうか?
今後の課題としてED治療薬で元気になった人がアクティブな活動をするときは、必ず日焼け止めを使ってもらったらメラノーマのリスクが低くなると私は考えたいです。なぜか熱を込めてED治療薬をかばってしまった私ですが、実は泌尿器科医ってEDでなくても、動脈硬化を防ぐ意味で愛用している人多しなのですよ。
取りあえず外出時は5月でも紫外線が強いから日焼け止めをしっかり塗ろうっと、ってお前ED治療薬のんでんじゃないの?という質問には守秘義務がありますので、お答えできません 笑。