先日、当院のスタッフから「飲む日焼け止めってあるんですけど、飲んでも大丈夫でしょうか?」との質問を受けました。
「ビタミンCとかがたくさん入っているだけなんじゃないの」と自分の知らないことだったのでその場は凌ぎましたが、院長の沽券に関わりますし、これからの季節は紫外線がどんどん強まっていきますので、スタッフ思いの私は寝る間を惜しんで調べましたです、ハイ。
本記事の内容
「飲む日焼け止め」って本当にあるんだ❗
日本製ではなくスペインで作られたサプリを「飲む日焼け止め」と当院スタッフは言っていたようですが、このサプリの主成分はシダから抽出された「Polypodium leucotomos」というものらしいです(そのサプリの説明ではPolypodium はPと略されていましたが)。
これがPolypodium leucotomosという「シダ」の一種です。アメリカ大陸で生息している植物ですが、中米では民間療法として喘息や心臓病、そして皮膚の病気に使われたきたものらしいです。
飲む日焼け止めの主成分の日焼け止め効果は果たして⋯
化学薬品ではなくサプリ(日本では食品と同じ扱い)なので、医薬品の様な効果は期待できない反面、副作用もないだろうと思ってこの主成分であるPolypodium leucotomosを調べて見ましたが、医学的な実験・研究がいくつか行われていました。「Polypodium leucotomos extract inhibits glutathione oxidation and prevents Langerhans cell depletion induced by UVB/UVA radiation in a hairless rat model」(Experimental Dermatology Volume 17, Issue 8, pages 653–658, August 2008)という論文が飲む日焼け止めの理論的な裏付けと思われます。
この論文ではフリーラジカル生成、DNAの損傷、免疫機能にどのような影響を与えるかをマウスに対して行っています。作用機序はかなり基礎医学領域のものまで調べていてなかなか学術的な文献なのですが、最後の結論としては「局所的に日焼け止めを補完する働きがあるかもね」という感じになっています。
全く効果はない訳ではないけどあくまで日焼け止めの主役にはなれませんよ、ということです。
米国は日焼けに非常に敏感で未成年者の日焼けマシーンの使用を禁止している州もあります。
飲む日焼け止めの効果を徹底的に調べたグループが海外にはありました
純情な当院スタッフ(30ウン才 子持ち)の質問ですので、ひょっとして副作用的なものは大丈夫か、と親切な院長(私)は夜遅くまで調べました〜!http://examine.com/というサイトがありまして、そこは世の中に出回っているサプリなどに関する論文を徹底的に調べて、果たしてそのサプリは安全か、効果があるのか?を調べています。
そこにはPolypodium Leucotomos (Calaguala) は一般的に皮膚の損傷を治す効果があるとされていますが、単に日焼け止めのように紫外線のUVBを跳ね返しているだけなんじゃないの、と書かれています。彼らが多くの論文を検討した結果確かにサプリメントとして摂取した場合、日焼けによる炎症や痒みを抑える効果は認められるそうです。紫外線に対する効果は
体重1キロ当たり7.5ミリグラム投与した場合、それなりの影響があったとのことです。
これらの裏付けになった医学的論文は評価としてDとなっているのは二重盲検といわれる手法は取っていなくて、単に観察しただけの実験だったため信頼度は若干劣ります、という意味です。
でもこのサプリ、天然成分だから安心って書いてあるけど⋯
この「飲む日焼け止め」サプリの日本での広告には天然成分だから安心的なことが書かれています。シダから抽出したものが主成分ですから確かに天然成分です。でも、成分の最後のほうに二酸化チタンって書かれています。二酸化チタンって岩石に含まれていますから「天然成分」であることに間違いはありませんけど、多くの塗る日焼け止めにも紫外線を吸収するために使用されています。
なんで、この二酸化チタンを飲むサプリに使用しているのかハッキリした理由がないためと、体重1キロあたり7.5ミリグラムで有効とされていますが、スタッフが45キロとしたら337.5ミリグラムがこの錠剤に含まれているか不明ですので、当院の推奨レベルもD判定とさせていただきます。
塗る日焼け止めで十分効果がありますので、なにも飲まなくてもいいんじゃないの?目から入った紫外線が勝手にシミをつくるという話もありますので、サングラスもお忘れなく❗