先日、久々に金縛りになった⋯怖かったです、医師でありながら自分が金縛りになると。
疑似科学のインチキを追求するのが趣味の私ですが、実際に自分が経験すると理論で構成されたはずの脳内のシステムが一気に吹っ飛んでしまいます。スプーン曲げからUFOまでは十分インチキ・トリックであることを説明するだけのネタを持ち合わせていますが、「シンクロニシティ」と「金縛り」だけは実際に経験した場合、科学的・統計学的な説明で自分を自分で十分に納得させることが出来ません。
もちろん「金縛り幽体離脱説」は爆笑ものですけど。
シンクロニシティはおいといて、金縛りは医学的に説明できるはずなんですが⋯先日、襲いかかって来たんです、医学用語で言うところの「睡眠麻痺」が。結構、焦りましたです、医師である私でも。
ナルコレプシーやレム睡眠で説明されてもなんだかね〜。
医学的に金縛りは「睡眠麻痺」と呼んでいて、レム睡眠時に起きるとされています。レム睡眠は脳は活動しているけど、体自体は休憩しているというか眠っている状態をさします。眠っているはずの人の目が激しく動く現象( Rapid Eye Movement sleep)の英語の頭文字を取ってREM睡眠と呼びますが、この時点で夢を見ることが多いとされています。
でもそこで素朴な疑問が湧くのですが、夢を必ず見ているわけではないんじゃない、じゃぁなんで目が動くのよ?夢自体なんで見るのかも医学的に定説とされているものはありません。医学的にはレム睡眠状態だと呼吸が乱れることがあり、そんな時に胸が圧迫された感じを脳が受け止めて「これは誰かが自分の体の上にのしかかっているのでは⋯金縛り!」と感じるという説明がほとんどです。
つまり、夢の一つが「金縛り」「睡眠麻痺」であるということにされています。なんだか、判ったような、判らないような説明に思えるのは私だけではないと考えます。ナルコレプシーという病気と関連させた考え方もありますが、別にナルコレプシーでなくても明らかに金縛りは経験しますよね。
学生時代のレム睡眠の実験と夢の関係
医学部で生理学という分野を学んだ時、睡眠時の脳波を測定するってのがあって、睡眠導入剤とお酒を同時に飲んで学生が実験台になるという今だったら大問題になる様な方法で実験をしました。今と違って女子はほとんどいませんでしたので、眠剤とアルコールで熟睡状態になった実験台の学生の下半身などをいじり回して⋯なんて大学生らしいイタズラをもちろんしました。
薬物漬け状態で強制的に眠らされていたためか脳波にはほとんど影響もでませんでしたし、実験台の学生も夢で下半身関係のものを見たとの報告はありませんでした。
夢を見ている人をリアルに観察することはかなり不可能なことなんではなでしょうか?レム睡眠中に夢を見ていると検討をつけて激しく眼球が動いている最中に強制的に叩き起こして「今、夢見ていた?」と聞いても「見ていた様な気がする」との回答が得られるだけで、夢の詳細を知ることはできないのです。
ご自分で夢を見て、「あっ、面白い夢だから明日朝起きたら皆んなに話そう」と思っていても、翌朝はその夢の詳細を忘れていることがほとんどではないすか?
金縛りを睡眠時無呼吸と関連つける説明もなんだかなぁ
肥満のオッサンが気をつけることとして睡眠時無呼吸症候群が最近クローズアップされています。睡眠中に呼吸が停止するために、これが持病の人ってしょっちゅう「金縛り」にあっていないといけないことにないりますが、金縛り自体子供でも経験することですし、瘦せている人でももちろん経験しますのであまり説得力がありません。
海外の症例報告では金縛りなどの症状を医療機関に訴えると「このひとは精神的に病んでいる」と思われる可能性があるために受診が遅れたケースを報告していますが、やせ形の女性であり、気道の狭窄などは認められませんでした。
しかし、なんで金縛りの時にのしかかっているイメージ画像って女性なんだろうか?もしも、オッサンにのしかかられていたら強盗か!