先日当院スタッフ(女性 20歳代)から、「男性って加齢臭があるけど、女性もあるんですか?」という質問を受けました。
周囲にベテランスタッフがいなくて良かったね、20歳代スタッフ。オッサンの加齢臭とか最近では「ミドル脂臭」(死臭ではありませんよw)なんて言葉も飛び交っています。
加齢臭にはほど遠い年齢の女性からみると多分私を含めてオッサンは臭いんでしょうけど、同性の香りというか臭いには気づいていなかったのか、謎です。
実は女性のスメハラも気になるんですが⋯。
スメルハラスメント、略してスメハラを周囲に臭いによって不快感を与えることと定義した場合、口臭・ミドル脂臭・加齢臭そしてワキの臭い(ワキガ)を含むのが一般的ですが、男性からすると女性の香水類に香りも万人が好意をもつとは限らないのです。だって、私デパートにいくとエレベーターって乗りませんもの、オバサマたちとあの狭い空間に閉じ込められた時に充満するスメールに耐えきれませんので。オバサマたちは多分ご自分の体臭を隠す為ではなくオシャレの一環として香水類を使用するのでしょうけど、「お出かけ用」にタッブリと振りまいた香水と化粧品の香りというより臭いに耐えきれないんです、オッサンですけど私は。
女性の加齢臭問題が世間一般に広がらないことを願います
中年以降の女性だって加齢臭ってもちろんあるんですよ。加齢臭の原因物質は「ノネナール」という物質でこれは男女共通です。ミドル脂臭はマンダムが見つけた30歳代以降の男性の加齢臭とは少し違った「脂の腐った系」の香りですが、一方の加齢臭は女性の味方資生堂の研究者が発見した物質で男女共通のものです。
この論文って26 〜75歳の被験者の体臭をガスクロマトグラフィーで調べた結果、40歳以上の女性の下着から加齢臭の原因であるノネナールが検出されたってものなんですから。つまり、オバサマ方の体臭が加齢臭であると言う論文なんです。さらにこの研究を進めたのが「Odor Associated with Aging」(Anti-Aging Medicine 7 (6) : 60-65, 2010)でして、この研究によってこのようなグラフが得られています。
40歳を越えるとノネナールが急激に増加しているのです。
スメハラを防ぐには
まず、オッサンのミドル脂臭については以前触れていますので省略します。
口臭
これは自己流の歯磨きだけでは防ぐことができません。正しいブラッシングの方法を歯科医に指導してもらうとともに虫歯、そして歯周病のチェックをしてもらいましょう。
ワキガ
腋臭/狐臭/胡臭など漢字では表記の仕方がいくつかありますが、ワキガ(エキシュウとも読む場合あり)です。欧米人に比べ日本人のワキガは少ないとされています。制汗剤で防ぐことが可能な範囲ならいいんですが、それで防げないときはボツリヌス菌を用いたシワ治療に使用される薬を注射することと、脇毛を脱毛することでかなり防ぐことができます。それでも防げない場合は手術で解決することができます(幾つかの条件を満たすと保険治療の対象となりますので、専門医を受診してみてください)。
加齢臭
体臭の一部ですので、強烈な香りがする食品や飲み物も大きく影響します。この原因であるノネナールを発見した資生堂やミドル脂臭を発見したマンダムなどから対策グッズがでていますので、試してみたらいかがでしょうか?
加齢臭のリスクがある世代にお願いしたいことがあります。毒をもって毒を制す的に加齢臭のうえに香水類を振りかけるのは止めましょう❗
若い世代に多いのが自臭症と呼ばれる精神的な疾患です。不快な臭いを周囲にまき散らしているんじゃないかと悩むもので、治療には精神科領域の専門家の助けが必要です。